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第46話(龍也side)

「やあ、龍。伶君はどんな感じ?」 玄関のドアを開けると、慧が立っていた。 「とりあえず寝かせた」 「今は寝てる感じ?」 「ああ。やっとさっき寝たところだ」 「なら、あと30分ぐらい寝かせてあげよっか」 「そうしてくれると助かる」 玄関先でそんな会話をして二人でとりあえずリビングに向かう。 「龍~。俺の喉乾いた」 「はぁ。俺に飲み物を要求してくる奴なんかお前しかいないぞ」 「あと、伶君。でしょ?」 「...そうだな」 「?なにか思うことがおありで?」 「いや、なんでもない」 「はぁ。お前そうゆうとこあるよね。俺何年お前と一緒にいると思ってるの。聞いてやるから話せよ」 めんどくさそうに俺に言う慧の顔は優しい幼馴染の顔で、俺は自分が思っていることを話し始めた。 「伶と一緒に生活するようになって随分経ったが、伶は俺といて幸せなのかと考えてしまう時があるんだ。俺が一緒にいることで伶に危害が及んでしまうんじゃないか。俺は職業柄何時誰が俺をつけ狙っているか分からない。そいつらの矛先が俺に向いているならまだいい。それが伶に向いてしまったら?俺はそれが怖くて怖くてたまらない」 伶が愛おしいがための心配だった。伶が好きで大切だからこそ伶が傷つくのが怖い。そんな俺の話を黙って聞いていた慧が口を開いた。 「それってさ、結局どうしたいの?伶君が傷つくのが怖いから伶君と離れるの?自分の仕事のせいにして?伶君が大切なら龍が守ってあげればいいじゃん。俺は伶君とまだそんなに親しくないし伶君が考えてることなんて分からないけど、少なくとも伶君は龍と離れることを望んでるようには見えないよ。自分が好きな人も守れないぐらいお前って弱かったっけ?」 幼馴染だからこそ俺に厳しい言葉をかけてくれる慧が今はすごく頼もしかった。 「今お前が一番に考えなきゃいけないのは、伶君を理不尽に嫌って危険な目にあわせた人たちをどう懲らしめるかじゃないの」 「そうだな。悪い」 「分かればいいんだよ。カウンセリング料で10万ね」 「ぼったくりにも程があるだろ。俺ただ説教されただけじゃないか」 「なんだよー払ってくれないの?」 「払うわけないだろ」 「ちぇ、ケチ。あ、そろそろ伶君見に行こうかな」 「ああ、頼む」 「龍は?もう行く?」 「お前の言う通り懲らしめてくるよ」 「じゃあ帰ってくるまで伶君見てるね」 「ありがとな」 「どういたしまして」 伶のところに行く前に俺を玄関まで送りに来た慧に伶のことを一旦任せて、俺はマンションのロビーに降りて行った。 エレベーターから降りるとすぐ傍に椎名と和泉が待っていた。 「伶さんはどうですか?」 「寝かせてきた。慧が見てる」 「車の用意はできてます」 「居場所の特定は?」 「できてます」 「そうか。じゃあ行くぞ」 「「はい」」

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