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第17話

絶えず口を開かされていたことで潤いの無くなった喉から掠れきったような声しか出なくなった頃、いつの間にか姿を消していた藤本が部屋へとやってきた。 「藤本ちゃんじゃーん。混ざりに来たの?」 「…まだ、誰も番にはなってないんですか…?」 そう確認を取る藤本に「そーなんだよ。こいつなかなか発情しなくてねー。」と、男の1人がしゃあしゃあと答えた。 初っ端に抑制剤を飲ませておいてよく言う…。 番契約はΩが発情している時にしか成立しないらしい。番を持つのは面倒だが、ヤリたいだけのαはこうしてΩに抑制剤を使って犯すらしいと、知りたくもない知識が増えた。 だが、津川先輩もこいつらを利用しているようで完全にコントロール出来てはいないようだと知り、少しばかり胸のすくような思いがする。 「まぁ、藤本ちゃんなら誘発剤使うこともありかなー?」 そう言って肩に回ってきた男の手をサッと避けると藤本は「飲み物持ってきたので、少し休んでください。」と言って準備を始める。 その休憩は何の為のものだろう…。 手際よく紙コップを取り出した藤本は持ってきた飲料を注ぐと俺以外の4人にそれを手渡す。 その行動に胸をツキリと刺すような痛みが襲い、次いで視界が薄くボヤけていくのを感じて慌ててベッドに顔を埋める。 休憩などと言って体力を回復させ、また俺を犯すのだろうか。 散々に抱かれ、体を起こすことすらままならない俺を彼らはまだ飽きた様子を見せることなく嬲る。 そして、藤本はそれの手助けをしようというのだ…。 たった1週間ではあったが平穏に暮らせていた藤本との日々を思い出し、呼吸が苦しくなっていくのを感じた。 「よし。じゃあまた頑張ろうか。佐伯くん。」 そう言って再び俺に跨り尻を撫でてくる男。 「俺暫くパスー。さすがに20時間ぶっ続けでやってんのは疲れるわー。痛いし。」 「あと4時間で1日じゃん。記録更新しようぜー。ここが頑張り時〜!」 「ばっか。使いもんにならなくなったらどーすんだよ。」 そう男たちが笑いながら交わした言葉に目を剥く。 まさかそんなに時間が経っていたなんて。 分厚いカーテンに閉ざされたその部屋には時計などの時間を確認するものが一切無かったため全く感覚が掴めなかったのだが、そう言われてみると1度は暗くなっていたはずのカーテンの縁が今は再びほんのり明るい色をしていることに気付く。 学校は…と考えて藤本とこの部屋を訪れたのは金曜の夕方だったと思い出す。ということは今は土曜の昼か…。 彼らの体力に驚くと同時にどんどんと日常から隔絶されているのを自覚し、更に悲しくなった。 「ほら、集中して。」 そううつ伏せになっていた俺をひっくり返し胸に舌を這わせて笑う男に、まだ最低でも1日はこれが続くのだと思い体が強ばる。 だがそれから暫くした頃、抽挿を繰り返していた男が俺の中に自身を埋めたまま意識を失った。 何事かと思って顔を上げると他の3人も同様に床や机で寝息を立てている。 何が起こったか分からないがとりあえずこれはチャンスだと未だに俺に跨る男のモノを抜くと、縛られ不自由な腕を動かしてなんとか床に転がった衣服を身につける。 前側で縛られていて良かった…。いや、縛られるのに良いも悪いもないのだけど。 正直体は指の1本だって動かすのもしんどいが、この機を逃すわけにはいかない。 そうしてなんとか服を身に付けると縛られた腕をそのままに玄関へ向かう。 しかし、俺がそこに辿り着くより先に扉が開き、藤本が顔を覗かせた。

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