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第8話 反撃
朝…誰かに…殴られた感覚で…目が醒めた…
寝惚けた瞳を開けると…
そこには…
へそを出して…大の字で寝る…康太の姿があった
蹴り飛ばしやがったのた!
目の前には…康太の足があった
「なんつー寝相じや!」
兵藤は、康太の足を…掴むとコチョコチョくすぐった
すげぇ…いびき……だし
すげぇ…寝相…だし
コイツと寝るのは…至難の技…かも
榊原は、クスッと笑った
兵藤は、榊原の方を見ると…目が合った
「蹴られて…目が醒める…って…初めてかも…」
兵藤は愚痴を言った
「君は一人っ子ですからね。
僕達は…こうして、雑魚寝はなれてます!
その時の…康太の寝相の悪さと言ったら…被害者続出ですよ?」
「よくも…まぁ…こんな寝相のと…毎日寝てるわ…。しかもすげぇ、いびきだし…」
「慣れですよ…貴史。
僕も最初…この寝相には…手を焼きました
後、いびきも、凄いですからね…
何か食べてる夢見て…腕を良く…食べられてますよ…僕は…」
榊原は笑った
そして、凄い寝相の康太を…抱き寄せると…膝の上に乗せた…
「沢庵…食いてぇ…」
康太が…寝言を言う
「起きてんのかよ?」
兵藤が、榊原に問い掛けた
「寝てますよ…よどが凄い…沢庵の夢見てるんですね…
最近…食べられないので…食べ物の夢が多いんですよ…」
榊原は、康太のよどを拭いてやり…腕に抱き締めた
一生が起きて兵藤に抱き着いた
「あんだよ?一生…」
「貴史、康太は…寝てる時の屁もすげぇんだぜ…なぁ旦那?
康太が頭を縫った時に寝た時に…臭かったよな…」
一生の笑いの震動が…兵藤の体に伝わる
その時…康太が…沢庵!と言い…榊原の手に…噛みついた…
「痛い…ったく…この子は…」
榊原が康太を揺すり起こす…
「康太、それは、沢庵じゃないですよ!僕の手です!」
「ぁん?」寝惚けた康太が、目を醒まし…
噛みついた手を…吐き出した…
「すまねぇ…伊織…またやった…」
康太の言葉に…一度や二度の…出来事じゃないのを伺い知る
康太は起きると‥‥‥腹が膨張して痛みが襲って来て
「伊織…腹痛てぇ…」
康太が腹を抱え…呻いた…
「一生、康太を抱いてて下さい」
榊原に頼まれ…立ち上がり、康太を腕にもらい…ソファーへと座り抱き締めた
「昨夜…義兄さんに餌付けされてたからですよ」
康太が脂汗をたらし…呻いて…一生の腕の中で…足掻く…
榊原は、下剤を取りに行くと…水を汲みに行き、持ってきて
「一生、康太の口を開けて下さい」
一生が康太の口を開けさせると…錠剤を…口の中に入れた
一生が水を康太に渡すが…康太は…呻いて…飲めなかった…
「一生、飲ませて…」榊原が頼むと、一生は口に水を含み…康太の口の中に…注ぎ込んだ
傍目からは…濃厚な…キスに見えるが…
一生は、2、3度、口に水を含むと…康太の口の中に水を流し込み…溜飲させた
「飲みました?」
榊原が聞くと、一生が康太の口を開けさせた
「一生、離したら…ダメですよ?」
「解ってる!」
榊原が時計を見て、時間を計る…
暫くすると…康太が…一生の腕の中で…暴れた
「離せ!一生!」
「ダメ!旦那に頼まれた!」
「てめぇ!縁切るぞ!」
「切れる縁なんて作っちゃいないでしょ?」
「離せ!…ん…苦しい…ゃ…」
「旦那が…オッケーしたらな」
「伊織…ゃあ…辛い…ねがい…んっ…」
康太が…呻く…
何だか…ベッドの延長戦の様な…喘ぎに似た…呻き…を聞きながら…
ひたすら一生は耐えた…
「ぁん…ぃやぁ…出る…伊織!」
康太は…榊原に腕を伸ばした
榊原は、康太を抱き上げ…床に下ろした
「良いですよ…行ってきなさい!」
許可をもらい…
康太は…トイレへまっしぐら!
