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待ちわびていたみたいに最初から激しく合わせられた唇は、すぐに濡れる。
柔らかでむにむにとした感触が擦れ合い、少し開けただけの唇は酸素を求めて大きくひらいた。
歯列をなぞって、尖らせた舌先でぞわりとする上顎を擽ってくる。
冷たい指とは反対に舌は熱くて、ちゅくちゅくと響く卑猥な水音に、カァッと顔が熱をもつ。
「っん、ふ……、んぅ……ッ!」
眉根を寄せて、ぎゅうっと目を瞑った。
どんなにもがいても、無意味だ。
腕を振りかざせば手首を強くベッドに縫い付けられて、足をバタつかせれば抑え込まれる。
顎を掴まれて顔を背くことも出来なくて、俺はただ、舌の裏をくすぐられて溢れてきた唾液を必死で飲み込むだけ。
この部屋は、静かすぎる。
ごく、と自分の喉が上下する音まで聞こえてきて、体温が上がる。
布団があるせいで、熱を吐き出せない。
「んんぅ、うぅ゙……んッ」
ぬるぬるする舌を無理やり絡めとられて、吸われる。
ぞくぞくと背筋を走る甘い痺れは、脳髄までをも焼き尽くしていくようで、怖くなる。
たらりと口端からだらしなく零れ落ちる涎。
気持ち悪い感覚に、枕が汚れるだとか思ったけど、そんなのに構う暇なんか、もう俺にはなかった。
「ッ、うぅ……んふ、は……ぁ……っ」
少しずつ抵抗は弱まって、力んでいた手首は自らの意思でシーツに沈む。
鼻からは甘ったるい吐息が抜けて、最初の反抗はもう、義務的なものになってきているんだと思い知った。
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