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第33話 明日へと続く
会社の地下駐車場に着くと車を停めた
力哉は車を降りて…守衛室にインターフォンで連絡を入れた
守衛の親父が取ると…エレベーターを起動させた
最上階に上がると…守衛の親父が待ち構えていた
「親父…悪かったな!」
「構わんさ!でもなワシは定年退職だ…
この先は…トラブル…あるかもな…」
「若い奴は…遊んで…使い物にならんとか?」
「見えてたか…」
「次の更新はしねぇし、4月になったら、他の会社と契約するかんな!」
「そうか…ワシの最後の仕事の日に…坊主に逢えて良かったな…」
康太は笑った
「ありがとな…親父」
康太は開けてもらった屋上のドアを開けた
真っ暗の…空が…少しだけ…明るくなる
「そろそろ…かな?」
康太が…朝陽を待つ
一生が「そろそろ…顔出すやろ?」と続けた
榊原が「来ますよ…水平線が…明るくなって来ました…顔を出します」と指差した
蓮は…榊原が指差す方に…瞳が釘付けになった
「蓮…始まりの朝陽だ!」康太が…口にする
真っ赤な朝陽が…水平線から顔を出して…上ってきた
「赤いな」
康太が言うと榊原が
「本当に…赤いですね…」と答えた
「連…忘れるな!
今日の……この朝陽の赤さを…忘れるな!
忘れなきゃ…曲がらずに…この先生きてけらる…
この…朝陽の赤さを、心に刻め…蓮!」
蓮は…何度も頷いた
そして…朝陽から…目を離す事なく…
胸にも…その瞳にと…焼き付けた
朝陽が上りきると…康太は…屋上を後にした
飛鳥井の家に帰ると、一生達は置いて行き、蓮を…マンションへと案内した
飛鳥井の実家から、歩いて20分…
駅前のタワーマンションの最上階のワンフロアーを蓮にやると言うのだ
「この最上階にある部屋は2つ
20畳のダイニングキッチンとリビング…寝室、部屋は3部屋3LDKの住居部分と、
部屋の仕切りは一切ないテナント
この部屋も30畳位あるのかな…
この部屋をやる。仕事部分と住居部分で分けて使え」
「良いのかよ…こんな良い部屋……」
「飛鳥井を救った功績は大きい
俺の資産を減らさねば…くれてやる…と、言ったろ?
ならば、受け取れ…お前のだ
力哉…契約書にサインもらえ
オレは事務的な事は一切しねぇんだよ!
適材適所…役割分担があんだよ!」
と、悪戯っ子みたいな顔で…康太は笑った
「康太…」蓮は康太を抱き締めた
「寂しかったら…飛鳥井に来い!
腹が減ったら飛鳥井に来い!
暖めてやるし、食わせてやるからよ!」
蓮は何度も頷いた
「蓮、この家に住むなら、家具を買いに行け!
金はお前が出せよ!
ついでに車も…変えた方が良い…
此処は雪深い土地じゃねぇ…あの車は不要だろ?」
康太は線引きをする…
住み分けをする
「解った…車も変える…家具も買う
自分の好きな家具じゃないと…住むのも嫌だから、自分で選ぶ…」
「どうする?買いに行くか?業者を呼ぶか?
好きにすれば良いぞ。でもな買い物は値切らねぇとな…!」
「値切るのか?」
「おう!定価で買う奴はバカだ!」
康太の手に掛かったら…
稀代の相場師も形無し…である
「康太…俺は値切るのは…出来るか解らない…」
「なら、伊織と力哉を置いて行く!
店に行って買って来い!頼めるか伊織、力哉」
力哉は「解りました!」と答えた
榊原は「君は…どうするんですか?」と尋ねた
「オレか?オレは行く所があんだよ!
どの道…伊織は連れては行けねぇ…
力哉、慎一を下で待機させといてくれ
帰ったらな…話す…それで良いか?
