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第16話 暗雲 ②
康太の弁当を…少し減らし…少しずつ榊原が調整して康太へと手渡した
その弁当を受け取り、康太はガツガツと食べていた
食べ終わると…康太は榊原を、じぃーっと見詰めた
「食べれますか?スィーツもプリンも有るんですよ?」
康太は…箸を食わえて悩んだ…
煮物の蒟蒻は、省かれ、消化の悪い物はまだ榊原は食べさせてはいなかった
「プリン…食べて良い?」
「良いですよ?お弁当は…夜食にでも残しておいてあげますね。」
「その…苺のムースは?」
「ダメです!どれか選びなさい!」
「う~」
「お腹が痛くなりますよ?
まだ出ない時の方が多いでしょ?」
康太は…くしゅん…と下を向いた
榊原は仕方なく…折れるしかなかった
「なら、そのムースは…僕が半分食べるので、半分なら良いですよ?
その変わり、薬はちゃんと飲みなさい!」
康太はコクコクと頷いた
「苺は…?」
「お腹…痛くなりますよ?」
「苺…」
「良いですよ…」
やはり、愛する康太の為なら…榊原は折れてしまうのだった…
清隆が…「康太は…まだ食べれないんですか?」と問い掛けた
「まだ、消化が着いて行けません…
どうしても…食べた後は…苦しみますね
康太は食べるのが大好きなのに…可哀想です…
ですが、調整してあげないと…康太は目を離すと…食べちゃいますからね…」
榊原が言うと…清隆は榊原に頭を下げた
「康太の事を…何から何まで…世話をしてくれてありがとう…。
私達が…すべき事を君がしてくれてる…」
「気になさらなくて…良いです」
榊原と父親が…話している時も…康太は…プリンを美味しそうに食べていた
食べ終わると…榊原が苺のムースを半分だけ…康太の口の中に入れた
味わって…美味しそうに…スプーンを舐める
でも…食べ終わると…康太は…榊原をじぃーっと見ていた
榊原は、気にせず、残りの半分を食べてしまい…がっくし…肩を落とした
食べ終わると薬を飲まされ…涙目で…抵抗するも…飲まされ…弥勒から貰った薬まで飲まされた
「不味い…」
「なら、シロップの薬を頼みますか?」
お子様…ならば、貰えるが…それは嫌だ…
「鬼…」
「そう言う事言いますか?」
康太は…ぐったりと榊原の膝の上に…寝そべった
「父ちゃん、瑛兄…悪い…食後は…気分が萎えて…少し待ってくれ…」
「気にしなくて良いですよ?」と瑛太が言うと、清隆も頷いた
「慎一、康太を起こして抱えてなさい!」
榊原が言うと…慎一は慣れたもので康太を抱えて…座った
食後の30分は…康太にとって戦いだった…
榊原は、時計を見て…薬の用意と水を用意した
そして、社長室のトイレのドアを開放した
暫くすると…康太が呻き出した…
「ぅ…伊織…痛い…」
「だから、食べ過ぎはダメって言ったでしょ?」
康太は脂汗を出して…唸り…腹を押さえた
「我慢出来ませんか?」
康太が頷くと…榊原は錠剤を口に含み…水を飲むと…康太の唇に…舌を差し込み…接吻した
康太の喉がゴクン…と音を立てて…飲み込む
そして、更に水を含むと康太の口腔の中に注ぎ込んだ
「慎一、良いと言うまで離してはいけませんよ!」
「解ってます!」
慎一は…康太を両手で抱えて離さないようにした
暫くすると…康太が暴れだす
「ゃぁ…助けてぇ…」
榊原に手を伸ばす…
榊原は時計から目を離さない…
「ねっ…ん…お願い…あぁん…」
康太が悩ましい声を出す……
「伊織…伊織…」
康太が榊原を呼ぶと…榊原は康太のズボンの前を…開いて脱がせた
そして康太を抱き上げた
康太は榊原の胸に顔を押さえて…堪えていた…
「限界…ねがっ…あぁっ…出る…」
「仕方ないですね…良いですよ…行ってきなさい!」
康太をトイレの中に入れると…ドアを閉めた
「康太は…大丈夫…ですか?」
瑛太が心配そうに…声をかける
「食べると…苦しがるのは…まだ治りません…。
でも前よりも食べれるようになったし、お粥から固形物に変わりましたからね
