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呆れ果てたように呟いて、ヤスはこちらに背を向けてシンクのなかに水を張って食器を浸ける。
ガチャガチャした陶器のぶつかる音を聞きながら、俺も溜め息。
マグカップの中身はもう、三分の一くらいになってしまっていて、その減った分は全てフローリングにぶち撒けていた。
……最悪だ。
とりあえず片付けようと、そこらに掛けてあった雑巾で床を拭く俺。
しゃがんだ瞬間、腰に激痛が走ったのは、男の気合いと根性で堪えた。
あぁ、この体勢はつらい。
足の付け根も筋肉痛かも知れない。
「んな体調悪いなら、学校休めば?」
「……ん、大丈夫だって」
すぐ後ろから声が聞こえるが、振り向きもせずに情けなく床を拭く。
今この体勢で振り返ったら絶対腰に響くし。
「ま、無茶すんなよ。昨日はあんま寝てないだろうし、腰は無理するとまじでつらいだろ」
「あぁ、どうも」
それだけ言うと、ヤスはさっさとリビングを出て行った。そろそろ時間がやばいらしい。
俺も、早く行かなきゃ。
床の汚れと雑巾を片付けてから、椅子に座る。
木製の椅子は固くて腰が痛いけど、我慢できないほどじゃない。
無事だったトーストにジャムを付けてかじりながら、毎朝恒例の局のテレビを見る。
もぐもぐと無心で食べて、生ぬるくなったハナから半分もないコーヒーに口をつけて、そこで、ふと、気付いた。
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