一人じゃねぇ…慎一を連れて行く…」
「はい。何か有ったら…呼んで下さい
慎一に連絡すれば…捕まりますね?」
「おう!必ず何かあれば連絡する
慎一に電話すれば繋がる様にしとく
オレはお前を泣かせる様な事はしねぇ…
だがな動かねぇとないけねぇ時もある…
一人で行かねば…逢えぬ相手もいる…
見えてる果ては…話せねぇ…そんな時は…勝手する。
だけど、お前の所に必ず帰る!約束する」
「解ってます…」
榊原は、息を吐き出した
榊原は、康太の腕時計を見た…
世界に数台しかない…高価な腕時計を…
それで…行き先の想像は…着いた
「康太、慎一が下に着きました」
力哉が連絡を受け、康太に伝える
康太は「蓮、またな。頼むな…伊織、力哉」と言い…部屋を出て行った
エレベーターに乗り込み…一階まで降りて行く
マンションを、出ると…慎一が車から降りて待っていた
「悪かったな慎一…」と言い乗り込もうとすると…一生もいた
「一生…お前もか…」
「あたりめぇやん!お前が行く所に…俺は着いて行くと決めてんのによぉ!」
「なら、伊織に電話しとけ…すげぇ心配してたし…」
一生は了解…と言い、榊原に電話を掛けた
『一生…?どうしましたか?』
榊原が訝しんで聞いてくる
「旦那、康太と共に行くからな、心配すんな!」
…逆に心配です……君は康太を止めないじゃないですか…とは…流石に言えない……
榊原は仕方なく
『頼みますね…何か有ったら電話を下さい…』と頼んだ
一生は「解ってまんがな!旦那、任せとけってば!」と言い電話を切った
榊原はため息をついた
力哉は「どうしました?」と問いかけた
「一生のオマケ付でした…」と答えると…力哉もため息をついた
「一生は…康太の為に生きてますからね…」とボヤいた
車に乗り込むと…慎一が何処へ行きますか?」と尋ねた
「蔵持善之助の所へ…行ってくれねぇか?」
慎一が蔵持善之助…?と呟くと
「政財界のドン…と謂われる…蔵持善之助かよ?」と一生が康太に尋ねた
「あぁ。そこ。」
慎一はナビに…行き先を打ち込むと…車を出した
「蔵持善之助とはお知り合いなのですか?」と慎一が問い掛ける
「おう!蔵持は警備会社を持ってんだよ!
直に頼みに行こうかな…と思ってな」
一生も慎一も言葉がなかった
「一生、慎一」
「あんだよ?」一生が康太に問い掛ける
「蔵持善之助の前では…伴侶の話は…NGだかんな!絶対に言うな!良いな!」
「解った!」一生は約束した
慎一は頷いた
慎一は…ナビに導かれ…車を走らせると…
塀が…見えて来て…かなりの塀沿いに…走って行く
塀が途切れると…立派な武家屋敷ばりの…屋敷の門が…姿を現した
康太は車から降りると…門のインターフォンの、ボタンを押した
カメラが作動され…『何方様ですか?』と問い掛けられた
「飛鳥井康太が来たと…お伝え下さい!」
カメラを見据え…言い放った
対応に出た…お手伝いは、カメラに立つのは、どう見ても…金髪の柄の悪い子供だから悪戯だと…
『旦那様はおりません!』とインターフォンを遮断した
康太は…天を見上げ…
「弥勒…いるよな?」と問い掛けた
『…覇道は家の中に在る…』
と、弥勒が答えると…康太は、一生に手を差し出した
一生は康太に携帯を渡した
記憶してるのか…康太は番号キーを押して…通話を押した
「飛鳥井家 真贋 飛鳥井康太です…御無沙汰しております」
康太が言うと…相手は大喜びだった
『康太!逢いたかったです!
最近、食事に誘っても時間が合わなくて…卒業祝も渡せません…!
先日の参考人招致も…力にもなれなくて…悔しかったんですよ!
見ていて…ずっと…泣いてました…』
と嘆いていた
「オレさ、今、お前んちの門の前にいるって言ったら…どうするよ?」
『えええええええ!!!本当ですか!』
「おう!帰ろうかと思ったんだけどな…折角来たのにな…帰るのもバカバカしいかんな、電話した」
『電話をもらって良かったです!
直ぐに行くので帰らないで下さい!
お願いします!』
誰ですか!飛鳥井家の真贋を…門前払いにしたのは!!!
