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第45話(龍也side)

隣で俺のジャケットに包まるようにして小さくなっている伶の背中をさすってやる。飲まされた媚薬の効果だろう、伶は俺の手にもビクッと反応し息を荒くしている。 「おい、あとどれぐらいで着く?」 運転手に声をかける。一刻も早く伶を自宅に連れ帰りたい。 「あと5分から10分ぐらいの間には着けると思います」 「そうか。できるだけ急いでくれ」 隣にいる伶を見ると、さっきよりも車の隅によって体を小さくしていた。 「伶、もう少しで着くからな。もう少し我慢してくれ」 伶の頭をよしよしと撫でると、伶が頭を俺の手にこすりつけてくる。 「もっと、撫でて?」 涙目になりながら上目遣いで頼んでくる伶が可愛くて可愛くてしょうがない。 「おいで」 両手を広げて伶を抱きしめる態勢になると伶は俺のジャケットを離さないで俺の両手の中にゆっくりと入ってくる。ぎゅっと抱きしめると、一瞬体に力が入ったもののすぐに抜けてされるがままになる。伶の背中をとんとんとたたきながら車が自宅に着くのを待つ。 今すぐにでも伶をこんな目にあわせたやつらをぶん殴りに行きたいところだが、伶の安全を確保するのが先だと自分に言い聞かせる。 しばらく伶を抱きしめながら車の外を見ていると、自分のマンションの前で車が止まった。 運転手がドアを開ける。 「伶、着いたぞ。歩けるか?」 そう問いかけても伶はぎゅっと俺のワイシャツを掴むだけだった。そんな伶を横抱きにして車から降りる。 「しっかりつかまってろよ」 マンションのロビーを真っ直ぐ突っ切ってエレベーターに乗り込む。乗り込む前に心配そうに伶のことを見送っていた和泉と椎名に「慧を呼んでおいてくれ」と頼んでエレベーターのドアを閉めた。 自分の階に着くと、ベッドに直行し伶を寝かせる。 「大丈夫か?今水持ってくるから待ってろ」 そう言って冷蔵庫に入っている水を持ってこようとベッドから離れると、服が引っ張られた。 「どうした?」 「行ったらいや」 「水取ってくるだけだ。すぐもどってくるよ」 「いらないから、ここにいて」 俺の服を掴んで離さない伶を見てふうと息を吐く。 「分かったよ。ここにいる」 そう言うと安心したように俺の服を離した伶が口を開いた。 「隣、来て?ぎゅってして」 伶がもぞもぞと動いて俺が入るスペースを開ける。 「分かったよ。伶はそのまま寝ちゃえ」 伶の隣に潜り込みぎゅっと抱きしめて頭を撫でる。 しばらくそうしていると隣から静かな寝息が聞こえてきた。 そっとベッドから抜け出し、伶が起きたら飲めるように水をベッドサイドに置いておく。 玄関のベルが鳴り、ドアを開けると慧が立っていた。 「やあ、龍。伶君はどんな感じ?」

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