一生は、溜め息を着いた
「夕べ…食べたから…な…」
「まだ、お寿司は…早かったですね…」
「沢庵…食わしてやりてぇな…」
「毎朝…噛みつかれたら…堪りませんからね」
榊原が呟くと…兵藤が「説明しろ!」と怒鳴った
榊原は「康太は…内臓の粘膜が弱ってるので…食べれない…と、この前言いましたよね?」と話し掛けた
「あぁ、聞いた」
「食べると…お腹が張って…朝から痛みで…のたうち回るんですよ…
下剤を飲まないと…出ないんですよ…」
康太の…置かれた状況を…目の当たりにすると…かなり辛いものがある
寝相の悪さ…位…許せてしまう…程の…想いが大きく…辛くなる
トイレから…ゲッソリ…として康太が出てくる…
「寿司は…早かった…くそっ!」とボヤいた
康太は榊原に飛び付き…お腹痛い…と泣き付いた
「まだ、お粥…しかダメですかね…」
「沢庵…食えねぇ…」康太は…ボヤいた
「沢庵食べたら…このお腹の倍は…痛くなりますよ?」
「伊織…伊織…」康太が榊原に抱き着く
榊原は、ソファーに座り…康太のお腹を撫でてやった
榊原に跨がり…康太は榊原の胸に顔を埋めた
少しして…お腹の痛みが薄れ…やっと、顔を上げた
「痛くなくなりましたか?」
「ん…。なくなった…」
まるで…小さな子供みたいに…榊原に甘える様は…兵藤は初めて…目にする光景だった
「今朝は、夕べファミレスで買ったプリンにすると良いです!」
「プリン♪」
康太は嬉しそうに笑った…
兵藤は「ガキみてぇな…康太を見ようとはな…」と呟いた
一生が「仕方ねぇよ!旦那しか、康太は甘えねぇからな…」と説明してやった
「付き合いはなげぇのにな…あんな顔の康太は…見たことねぇな…」
「あれは…時々しか…でねぇよ!
何時も…甘い訳じゃねぇ…」
「榊原…伊織…アイツにしか…見せねぇ顔なのかよ?」
「だろ?伊織は…結構大変なんだぜ!」
「あんだけ寝相悪ければ百年の恋も冷めねぇのかよ?」
「なら、お前は冷めたのかよ?」
「冷めねぇ…な。アイツだからな…で、済ませられる…からな。」
康太は…榊原の腕から離れると…何時もの顔だった
康太は問題山積なのを念頭に置き、片付けて逝く事にした
「さてと、さくさく行くぜ!
貴史、飯食ってけよ!
皆で食えばうめぇぜ!
その後、着替えてくれば良い!」
「なら、朝食を取ったらスーツに着替えて来るぜ!新調したのがあんだよ!」
と、兵藤は立ち上がり、康太と連れ立ってキッチンに向かった
椅子に座ると…何故か…キッチンには、戸浪海里が座っていた
「若旦那…珍しいじゃんか!」
戸浪は…ご飯に味噌汁…と言う和食な朝食を瑛太と取っていた
「君の携帯に何度電話しても…繋がらないので…朝からお邪魔してしまいました…」
康太は…榊原を見ると…榊原は
「バイブのままで…昨夜は…天宮に電話して以来見ていません…」と康太に言った
「少々、野暮用があって動いてたからな…すまねぇ…」
「君の弟が…傷付けられたとか…」
康太は…瑛太を睨んだ…
瑛太は「傷害…としか言ってませんよ…」と康太に返した
康太は…戸浪の耳元で
「オレの弟を…強姦しゃがったんだよ!