蔵持善之助は怒鳴り声を上げて…対応した奴を…叱り着けた
暫くすると…重厚な門が…ギギギギキィーと音を立てて…開かれた
「康太!失礼な振る舞いをお許し下さい!」
蔵持善之助が深々と頭を下げ…康太に謝る姿は…信じられない位に…驚異だった
「善之助…オレを連れて行け!」
善之助は飛鳥井清隆位の年で…ダンディーで、男前な男だった
善之助…と言うから高齢な方かと思ったが…若かった
善之助は康太を抱き上げ…家の中に…歩いて行く
蔵持の執事は…慎一に…
「失礼を致しました。此方に…お願いします。」と頭を下げ…駐車場まで案内した
駐車場に車を停めると…執事は慎一と一生を案内して家に入っていった
家の中に入ると…お手伝いが整列して…康太と主に頭を下げた
康太は…善之助の腕から降りると…お手伝いを見渡して…笑った
「善之助、良い従業員に恵まれるな!
職務を遂行したんだ、怒るんじゃない!
この家に…不審者は入れぬと言う心構え!
天晴れだ!それで良い…そうでないといけねぇ!
オレはお前の覇道を詠んで…アポなして来たかんな!
そんな奴を…飛鳥井家 真贋、と言えども…言われたまま家に入れていたら…大変な事になる!
主を守るは…使える者なり…良く教育されてる!
今後も…簡単に入れさせるんじゃねぇぞ!
主の為なら…理不尽を耐えろ…。」
康太はそう言い…ニカッと笑った
お手伝いは…康太に深々と頭を下げた
それを見ていた執事は…
「貴方の主は…御立派な方ですね…」と言葉を掛けた
慎一は…執事に
「有り難き御言葉…痛み入ります…」と返した
「仕える者を見れば主は解ります
我が主は…康太様に心酔されておいでだ
今後も…顔を合わせる事となりますね
宜しく御願い致します…」と深々と頭を下げられた
康太は堂々と…招かれて歩く
その風格…ただ者ではないのを従業員は悟った
立派な応接室に通され…善之助は康太をソファーに座らせた
そして執事に
「康太に紅茶とケーキを!ご一緒の方は…珈琲の方が宜しいかと?」
と命令すると執事は、只今…と言いメイドに指示を出した
康太の前に紅茶とケーキが置かれると…
善之助は康太に話しかけた
「何かご用が有りましたか?」
「善之助の所は、警備会社も持っていたよな?
施設警備とSP専用の警備会社を。」
「はい。高度な技術を教育した社員のいる警備会社を作ろうと思いましてね」
「今の飛鳥井の警備員は…遊んでる…
定年間際の親父が一人で仕事してる状況だ…
警備会社を変える…
真贋はオレだ!源右衛門の時代の…会社は終える
それで…善之助の会社と契約しようと思ってな
飛鳥井建設と…トナミ海運の…会社の内部を守って欲しい!」
「トナミ海運?」
「顔位は知ってるだろ?」
「知ってます…あの方とは話は…してませんが…」
「……???何で…?」
「近寄りがたい…御方ですからね」
「それは有るかもな…
まぁ良い…で、契約してくれねぇか?」
「今日ですか?」
「違う…善之助の都合の良い日で良い。
連絡してくれ。
オレは最近まで…死にかけていたから、連絡出来なかったかんな、顔見せだ」
善之助は康太を抱き締めた
「君に…高校卒業のお祝いを…渡しそびれてます…少しだけ拗ねてるんですよ」
「ならな、頬にキスしてやんからよぉ許してくれよ!」
「唇でも良いですよ?」
「なら、チューしてやんよ!」
康太は善之助の膝に乗ると…善之助の頬に手を当てて…チューをした
「機嫌を直せや…死にかけてたんだよオレは…」
「もう宜しいのですか…?」
「真贋の飲む毒が内臓に侵食してな…壊死寸前やった…毒を抜いて…弥勒や龍騎が…オレを死なせねぇように動いてくれたかんな…
何とかこの世に留まった!」
「そうでしたか…知りませんでした!」
「言ってねぇもん。言えば心配して来るだろ?そしたら…仕事しねぇかんな…
そんな事態になったら、この世は…回ってかんでしょ?」
「言い過ぎですよ…康太。
私が貴方に付きっきりになっても…この世は回りますよ!