治癒に向かって入るのですが…まだですね」
榊原が説明してると…康太がスッキリした顔して出てきた
榊原は康太にズボンを履かせ…ベルトを絞めてやった
そして、スーツを直して貰い…そのまま抱き上げられソファーに座った
榊原を跨がり…膝の上に乗り…胸に顔を押し付けた
「伊織…撫でて…」
痛みが引くまで…榊原が康太のお腹を撫でる
「もっと…撫でて…」
言われるまま撫でてやる
康太の気のすむまま…撫でてやる
「慎一、食事をしなさい!スィーツも有りますよ?」
慎一は静かに食事を始めた
痛みが弱まると…康太は…顔を上げた
「弱まりましたか?」
「ん…少し…」
「なら、も少し…撫でてあげます」
榊原は、康太のお腹を撫でてやった
瑛太と清隆は…康太の姿を見守っていた…
「も…良い…」
「痛くないですか?」
「ん。直った」
「やはり、苺は…止めとけば良かったですかね…」
「………ん。まだダメ…」
榊原を見上げる康太は幼く…子供みたいだった
心底…榊原を信じて…甘えているのが…伺えれた
「伊織…腹一杯…食いたい…」
「後、少しですよ。明日は病院へ行きましょうね…」
「まだ沢庵…食えない…」
「後、少しですよ…ご飯食べれるようになったでしょ?」
「食うと…痛いの…やだ…」
康太は榊原の首に腕を回し…抱き着いた…
榊原が康太の背中を撫でる…
榊原は……毎日、こうして康太の面倒を見て、生活の管理をして来ていたのだと…
今更ながらに…思い知らされる…
子供の頃の…康太は何時も冷めた瞳で…家族を見ていた…
その康太が…子供の様な顔をして…榊原に甘えていた
榊原の立場や…重さを…噛み締めながら…瑛太と清隆は…二人を見守っていた
食事の管理から…仕事や…夜を共にする…
榊原の負担を思うと…瑛太は…やるせなかった
清隆も…これでは…榊原の負担ばかり…増えて行く…と懸念を抱いていた
二人の思いは…もし榊原に何か有れば………と言うと恐怖だった
康太を支えて管理してる榊原を無くして…康太は生きられはしない…
だけど…榊原が、康太の世話を…誰かに任せる事もない…
お腹の痛みも消え…榊原にも甘え…
康太は榊原から降りた
さてと…と、康太は首をコキコキ動かした
「伊織…水の鏡を作ってくれ…デケェのをな!」
「………それ、僕にフリますか?」
「もうじき一生が来るかんな、そしたら兄弟で作れば良いもんよー」
康太が言うと社長室のドアがノックされた
瑛太が開けに行くと…一生が立っていた
「待ってたぜ!一生!」
「え?俺?何でやねん?」
一生が思わず聞き返した
「お前等兄弟で…デケェ水の鏡を作ってくれ!」
一生は榊原と目を合わせた…
「えらい…無茶な事言ってるがな…この子は…」
「康太ですからね…」
「旦那…水源は…」
「…それなんですよね?」
榊原と一生は顔を見合わせた
「カルキ臭いですが、スイミングスクールの水でも…呼び寄せますか?」
「仕方ねぇな」
榊原と一生は向かえ会わせに…呪文を唱えると…その手から…水が…絵を描くように…舞い上がり出した
鏡のように…丸を描いて…形を成と榊原は
「康太、君は僕と契ってますから、ブリザードが噴けるでしょ?
凍らせて下さい…」と康太に声をかけた
康太はその水の塊に息を吹き掛けた
すると、その水の塊は……見事に凍った
榊原と一生の手から離れた鏡は…部屋の中央に…立っていた
「一生、探し出せたのか?」
「バッチリな!」
「なら、その資料を机に置き…父ちゃんと瑛兄と共に下がってくれ」
「了解!」
「焔に触るなよ!火傷じゃ済まねぇぜ!」
康太は氷鏡を取り囲む様に円陣を出すと、 呪文を唱えた
すると……大きな氷鏡に映像が…写り始めた
「やっぱ、定番の台詞言わねぇとな!」と康太は口の端を吊り上げ嗤う
「鏡よ、鏡よ、鏡さん、この世で一番美しいのは誰 ~」と楽しげに聞くと…
鏡は……反応しなかった…
「おかしいな…失敗か…?」
康太は唸った…
「弥勒…失敗か?」
『嫌…鏡は美しい人なんかいない…と映すのを拒否してるだけだ…』
「……質問が…悪かったのか…?
