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第41話 苦難②
父 清隆、母 玲香、祖父 源右衛門
京香…そして、悠太が…揃っていた
「翔達は?」
康太が聞くと…京香が
「預けてきた…後で迎えに行く…」と答えた
「心配すんな…京香!」
「それは無理だ…お前を心配しない日など…来ない!」と答えた
「父ちゃん…母ちゃん、じぃちゃん…
すまなかった…」
清隆は「お前が生きててくれば…それで良い
でないと…飛鳥井は大量の葬式をあげねばならぬ…からね」と冗談めかし…それでいて真実を語った
玲香は「気にするでない…悠太の入学式には、我も行く!父も行く。明日は式が終わったら…此処へ来る…」と康太に言葉をかけた
源右衛門は何も言わなかった
康太の姿を見て、家族は安心して…やっと、帰宅の徒に着いた
暫くして…清四郎、真矢、笙が…神野と小鳥遊…須賀直人と相賀和也を引き連れて…やって来た
康太は…ゲッと言う顔をした
「伊織…」
「……言いたい事は…解ってます…」
「増えてるやん」
「何時増えたんですかね?」
榊原は悠長な事を言っていた
「「「「「「「康太!」」」」」」」
一斉に…康太の名を呼ぶ…
榊原は、「相賀さん…須賀さん…からどうぞ… 」と振り分けをした
でないと、一気に…康太に押し掛けてくるから…
須賀は…泣きながら…
「君が…入院したと…テレビで…」とやっとこさ答えた
相賀も顔面蒼白で…
「傷害と殺人未遂ってテレビで…やってました…」と康太に問い掛けた
「テレビで…流れてたのかよ?」
相賀は「はい。ニュースでやってました。
飛鳥井の会社の映像と…康太の顔写真が…出てました…後、秘書の方も…」
「オレの秘書は…まだ意識が戻らねぇ…
オレも明日から検査だ…
しかも傷害と殺人未遂じねぇよ!
強姦と…殺人未遂だ!」と康太は言い捨てた
須賀は「強姦と殺人未遂…」と呟いた
「参考人招致…以降…そう言う扱いをされんだよ
犯人もな、オレに言ったんだ…
男なら…誰でも良いんだろ…と言って、オレを切り刻んで…犯そうとした…
でもニュースで言えねぇよな…男の場合、強姦とも言えねぇしな…だから傷害と殺人未遂と言われるしかねぇんだよ」と康太は淡々と語った
須賀と相賀は…言葉をなくした
そんな辛い想いをして…
それでも…逃げずに…立ち向かう…
康太の姿に…須賀は…泣けて止まらなかった
相賀は…胸が痛かった…
一番最初に…そう言う目で…康太を見た事があるから…
康太を知れば…伴侶を真剣に愛しているのが解るが…知らない人間は好き勝手に…解釈する
相賀は…静かに怒っていた…
須賀も理不尽な…暴行を何故…されねばならぬか…腹が立ってしかたがなかった
須賀は「また。お見舞いに来て、良いですか?」と問い掛けた
「構わねぇぜ…当分オレは退院しねぇかんな」
相賀は「なら、また来ます。」と康太に言ったんだ
須賀と…相賀は覚悟の瞳をしていた
須賀は「飛鳥井家の真贋は…汚されて良い存在ではない…私は…許せません…」と吐き捨てた
相賀も「もし…私たちが動いたとしても…貴方は…黙って見てなさい!」と康太を見詰め言った
「須賀?相賀?なにすんだよ?」
二人はそれには答えず……また来ます…と言い残し帰って行った
清四郎と真矢も笙は…そっと康太の側に行った
真矢の優しい指が…康太の頭を撫でた
「康太…痛くはないですか?」
「薬が切れると…痛くなるかも…でも今は大丈夫だ…」
康太は答えた
榊原は「頭の精密検査が…明日あります…
力哉は…康太を守って…押し入った人間相手に康太を守ろうとした分…激しく暴行されました…康太は…力哉が退院せねば…退院しません…」と力哉の事を告げた
康太は…清四郎と真矢と笙に…説明をした
「突然…押し入られたので…何が何なんだか…解りませんでした…
真贋は…自分の事は…見えません…
オレは…今回は…何も見えてなかったから、不意打ちでした
押し入った奴等は…オレと力哉を殴って来ました
負けねぇ自信はあんだけど…力哉を助けてたら…頭を壁に打ち付けられ…気を失った…
力哉は…オレを庇い…助けたから…頭を壁に何度も打ち付けられ…
オレも頭を壁に…打たれた…気を失って…暫くすると…痛みに襲われた…切り刻まれてたんだよ
アイツ等…オレの服を脱がすのに…ナイフで…皮膚まで切り裂きやがったんだ…
そして…犯そうとした…
男の伴侶がいるんだろ?
