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第4話
「あーあ、また僕の負けか。今度は何をすればいい?」
「別に」
「別に?」
「何もしなくていいですよ。しいて言うなら、俺の仕事の邪魔だけはしないでください。あと職場での接触禁止。公私はしっかり分けるタチなんですよ、俺は。あなたがどうかは知れないけれど」
「僕のこともっと知りたくなってきた?」
バカな勝負をサムが持ちかけてきたのは先月の金曜日からだ。これまでに何度か勝負を挑まれたが――たいがいは相手に惚れこんでいる方が負ける。つまりサムだ。
しかしサムはジェイクのためならわざと負けることもしばしばあり、ジェイク自身、サムが何をしたいのか今でもよくわからなかった。
「ねえ、ジェイク。僕は君に何をすればいいんだい?」
「だから何もしなくていいって言ってるでしょう」
「それじゃあつまんないや」
「つまんないも何もないです。逆にあなたは俺に何を求めてるんですか?」
「うーん、しいて言うなら、君と恋人になりたい」
「その手の冗談は、生憎聞き飽きてます」
「昨日もしたのに、あれはカウントしてくれないの?」
「あんたが気持ちよかっただけだろうが」
昨晩酔った勢いでベッドを共にしたのは事実だが、それは文字通りジェイクのベッドにサムが半ば強引に潜りこみ、あろうことか尻を揉まれ続けられたのだ。当然ジェイクは一睡もできなかったが、サムは爆睡していた。
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