次は教えて下さいね!」
「嫌だ…佐伯に怒られる…」
「佐伯は怒りませんよ?」
「怒るってば…執事の娘は…怖いって…瑛兄が恐れてるもんよー」
善之助は笑った
飛鳥井の秘書の佐伯明日菜は……
蔵持善之助の執事の娘だった
父との確執で堕ちた佐伯を飛鳥井家真贋が拾って育てたの経緯が在る
複雑な親子間系は互いの主を優先にして‥‥交わる事なく離れてしまっていた
善之助は
「言われれば…佐伯も怖いですね…
親子して…鬼ですか…?」とボヤいた
善之助が言うと…執事は嫌な顔をした
「康太様、主が康太様にプレゼントを用意して待ってたのですよ?
どうかお受け取り下さい!」
執事は康太の前にリボンの掛かった…書類を出した
書類を出すと…
「BMW X5M の車載登記簿?」
康太が呟くと…一生が
「げっ!BMW X5M
6AT/左右H/439*CC
555PS/69.3Kg-m
車内重量 2.370Kg
推定値段 14,710,000~
なんつうモノを戴くの…!」
叫んだ!
「高いんか?」
「やから言ったやん…推定値段14,710,000位やって…」
「1400万円台…か…高すぎだな…
善之助…人に贈るプレゼントの範疇を越えてるって…一生が、怒ってるやん…」
「気に要りませんか?なら…もう1ランク上げますか?」
康太はガックシ肩を落とした
「くれるのか?こんな高いのを?高校の卒業祝に?」
康太が聞くと…善之助は…康太を抱き締めた
「君に出逢って…10年。
君が高校を卒業する時に…祝ってやりたくて、執事の佐伯に…私の小遣いを…管理させて貯めさせた
それで買えるのを買った。
私の10年分の…想いだよ。」
「ありがとう。喜んで貰っとく。」
一生も慎一も…ガ~ンとショックが凄かった
貰うのかよぉ~
「成人式の時は…これよりは安くなってしまうけどね…今から楽しみなんだよ♪」
「善之助…心が籠れば…オレは何でも嬉しい
もぉ、チューしたくなるかんな!」
康太は善之助の顔を持ち上げると…熱烈で、ディープな接吻を…善之助に贈った
唇を離した時…糸を引っ張る程の…粘っこい接吻だった
「康太…激しすぎませんか?」
「そうか?」
「…少し…クラッとしました…」
「愛情を込めたかんな!」
「康太…」
善之助は康太を抱き締め…瞳を閉じた
「貴方は…私の唯一のオアシスです…
私の進む…闇の道照らしてくれる…一筋の…光明です……」
「善之助…」
「ですから、私がどれだけ…あの参考人招致に…腹を立てたか…ご存知ですか?」
「でも…オレは闘っただろ?」
「……貴方は…ちゃんと闘いましたよ!
でも貴方を追い詰めた…あの人間は…許したくはないのです!
貴方の弱味は…1つ…承知で行くのを見てる私は…涙が止まりませんでした!」
「……よしよし。弱味は…手離せねぇんだよ…許せ」
「手離さなくて良いです…唯…私の前では…
言わないで下さいね!」
「言ってねぇだろ?オレに仕える者も…
決して口にしねぇ…違うか?」
「違いません…康太…も少しマメに逢いに来て下さい」
「我が儘言うお前は可愛いな。
飛鳥井が片付いたら…も少し余裕が出来るかんな!待っててくれ!」
善之助は、はい…と言い、康太に擦り擦りした
執事は「康太様、御車は御自宅にお贈りしますか?」と問い掛けた
「会社に持って来てくれ!こんな高けぇの盗まれちまう…車庫を作らねぇとな…
それまで会社に置いておく」
「君以外は…運転させないで下さいね…」
「プレゼントを…人にやるバカはいねぇよ!
誕生日に貰った…腕時計は…外してねぇぜ」
世界に数個しかない腕時計は…この人からのプレゼントなのね~と一生が心の叫びをする
康太はソファーに座り直すと…
「ならば、善之助に御返しをするか
今後の…経済の主軸は…物流によるのが大きい。物流が伸びれば…モノが動く…人も動く…
雇用の促進にもなる…工場が海外に行ってしまった日本の産業は…物流が握っている
戸浪海里を…離さねぇのは…そう言う訳もある!
