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第39話 過去と今
朝早く…一生は聡一郎と共に、ベッドを抜け出し…キッチンへと向かった
一生特製おにぎりを…康太と榊原の分も作り、自分達の分も作り…出掛ける事にした
外に出て…車に乗り込むと…
無言のまま…一生は車を出した
聡一郎は瞳を閉じて…
覚悟を決める…
飛鳥井の家を出て…一生は聡一郎を作り直す…旅へと出た
一生と聡一郎がベッドから出るのを…知っていて…康太と榊原は、寝たフリした
康太は、腹這いに寝そべり…脱け殻のシーツのシワを指で撫でた
「行きましたね…康太…」
「………あぁ。」
「今日は…どうしますか?」
榊原は、康太の背中に…接吻を送り…言葉にした
「伊織が…ベッドから出してくれなさそうだからな…」
「…お預けがありましたからね…出せませんよ…」
「我慢させたかんな…好きにして良い…」
「君は僕のモノです!君の総ては…僕のモノです!」
榊原は……背中舐め…指は…乳首を摘まんだ…
「あっ…伊織…」
快感に体が囚われ…溺れて行く
背中のラインに添って…唇が降りて行く
康太の…お尻に…手をかけると…下着を脱がせた
柔らかい…お尻を掌で包み…揉むと…康太は、仰け反った
「バックから…挿れても良いですか?」
「ん…良い…」
「その前に…舐めてあげます…」
康太の腰に腕を回し…お尻を突き出させる
康太の性器を弄り…指を挿し込み…舐めた
後ろと前と…同時に責められ…康太は喘いだ
「ゃん…伊織…イキそうだってば…」
「欲しいですか?」
「欲しい…伊織の…欲しい…」
「なら、おねだり…して下さい」
「伊織の硬くて太いのをオレの…ぁん…あぁん…お尻に欲しい…」
「もう少し…言えるまで焦らしたいのですが…僕も我慢出来ないので…許してあげます…」
榊原は康太のお尻を開けると…穴の中に…
性器を突き立てた
康太は…挿入の瞬間に…イッた…
榊原は…康太の中の締め付けに…不本意にもイッた…
中が…榊原の精子で濡れる…
「伊織…熱い…あっあぁん…中が…濡れる…」
「君が僕を絞り出したんですよ?」
「違っ…やぁ…また来るぅ…」
「何度でも…イカせてあげます…
だから、僕に付き合ってもらいます」
康太は…シーツを握り締めた…
榊原は康太の中から抜くと…仰向けに寝かせ…足を抱えた
「そんなシーツを握るなら…僕の背中を抱いてなさい…」
「伊織…伊織…」
康太の腕が…榊原を掻き抱く…
再び挿入すると…康太の腸壁は歓喜し蠢き榊原に搦み着いた
足を開き…奥へと…奥へと…挿入する
深く挿入し…康太の弱い部分を掻くと、康太は榊原の背中に爪を立てた…
「伊織…イクぅ…」
康太は…榊原の首筋に……吸い付いた
「……っう……君の印を着けましたか?」
榊原は嬉しそうに…笑った
「オレのもんだかんな…」
「君のモノです…君も僕のモノです…」
「伊織…掻き回して…」
「掻き回してあげます。好きなだけ感じなさい」
榊原は再び腰をグラインドさせた
康太は愛しい男の背を抱き…
気を失うまで…愛し合った
榊原も…康太を求め…欲望の総てを康太の中に吐き出した
「康太…大丈夫ですか?」
「伊織…腰に力が入らねぇ…」
「深かった…ですからね…」
「ん…でも気持ち良かった…」
榊原の胸の上に…重なり、康太は榊原の胸に甘えた
「お風呂に入って、会社に行きますか?」
「ん。その前に飯食いてぇ…」
「なら、お風呂に入って…中も外も洗ってあげます」
康太は榊原の胸の上から降りて…ベッドに腰かけた
「ぁ…流れて…来る…」
榊原に抱き上げられた時に、流れて来る精液に…康太は身震いした
康太を抱く榊原の手を…溢れ出した精液が濡らした
榊原は康太を浴室に連れて行き、体躯をあらった
そして、何時もの様に、康太の支度をすると、洗濯機をセットして、康太をキッチンに連れていった
キッチンに行くと…テーブルの上に…一生特製おにぎりがサランラップをして置いてあった
「一生特製だ…」
康太はテーブルに座ると、サランラップを外した
康太は真っ黒に海苔の巻いた一生特製を頬張る
「一生…」
想いを…一生と聡一郎に馳せる
「静岡に…着いた頃ですかね…」
榊原が康太に問い掛ける
「一生だからな…聡一郎を立て直して帰って来るんだろうな…」
榊原は、康太の頭を撫で…そうですね。と呟いた
