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……俺、あいつに寝違えたとは言ったけど、腰が痛いとは、言ってなくね?
さっきの台詞、ヤスは断定の口調で、俺に無茶はすんなと言った。
『腰は無理するとまじでつらいだろうし』って……。
ごくり、とパンを飲み込む。大きく喉が鳴る。
なんであいつ、俺が寝てないって、腰が痛いって、知ってるんだ?
食べかけのトーストを皿の上に置いて、残り少ないコーヒーを一気に飲み干した。
…………まさか、そんな。
だって、いや、あり得ない。そんなはず、あるわけない。
あれは、夢だ。
俺は、実際には寝ていたはず。
夢でなくちゃ、いけないんだよ。
あの時、さっき、支えられた時の、確かな違和感。
細いのにしっかりした腕、成長途中の身体。
体温が人より少し低いこと。
寝起きの掠れた不機嫌な声と、昨夜の欲情した甘い声が、ダブって見えて、重なる。
俺は、知らない。
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