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「あー……ねむ……、」
欠伸をするヤスがゆったりとした足取りで向かうのは、俺が凭れているシンク。
マグカップと、トースターから焼き上がったパンを手に、邪魔だろうし俺も席に座ろうと、シンクから退いた。
その時だった。
今日は腰が痛くて、ふとした時に足に力が入らなくなる。
気を付けてたのに、それを忘れてしばらく片足に重心をおいていた俺は、急に踏み出したその一歩を踏ん張れなくて。
「っうお、!」
がくん、と膝が折れる。
やばい、転ける……っ!と、自分がすっ転ぶのを覚悟した。けど。
──あ、れ……?
「……っに、してんだよ、バカ兄貴」
「っ……あ、?」
床に崩れ落ちようとした身体を、しっかりと下から持ち上げられる、感覚。
耳許で、無愛想な掠れた重低音が聞こえて、腹に、腰に、かたい筋張った腕が、回されていた。
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