だからな、その人嫌いのお前に…逢わせてやるよ!戸浪海里を!」
康太は戸浪に逢わせるつもりだった
だが‥‥善之助は
「嫌です…逢いたくないです…」と駄々をこねていた
「なんて…文句は聞かねぇぜ!
契約の日…弱味は連れて行かねぇけど、戸浪は連れて行く!良いな?」
「…………」
善之助はそっぽを向いた
「この人間嫌い!」
「康太は大好きですよ!」
「善之助…お前にとって、この先…戸浪海里は…持っていて損のないカードだ!
オレの言うことを聞け!解ったな!」
「康太の言う事を聞いて…結婚したし…子供も作った…聞いてない事はないではないか!」
「良い子だ…。」
一生は頭痛がしてきた
慎一は…目眩がしてきた
何なんだよ…この関係は…
「……康太…」
甘えて…絶対の信頼を…康太に向ける
執事は「康太様…飛鳥井建設が持ち直してくれて…大変良かったです
でないと我が主は…資産を処分して…助けに入るところ…でした」と愚痴を溢した
「神取羅刹を動かし…株を操作させたからな…
絶対に!オレは負けるとは思っちゃいなかったぜ!」
執事は…神取羅刹……北の相場師…と呟いた
「そう。株価も持ち直したし、邪魔な株主は排除出来たし…まぁ良かったと思うぜ!」
飛鳥井康太しか吐けない台詞だった
康太は立ち上がると
「そろそろ仕事だろ?頑張れ…何時も見守っているからな!」と善之助に言葉を掛けた
「まだ……良いでしょ?」
執事は…首をふった
「ケチ!」
善之助は執事にベーとしたけど、執事はお構いなしだった
「都合の良い日に連絡をくれ!
そしたら、その日にオレは戸浪と行く
秘書は連れてくけどな…許してくれ
オレは契約は…サッパリだ…秘書を連れねぇとな困る…」
「秘書………だけなら…」
「良い子だ。なら連絡をくれよ。」
「解りました。」
康太は善之助の唇に…キスすると…優しく抱き締めた
「なら、オレは帰るな!」
「時間を…作って下さい…お茶して食事出来る…時間を作って下さい…」
「良いぜ。それも連絡して来い!解ったな」
善之助は頷いた
「善之助、立て」
善之助は立つと…康太に頬をポシポシ叩かれた
「良い男なんだからよ…毅然としてろ!」
「はい!ではまた。御逢い出来る日を御待ちしています!」
康太は笑って…片手をあげると…背を向けた
後は…振り返らずに…応接室を出ていった
メイドに案内されて…家を出ると…従業員は…頭を下げてお見送りをした
駐車場まで行き車に乗り込むと…
重厚な門が開き…慎一は走り出した
従業員は…その車が見えなくなるまで…頭を下げてお見送りをした
康太は車に乗ると…ため息をついた…
「……疲れた…」
一生が「凄い方に…愛されてるやん…」と呟いた
「アイツの世界には…オレしかいねぇかんな…
愛されてるんじゃねぇよ……依存されてんだ」
「俺等も…知らなかったな…」
「オレにしか逢わねぇかんな…
他を連れて行くと…逢いもしねぇの…
今回は…珍しかったな…二人もいたのに…」
康太は思案したかのように…呟いた
「何時もは…逢わないのかよ…」
「そう。瑛兄が乗せて行ってくれた…ってだけで…追い返された…」
「今回は…プレゼントを渡したかったから…かよ?」
「寂しかったのかな…わかんね
一生、愛する…亭主に電話してくれねぇか…」
一生は、解ってまんがな…と言い榊原に電話を入れた
「旦那?康太が愛する亭主に電話してくれ…って煩くてな…変わるか?」
返事は聞かずに…康太に携帯を渡す
「伊織…抱いて…」
あ~!違った…抱き締めて…だった…
『康太…貴方…今何処ですか…!
股間に直撃しちゃいました…心臓に悪いです…』
「なぁ一生、此所何処なんだ?」
………俺に聞くな!こんな塀ばっかで解るか!
と一生は怒鳴ってた
「伊織…解るとこに出たら…掛け直す…」
『だったら、解るとこに出るまで…喋ってましょう…今日は誰に逢いに行ったんですか?』
「蔵持善之助」
『あの人嫌いの…なら、僕は留守番なのも納得いきました』
「一生達が来たからな…逢ってくれねぇと想ってたら…逢ってくれた…相当…参考人招致が堪えたと思う…一生と慎一が目に入らなかったみてぇだしな」
康太は笑った…
榊原は、笑えなかった…股間に直撃されたから…
一生は康太の受話器の側に口を持って来ると
「旦那、桜木町…少し行った所だ!