慎一が、康太の側にやって来て、隼人は仕事に行った事を告げた
康太はなにも言わず…食事を済ますと…会社へと顔を出した
一生は、康太のPCのデーターを自分のタブレットに転送した地図を見た
静岡の…茶畑しかない道を…山へと上がって行く
上りきると…白い…建物が見えた
一生は取り敢えず…病院へと車を走らせた
病院の駐車場に車を停め…車から降りると…
「四宮…聡一郎さんですか?」と声をかけられた
聡一郎は驚愕の瞳を向け……振り返った
「何故…僕を知る?」
「私は…四宮朝霧さんの担当の看護師です
飛鳥井康太さんに…此処へ来るから…お父様の最後を教えてあげくれ…と、頼まれました
朝霧さんは、貴方の写真を持ってたから…直ぐに解りました。」
康太が…頼んだのも不思議なら…
父親が…聡一郎の写真を持っていたのも…
信じられなかった
看護師は「此方へ」と案内して…病院へと入って行く
病室の前に立ち止まり…ドアを開けると…
聡一郎と一生を病室へと招き入れた
「この部屋に…入院なさってました」
部屋の中は、遺品の整頓が未だだと…
四宮朝霧がいた頃のままになっていた
「飛鳥井康太さんに頼まれ…保存してあります。貴方の手で…整頓してあげてください。」
看護師は…頭を下げ…病室を出て行った
病室の中を…聡一郎は見て歩く
クローゼットの中を開けると…アルバムと…一冊のノートが出て来た
アルバムは…聡一郎の写真だった…
父親の側を離れて寮に入った頃のから、最近のまで…あった
見るからに…隠し撮りで…笑っている聡一郎が何枚もあった
ノートには…懺悔の言葉が…書いてあった
『ごめん…』
『許してくれ…』
『お前の手で…裁かれ…地獄に落とされたかった…』
と、様々だった
そして、最後のページには
『聡一郎…すまなかった…
私は…本当は…お前を…手放したくなかった
妻を亡くし…お前まで取られてしまいそうで…
私は怖かったのだ…
笑ってるお前を…何度も見に行った
お前は気付かないのに…お前の天使は…必ず気付いて私を見ていた…
お前には…最強の天使が着いている…
私は…お前にとって良い父親ではなかった
だが、私はお前を愛していたよ…
愛してる…聡一郎
お前のいない世界に…意味はない…
お前の母の所へ…行こうと思う…
でも、同じ場所には…行けはしない…
私は…この手で命を断ち切るからだ…
さよなら…聡一郎
幸せになりなさい…
誰よりも…お前を愛しているよ』
聡一郎は、総てを読み終えた時…
「本当に…貴方は身勝手だ…」と言い捨てた
自分の好き勝手に生きて…
好き勝手に…幕を閉じて…
聡一郎は、自らの手で…遺品を整理した
父親の持ち物は…段ボール一箱だった
ベッドの横のテーブルには…聡一郎が康太や一生、隼人と笑っている写真が飾ってあった
何時撮られたのかも知らない…写真だった
最後に…その写真立てを…段ボールに入れて…聡一郎はガムテープで蓋をした
そしてベッドの上に段ボールを置くと…
父親の…見て来たであろう…風景を…見た
「康太には…解ってたんでしょうか?」
「見えてたんだろ?…だから、心を鬼にして…送り出したんだよ…
冷たい言葉を投げ捨て…お前を送り出した」
康太の想いが…痛かった
誰よりも…愛してくれたのは康太だった
変わらぬ愛をくれた人…
「この写真……康太かも知れねぇな…」
息子しか残ってない…朝霧の為に…送った写真だと言うのか?
「あの男に…康太は写真を送っていたのですか…?」
「しか考えられねぇ…この封筒見てみろよ…」
山のような封筒が…取ってあった
どこかで見た…雑い殴り書き…
聡一郎はその封筒を握り締め…泣いた
「棄てて置けば…良かったのに…」
「出来ねぇのが…飛鳥井康太だ…」
聡一郎の嗚咽が響いた
一生は…何も言わずに…瞳を閉じていた
聡一郎は…泣いていた…
そして、気持ちを決めて…一生を見て
「父の…飛び込んだ…場所が見たい…」と言った
「良いぜ…連れてってやんよ!」
一生は段ボールを抱えると…看護師に一声かけて、病室を後にした
駐車場に行き…車に乗り込む
登ってきた山道を…今度は降りて…行く
潮の香りが…キツくなった…頃…
一生は車を停めた
「この先の崖だ…」
一生が言うと……聡一郎は車を降りた
崖の…側に向かうと…柵があった
この柵を…乗り越えて…飛んだと言うのか?
