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第21話 共同作業
休憩を終えてから、二人は手分けをして作業を進めた。
縁は資料の草稿作成を、奏太は縁の中途にしていたタスクを引き取り消化した。
定時頃になって草稿が完成し、奏太が内容をチェックする。
「ここの説明はもっと概要レベルで大丈夫だ」
「こことここの項目は別添で表を付けられるか?」
「課題管理についてどっかに記載を入れておけ」
赤の入った資料を縁が直し始める。
周りの社員がほとんどいなくなった頃、奏太の方の作業が一段落ついた。
「手が空いたんだが、手伝えることあるか?」
奏太が縁に声をかけると、縁がほっとしたような顔をしてPC画面を示す。
「添付の表作るの、手を貸していただけるとありがたいです……。一から作らなきゃならないのと、なかなか量があるので、手間がかかっちゃってるんです」
「おう。じゃあネタよこせよ。やってやるから」
しばらく二人は無言で資料作成に取り掛かった。
時折帰っていく社員の挨拶の声と、キーボードとマウスの音だけになる。
どれくらい経っただろうか。コーラを飲んだ奏太が背もたれに背中を預けて伸びをした。
「あー、終ったー」
「え、表作り終ったんですか。速い」
「違うわ、やっとコーラ飲み終わったんだよ。お前よくこんな甘いの一日中飲んでられるな」
「コーラは勢いですよ。ビールと一緒です」
「全然一緒じゃねーよ……。俺はやっぱりミネラルウォーターの方がいいわ」
自販機行ってくるといって出ていった奏太を見送った縁は、ふと奏太のPC画面を目にした。
そこにはあらかた完成した資料が映し出されていた。
ため息をついた縁は、ちょっと笑って作業に戻った。
途中食事に出かけたりしながらも、資料作成、レビュー、修正を終えてようやく資料が完成した頃にはなかなかの時間になっていた。
「奏太さんありがとうございます。できました!」
「お疲れさま」
奏太が笑顔で縁の肩を叩く。
「あーよかったー。一時はどうなることかと思いました。本当にすみませんでした」
「終わったんだからいいじゃないか。さっさと帰ろうぜ。明日は朝からレビューなんだから」
デスクの上を片付けると、二人は社屋を出て寮に帰った。
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