なら、本題に入るとするか!」
康太は氷鏡に向き直った
「飛鳥井建設を裏切り、陥れようとしているのは…誰か映してくれ…。
そして…陥れようとする手口を…見せてくれ!」
すると鏡には…飛鳥井建設を陥れようとする人間が映し出された
そして…談合に…見せ掛けようと動いている姿も…映し出されてた
「瑛兄、誰か解るか?」
「営業にいた浅井、山田、高城…です。」と瑛太が答えた
「鏡よ、この三人の裏にいるのは…誰だ?
誰が噂を拡散して…飛鳥井を陥れようとしているか…教えてくれ!」
すると…鏡は、三木繁雄を移した
三木が誰かと肩を組んで笑ってる姿を…
「三木?……まさか…アイツはオレを売りはしねぇ!」
三木ともう一人の…姿…そっちか?
「鏡…二人両方か?違うなら片方消せ!」
すると…鏡は、三木を消した
「三木の友人か?……」
そして…最後に…政界を陰で糸引く…
政財界のドン…と、言われる男…盛田兼久…と言われる男の姿があった
「一生…記録しといてくれた?」
「おう!バッチリな!」
「鏡…ありがとな!助かった…」
康太が言うと…氷鏡は何も映さなくなった
「弥勒…この鏡…天空に打ち上げて…雪に変えるのを手伝ってくれ…」
『どうするのだ?』
「屋上まで飛ばしてくれたら…青龍が…食わえて天空で…破砕して…息を吹き掛ける
そしたら地上では雪へと変わる…春のプレゼントだ」
『承知した…屋上まで飛ばしてやろう!』
「と、言う事で…伊織ヨロシク…」
「解りましたよ…一仕事して来ます!
一生…康太を見張ってなさい!」
榊原は、そう言い…社長室を出て行った
康太は円陣の焔を消すと…ソファーに座った
「一生、携帯貸して。」
一生は康太にホレ…と携帯を渡した
一生の携帯のアドレスの中から三木繁雄を見付けると…康太は電話をかけた
「三木か?今、電話出来る?」
『今は…無理だ…すまん掛け直す』と言い電話を切った
「エッチの…最中は…不味いよな…やっぱ」
「え?三木が?誰と?不倫か?浮気か?」
一生が気になって問い掛ける
「妻とに、決まってんじゃん!
最近まで三木は使い物にならなかったからな…
サービスしねぇとな…」
「………鳴海を引き摺ってたんだよな…」
「そう。望むべき場所に…行かせてやろうと…思ったんだけどな…アイツは…やはり鳴海には行けなかった…」
「…寝たのか…やっぱ…この前…」
「………三木の心が…硬かったからな…」
「……んとに…おめぇはよぉ…」
康太は…苦笑した…
康太は…外を見ると…雪がキラキラ舞っていた
「一生…青龍の息の掛かった…雪だ…
綺麗だなぁ…青龍の息がかかってんだぜ!」
と、うっとりと…煩かった…
社長室に戻って来た榊原の瞳は…金色をしていた
康太は…その瞳を…うっとりと見ていた…
「見飽きねぇ?」
思わず康太に問い掛けた…
「飽きない…見ていて良いなら…何年でも…黙って見てられる自信はある!」
刹那い台詞を吐く康太を榊原は抱き締める…
「犯人は…解りました…天宮に言って、居場所を突き詰め…対処するのは…明日で良いでしょ?
もう…後、数分で日付は変わりますけどね…
さぁ、義母さんの所へ行きますか…?」
「止めとく…此から…闘いなのに来たら母ちゃんは怒る…」
「なら、帰りましょうか…一生、慎一、帰りますよ!
義父さんも義兄さんも、帰りましょう!」
「慎一、一生…五階に陣内達を残してある
残りの弁当と、スィーツは総て…そいつ等に渡してきてくれ!
その中に…聡一郎も入ってる…回収してきてくれ!」
了解!と一生と慎一は大荷物を持って部屋を出て行った
暫くして聡一郎が帰ってきた
「聡一郎、悪かったな…」
康太が声をかけると
「陣内がいました…あのドスケベ親父…僕のケツ触りやがった…」
「……許せ…悠太に消毒してもらえ…」
「別に良いです…」
「なら、帰るか。父ちゃん、一生達は伊織の車で帰るかんな、先に行くわ!」
「気を付けて…伊織、頼みますね!」
瑛太と清隆に送られて…康太達は帰宅する
地下駐車場へ向かい…皆で…車に乗り込む頃には…皆…ヘトヘトだった
車の中で…康太は
「聡一郎、悠太とは、どうだ?」と問い掛けた
「悠太は、気を張って…頑張ってますが…男としては…駄目だと…落ち込んでます…
僕は体の結び付きなんて…構わないと言ってるのに…アイツは…聞きゃあしません!」
「ガキだからな…。
勃起もしねぇのか?」
「しませんね…興奮はしてますが…股間は無反応です…」
「ケツの傷は?」
「一生が弥勒さんの傷薬を分けてくれました
一生の肩は完治して要らないからって、それで傷は治癒して綺麗になったんです…
凄いですよ…あの薬…でも傷は治っても…男として…ダメみたいで…イライラが凄いです」
「そうか…困った子供だ…」
「今は…部屋に閉じ籠りで、出てきません!