ケツの穴が裂けて…縫う程の…怪我をした!」と囁いた…
戸浪は…「本当ですか?」と聞き返した
「悔しいが…本当だ…」
「黙っては…おいでではないですよね!」
「あたりめぇだ!朝から…学園に喧嘩しに行く!」
「なら、私もお供します!」
「若旦那…」
「飛鳥井に敵成す者は…戸浪の敵でもあります!」
「瑛兄は仕事に行けよ!佐伯から…脅迫電話が…力哉の所に入ってる…」
「…流石と…仕事をせねば…佐伯が怖いので…若旦那に託します!若旦那…私の分も…お願いします!」
「解りました!この目で見届けて参ります!」
瑛太と戸浪は…固く…手を取り合った…
康太は…知らん顔してプリンを食べ
兵藤達は…珈琲にサラダを食べていた
朝食が終わると康太は立ち上がった
すると、力哉は康太の前に…袱紗で包んだ束を…渡した
「伊織、持ってくれ…オレが持つと落とす」
「解りました。」
榊原は、それを一旦…一生に持たせて自室に鞄を取りに向かった
鞄を取ってくると…札束を鞄の中に入れた
瑛太は…それは?と尋ねた
「弥勒と龍騎に支払う…二本だ!
命懸けの仕事をさせた…二本じゃ値切り過ぎたかも…でも、今月は…遣いすぎて…力哉に…怒られる…」
「僕は怒りませんよ…康太!」
力哉はにっこり微笑み…
「使う以上を稼げば…怒ったりしませんよ!」と言葉にした
「………イオリーブラウンが今年も連勝すれば……だな!伊織、頑張れよ!」
「僕ですか?僕は馬では有りませんよ!」
康太は笑った
「さてと、弥勒の所へ行って、貰うもん貰わねぇとな!弥勒…出来てるか?」
『あぁ!何時でも来るが良い』
「って事で…着替えてくるか!
若旦那…少し待ってくれ!」
「幾らでも待ちますよ!」
康太は榊原と共に自室に戻り…スーツに着替えた
一生、聡一郎、隼人に兵藤も着替えに行き…スーツに着替えた
康太が…寝室に行くと…悠太が…目を醒ましていた
「康兄のベッドで寝ちゃった…ごめんね…康兄、義兄さん…。」
榊原は優しい顔で…悠太の頬を撫でた
「気にしなくて良いですよ…」と言い、聡一郎に電話して悠太の服を持って来させた
榊原は、康太にスーツを着せ、自分もスーツに着替えた
聡一郎が悠太の服を持って来ると、榊原が悠太に服を着せた
「痛むでしょうから…後で薬を飲みなさい」
「義兄さん…学校に…行くのですか?」
「康太の弟は、僕の弟です!
弟を傷つけられて…黙っている奴はいないでしょ?」
「俺も…行きます!逃げてたら…本当に…ダメになります…。」
「日頃…君を鍛えた甲斐があります…成長しましたね悠太…」
聡一郎は……榊原の気持ちが…痛くて泣いた
「悠太、兄は…君に厳しく当たりましたね?
でも君は成長すればこそ…厳しく接しました
君の可能性と…未来の為です!
君の未来が…曲がらない様に…兄は…厳しくしました!
今、君が…闘う気持ちがあれば…必ず乗り越えれると……確信しました
兄が…必ず、君を…元に戻してあげます!
闘いなさい悠太!」
「はい!義兄さん!」
悠太は、榊原に抱き着いた…
そして、痛みを押して立ち上がると…ズボンを履いた
ベルトをして、ネクタイをして…ブレザーを着せた
聡一郎が持ってきたのは…自分の桜林の制服だった
聡一郎が着ていた、桜林学園の中等部の制服に袖を通した
「高等部に上がったら、僕の制服を一枚…あげましょう!僕のを着なさい!」
榊原から、言葉を貰い…悠太は信じられない…想いで見た
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