後10分位で…飛鳥井の家に着くぞ!」
『なら、ファミレスで待ってます!
康太…愛してます!』と榊原は囁いた
一生はげんなり…とした
「伊織、オレも愛してるかんな!
お前しか愛せないもんよー」
と、甘い…愛の…言葉を贈った
康太は電話を切ると…一生に返した
「甘過ぎ…でっしゃろ?」
「伊織は…オレを…他の男の所へ行かせたくねぇんだよ
でも、オレを縛るのは…許されねぇ
動けぬ真贋など…飛鳥井には不要…だからな
堪えてる分…不安になんだよ…
すると…愛してるって…煩い位になんだよ!
伊織にしか惚れてねぇのにな!」
一生は………
「愛って…ワケわからんわ!」と叫んだ
限界に来てたのかも…知れなかった
ファミレスに行くと…既に榊原は聡一郎と隼人と来ていた
康太の姿を見ると…その腕に抱き締め…
座席の下では…ずっと手を握っていた
「伊織は、昼は食ったのかよ?」
「君が食べてないのに?」
康太は榊原の腕を引っ張って…トイレへと向かった
男子トイレの個室に入ると…榊原を座らせた
「怒ってるのか?」
「怒ってなんか…いません」
「なら、拗ねてるのか…?」
「多分…少しだけ…拗ねてます」
「留守番…だったからか?」
「そうです。行き先を行ってくれれば…
諦めも着くのですが…嫌…行き先を言われても…無理かも知れません…」
「伊織…」
康太は便座に座る榊原の膝に乗ると…接吻をした
「愛してるのは…伊織だけだ…妬くな…」
「解っていても…妬けるんですから…許しなさい…君を愛し過ぎてるのですから…」
「気難しい奴だからな…オレ以外が行けば…逢わないのは解ってる…
時々…行くけど…オレは伊織の所へ帰る
ぜってぇに伊織の所へ帰るかんな!
堪えてくれ…」
「康太……キスして…」
「良いぜ…してやんよ」
康太は榊原に接吻した
榊原の上に乗って…接吻をしていると…
榊原の股間の反応が…良く解った…
ズボンを盛り上げ…自己主張をしている…榊原の肉棒は…熱かった
「伊織…凄すぎる…熱い…」
「君が欲しくて…」
「此所では…嫌だ…」
「解ってます…家に帰ったら…ねっ?」
「ん。帰ったら…好きにして…」
ズンッと…榊原の股間が嵩を増す…
「伊織…」
「解ってます…」
榊原は康太を退かすと…立ち上がった
深呼吸をして…凄い精神力で…自分を律し…
ストイックに振る舞う…
収まると…康太は榊原と手を洗い…トイレを出た
トイレから出ると、榊原の超不機嫌が……
ご機嫌に変わっていて
一生はため息をついた
なんて…現金な…お方なのぉぉぉ……
「そう言えば…旦那、康太が…蔵持善之助に凄い貢ぎ物を貰ったぞ」
榊原は、康太の腕を取り
「この腕時計より…凄いのですか?」
と、聞いた
榊原はその腕時計が…蔵持善之助から贈られたものだと…知っていたのだ
「そんなの…足元にも及ばねぇよ」
「何をプレゼントされたのですか?」
「BMW X5M
推定値段 14,710,000位の…ポーンと!
戴いて…来たんだぜ…」
一生は興奮して榊原に話した
「1400万円…をポーンと?
雑い康太に乗れと…?」
榊原は唖然と…呟いた
「オレしか乗れねぇよ…伊織でもダメだ
乗せられねぇ…それが約束だ…」
「乗りませんよ…でも、気を付けて下さいね」
康太は頷いた…そして榊原に
「伊織、メルセデスベンツ…買ってやろうか?
瑛兄クラスでどうだ?」と囁いた
榊原が康太を見ると…流し目に悩殺された
「オレが貢いでやるよ…お前には…
だから、オレ以外の奴から貰うなよ!」
ともだちにシェアしよう!