聡一郎は良い男を探せば良い…と言う始末です!」
「それ…本心か?」
「さぁ?どうなんでしょ?」
「悠太は、今回の事が片付かねぇとな…
もうじきアイツの卒業式だ…
これが片付いたら…悠太と話し合うとするわ…あと少し放っておけ!」
「解りました!」
飛鳥井の家に着くと…車から降りた
そして家の中に入り…各々の部屋へと戻っていった
康太も…寝室へと入り…スーツを脱いで…榊原に渡した
榊原がハンガーに吊るし…Yシャツはクリーニング…と、選別する…下着も脱ぎ捨て…
康太は疲れて…ベッドへダイブした…
ベッドのフカフカな感触を楽しんでいると…
背中に…榊原がのし掛かって来た
あぁ…車の中で…焚き付けたから…
のし掛かった榊原の硬い肉棒が…康太の尻に…触れた
「眠たいの?」
「……寝れるのか?伊織は?」
「無理ですよ…君が着けた焔が燻って…君に触れば…引火します!」
榊原は康太の背中に…口付け…舐め上げ…紅い花を散らして行く…
「あっ…伊織…」
愛撫は本格的なものになって…康太の腰を高く上げさせて…尻の穴を…解した
指を突っ込み…舌で舐め…舌を挿し込んだ
榊原の唾液が…内腿に伝って流れ行く…
びちゃびちゃに濡らされた穴は…貪欲に欲しがり戦慄いた…
「あっ…あん…伊織…も…もう…」
催促するが…榊原はくれなかった
肉棒が…康太の穴を…突っつく
「どうして欲しいのですか?」
榊原が問い掛けると…康太は…
「欲しい…」と哀願した
「何が?バイブですか?」
「違っ!そんなん嫌…伊織が…伊織が欲しい!」
「僕の何が?指ですか?」
「違う……伊織の…が…欲しい…」
「何処へ?」
「オ…オレの…ケツの…穴に…」
「挿れて欲しいの?」
「ん…伊織の太くて…硬い…肉棒が欲しい…」
「良く出来ました……バックからは嫌なんですよね…?」
「良い…そのままで良い…早く…ねっ…」
康太が振り返り…榊原を誘う…
榊原は…康太の中へ…挿入した
康太の背中に重なり…腰を使う
康太の腰を抑え…肉棒で貫き出し入れする
その感触に…康太は鳴いた
「アッ…弛めて…康太…」
「伊織…あぁっ…無理ぃ…ゃん…」
榊原は康太の性器を握ると…扱いた
「ぅ…イク…あぁっ…!」
康太は榊原の手の中に…射精した…
榊原は……康太の締め付けに……思わず…イカされた…
それでも…勢いはそのままで…康太の中に…留まっていた
榊原は繋がったまま…座ると…
康太の足を抱えた
まるで小さい子供が排尿をされる時の姿の様に…足を持たれ…下から貫かれていた
仰け反ると…息も着かない…接吻に見舞われ…康太はイッた…
少し遅れて…榊原も康太の中に…総てを吐き出した…
「ぁっ…あぁっ…も…許して…」
「明日も朝から忙しいですからね…抜きます…」
榊原は康太の中から抜くと…康太の体を横たえた…
「伊織…ごめん…」
「何でですか?」
「伊織に我慢させてるのは…解ってる…
でも……体が…着いて行かないかんな…
伊織に…その分…我慢させてる…」
「満足してますよ…康太を抱くだけで…
僕は満足出来てます…愛してますよ…」
「オレも愛してる…伊織だけ…」
中を…長い指で弄られ精液を掻き出された…
康太は…榊原に縋り着いたまま…夢に落ちた…
榊原も康太を胸に…眠りに落ちた…
外には…青龍が破砕した…氷鏡の雪が…舞っていた
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