しかも…こんな病院から離れた場所に…
歩いて向かったと言うのか…
歩いている間中…何を考えていたんですか?
死ぬため…だけに…こんな人気のない……
場所に来たと…言うんですか…
何故…
何故なんですか!
柵を覗くと…足がすくむ…
下を見ると…絶壁に…波が打ち付けられていた
聡一郎は、クラッ…となると…一生の力強い腕が…聡一郎を掴んでいた
「離れろ!」
一生が怒る
聡一郎は柵から離れると…崩れた
そんな……聡一郎の目の前に…
優しかった頃の…父の姿が…あった
『聡一郎、危ないよ…』
父は…優しく笑いかけていた
狂気の…欠片もなく…穏やかな顔で…
聡一郎を見ていた
「父さん…!」
『聡一郎…父を許して下さい…』
「何故…飛んだのですか…?
何故…自分の命を…断ったのですか?」
『生きていても…辛い日々だった
お前のいない世界で生きるのは…苦痛だった
だからね、この崖を飛んで…君の側に行こうとした…でも、行けないんです
自ら命を断つ者は…君の側へは…行けないんです…
バカな事をしました…』
「貴方は身勝手だ!…そして愚かだ!」
聡一郎はそう言い…泣き叫んだ
『その通りです…私は…愚かだった…
その事に…命を落としてから…気が付いても…遅かった…
聡一郎…誰よりも君を愛していました』
「僕は…誰よりも…嫌いだったよ…」
『お前に…嫌われたまま…旅立つのは辛い…
そう言ったら…君の天使が…別れの場を用意してやる…と言ってくれたのです…
最後に…君に別れが言えて…私は…救われました』
「康太が…そう言ったのか?」
『聡一郎…永久の別れです…
私は…自ら…命を断ったので…輪廻の輪に…
戻れません…この地にさ迷う…悪霊になるしかなかったのを…君の天使が…救ってくれました
輪廻の輪に…加えられる為に…苦行の道に旅立てと言われました…
君の天使が…用意してくれた…道だ…
私は…この道が用意されただけでも…ラッキーだった…
でなければ…私は…この地で…恨みながら…死者を呼ぶ悪霊になる所でした…
君の天使に…お礼を言っておいて下さい!
ありがとう…と伝えてください!
最後に…愛する息子に逢わせて下さって…ありがとうございます…と伝えてください』
四宮朝霧は深々と頭を下げると…
ふわっ…と聡一郎を抱き締め…
消えていった…
最後に…耳元で…
『誰よりも…幸せになりなさい…』と言葉を残して…朝霧は消えて行った
優しい…父親の…最期だった
父親の…亡くなった場所に佇み…
涙が枯れるまで泣いた
それが、供養だと想ったから…
そして、涙が枯れると…聡一郎は立ち上がって
「一生、康太の所へ…帰りたい!」
と叫んだ
「おう!帰ろうぜ!その前に…遺骨をもらわねぇとな!」
「遺骨は…母の墓に入れてやる!
苦行を済ませたら…母の…所へ…行くが良い!」
「そうか。」
「一生、僕には康太がいる!
やっぱ…一番愛してるのは…飛鳥井康太だ!
彼以上に…愛せる人間なんて…
親でもいませんよ!」
「………康太に勝る人間なんてねぇよ!
愛してるのは…康太が一番!
それはこれからも変わらねぇしな!」
「一生、サクサク遺骨を貰ったら帰りますよ!康太を抱き締めて…やっぱチューでしょ!」
聡一郎が叫ぶと…
一生は笑った
「その前に…お前を…繋ぎ合わせて…ピカピカにしねぇとな…抱いてやるよ…聡一郎…
泣いて…繋がって…明日…帰るとするか…」
「一生は…性欲ないですからね…繋ぎ合わさるか…解りませんね…」
「くそっ!俺の愛で…育ててやったのに…
仕方ねぇ…抱き締めて寝てやるよ…」
「一生」
「あんだよ?」
「ありがとう…」
「それは康太に言え!」
聡一郎は首をふった
「僕を送り出してくれたのは…康太で…
支えて…この世に繋ぎ止めてくれるのは…
やっぱし…一生なんだよね…」
「おめぇを拾ったのは俺だからよぉ!