男なら誰でも良いんだろ…って笑いながら…
アイツ等…オレを犯そうとした…
血と…精液にまみれて…オレは死にたくて…仕方がなかった…
こんな体じゃ…もう伊織に触って貰えねぇ…
泣くしかな出来なかった…」
康太は…淡々と語ったが、話の中にある…康太の想いを考えれば…
掛ける言葉など…出はしない
榊原は康太の頭を撫で…
「康太の体は…久遠医師に頼んでアルコール除菌してもらいましたからね…
その上で…僕が全身消毒してあげました…
もうすっかり…僕の康太です…
久遠医師には『怪我人を抱く奴なんざ見たことねぇよ!』って嫌味を言われましたけどね」
それは……嫌味じゃなく…真実だってば…
とは、言えなかった
笙は…「こんな傷して…縫ってあるのに…お前抱いたのか?」と信じられなくて呟いた
「消毒しないとね…康太は気にして…
死にたくなります…潔癖症な所が有りますからね…康太は…」
それでも……上半身…切り裂かれて…包帯してる奴を…
しかも頭も縫ってあるし…
検査をすると言うのなら安静にしとかないかぁ…と笙は想った
まぁ…伊織だから…仕方ないか…
康太は…笙に
「伊織以外の男の精液で汚された…自分を…オレは許せねぇかんな…
オレは伊織しか要らねぇ…
伊織以外の男に無理矢理…強姦されたら…
オレの中に…伊織以外の男が無理矢理挿いるなら…オレは間違いなく…死を選ぶ…
そうでなくても…もう……伊織には触って貰えねぇと…想うからな…伊織は消毒してくれたんだよ」と話した
康太の想いが…痛すぎる…
榊原は…そんな康太の…潔癖症な部分を知っていて…抱いたのだ
時間をあければ…頑なになるから…
無理して抱いたのが解った
榊原の家族は…悠太の入学式に出ると約束してくれ…帰って行った
榊原の家族が帰って…
榊原は康太に「少し寝なさい…」と声をかけた
「嫌だ…寝たくねぇ…寝たら…怖い…」
「怖くないですよ…僕がいます」
「伊織…」
康太は…瞳を閉じた…
榊原は…康太の…髪の毛を…撫でて寝かせた
康太は眠りに落ちる時…
榊原の手を握っていた
強く…
握って…離さなかった
榊原は、ずっと康太の顔を見ていた
朝…病室に一生が顔を出すと…康太は寝ていた
「康太、眠ってるのかよ?」
「はい。苦しそうですが…寝ています」
「傷はかなり深いのかよ?」
「頭が…頭蓋骨が…陥没する程の…殴打…でした
この先…記憶障害も出るかも…と、先生には言われてます…」
「記憶をなくす?……お前を忘れるんか?」
「有り得る…と、言われました」
一生は…絶望で…目眩がした
「康太は……眠るのを怖がってました…
目が醒めたら…記憶をなくしてる…可能性も…なくはありません…」
「記憶を…無くして…堪えれるのか…旦那は…」
「耐えるしか…ないでしょ?
僕に何が出来ますか…」
榊原は辛そうに…言葉にした
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