繋ぎ合わせて…作ったのは俺だ
その器に魂を入れたのは…康太だ
康太が…お前の道を…外れる事なく…走らせる…道を作るのも…康太だ…」
「…………一生…帰りたい…」
「明日の朝な…やっぱ、繋ぎ合わせる儀式はしとかねぇとな…」
「嫌だ!もう一生に抱かれたくないです…」
「…んな事言うと連れて帰らねぇぞ!」
一生は拗ねて…そっぽを向いた
「可愛くなっちゃって…康太に抱かれましたか?」
「…それを言う?」
「一生だけ…狡いな…」
「何がだよ…」
「康太に抱かれて…三回も…」
「……オレを繋ぎ止めて…生かしてんのは…
康太だからな!」
「…狡い…」
「……俺に言うな!行くぞ聡一郎!」
一生は、聡一郎の腕を掴み…歩き出す
聡一郎は……心も…体躯も…軽くなっていた
解放されたのだ…父親の呪縛から…
最期は…誰よりも…大好きだった頃の父親だなんて…狡いよ康太…
あんな姿を見たら…憎めないじゃないですか…
聡一郎は…一生の運転する車に乗り込み…瞳を閉じた
遺骨が納められてる寺に行き、遺骨を引き取る
この寺でも…康太が…手筈を整えてくれていて…
書類にサインするだけで…遺骨を引き取れた
聡一郎はその遺骨を胸に抱いた
そして……車に戻ると…
一生は……車を走らせた
横浜へと…車は走って行く
そして、インター近くのラブホテルへと…車を突っ込んだ
一生は聡一郎の服を脱がすと…
自分も服を脱いだ
そして、風呂へと向かい…
やたらと大きな…風呂に…聡一郎と入った
「聡一郎…」
「何ですか?」
「性欲がわいて来ねぇんだけど…」
「僕は…大きくなり過ぎましたからね…」
「お前を抱いていたんだけどな…」
「…悠太は…性欲の限りで…抱いてくれますよ?」
「俺だって…力哉を性欲の限りで…愛してやるさ…」
「…………やりますか?」
「………そこなんだよな?」
「…僕…一生に触られても…感じません…」
「……俺も…勃起するか…不安だな…」
「…止めましょ…」
「…ラブホテルに入って…直ぐに出たら…
恥ずかしいじゃねぇかよ!」
「そこで…見栄張りますか?」
「うるせぇ!」
聡一郎は一生を抱き締めた
「愛とか…通り越して…しまったんですかね?」
「お前が…抱かなきゃいけねぇ程…悲惨じゃねぇからだよ!」
「そう言う事を言いますか!」
聡一郎は、一生の唇に…強引に接吻して…
股間を触った…
大人しく…眠った…一生の性器を…
聡一郎は触って…
「やる気ないでしょ?」と溢した
「ねぇな…帰るか…」
「帰りましょ…よくもまぁ康太は…こんなのを抱いてやりましたね…」
「康太と伊織に抱かれるのは…極限の精神状態だからな…訳解かんねぇんだよ!」
「あの二人のエロエロパワーは凄いですからね…」
「本当は…康太に…他の男の…精液なんて…飲ませたくねぇのにな…
伊織は…思いを閉じ込めて…愛をくれるんだ」
「伊織は…康太を心底…愛してますからね…」
「帰るぞ…聡一郎
飛鳥井の家へ…康太のいる場所へ!」
「帰りたい!康太の所へ…あの場所へ…帰りたい…!」
浴室を出て…脱いだ服を着る
そして、車へと乗り込み…飛鳥井の家へ…
帰るため…走った
飛鳥井の家へ帰ると…榊原の車はなかった
怪訝な顔して、一生と聡一郎は家へと入って行った
応接間には…誰もいなかった
三階の康太の部屋を覗きに行く
リビングのドアは開くが…寝室の鍵はかけてあった
車がないから…いないのだろう
一生と聡一郎は、一階に降りて…慎一に電話を掛けた
ワンコールで…慎一は電話に出た
『一生?帰って来たのですか?』
「康太は?飛鳥井の家には…どうして誰もいねぇ?」
『康太は…入院してます…皆さん…駆け付けて来てます』
「病院を教えろ!直ぐにいく!」
一生は叫んだ
慎一は…病院の名前と…病室を教えた
すると一生は聡一郎を掴んで…飛鳥井の家を飛び出していた
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