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第46話 揺らがない想い

康太は飛鳥井建設に出勤して、その日初日の受付嬢を迎え入れた 受付嬢は三人 受付嬢をやりながら、隣の社員食堂の管理もする 受付嬢だけ、やれば良い…暇な職場ではないと言うことだ そして、託児所への…人間の管理もさせる 階段や通路に防犯カメラを着けた 試験的に…社員の子供も預け…託児所は開業された 社員食堂も…開業された… 盛況で…社員以外の…来店の方が…多い 飛鳥井建設は…活気を見せていた 康太は出勤するや否や…副社長室に…受付嬢を三人呼んだ 昔…受付嬢をしていた倉沢芹香が受付嬢管理して…教育する 彼女は…結婚して益々美しく…そしてキツくなっていた 「倉沢…嫌…七瀬か今は…?」 康太が言うと倉沢芹香は 「倉沢で良いですよ!名前なんて…要は何でもかまやしません!」 康太は…そんなもんか?…と口には出さず…呟いた 「倉沢、受付嬢三人の教育はどうよ?」 「遣り甲斐有りまくり!使えねぇのな… 六人候補がいて残ったのは三人だ! でも使える奴に仕上げといた! 飛鳥井も託児所が出来たからな…働けて…私も嬉しい… 育児ばかりで…女として焦りも…生活の事も…色々考えてばかりで…老け込んでいたのに気付いた… 少しでも働けるなら…貴方の為に……働きます!」 「頼むな!残業はすんなよ! 家庭が一番!お前は家庭を守る…義務がある 家庭があるから仕事が出来るんだぞ!良いな?」 倉沢は康太に深々と頭を下げた 「就職を探してました… どの会社も…子供が熱を出したら…困る… 託児所を待つ間どうするんですか?と就職すら、出来なかった… 頑張ります…家庭と子供を一番に、飛鳥井の為に、働きます!」 「飛鳥井玲香を助けてやってくれな… 無理出来ねぇのに無理するからよぉ」 「解っております!受付嬢は、この三名 お見知り置きの程を!」 倉沢は三名の受付嬢を康太に見せ…副社長室を後にした 倉沢の出て行った後に…榊原は仕事の手を止め…康太を見た 「彼女を戻したのですか?」 「あれは飛鳥井が長い…結婚して子供が出来て…退職した… 本心は…仕事を熱望してたがな…現実は子供を抱えて…仕事するのは困難…それが今後の企業の抱える課題だろうな…」 「それが…君が言っていた…優秀な人材の流失…なんですね…」 「さてと、神野が来たら、オレは出る。」 「解ってますよ。連絡しますから…携帯を持って行って下さいね」 榊原は康太の胸ポケットに…スマホを入れた 「出れねぇ…時もあるぞ…」 「解ってますよ…君を縛る気はないですよ 動けない真贋に…なりたくねぇ…と、幾度転生しようとも君は言うのですからね…」 康太は苦笑した 「今日は…神野と一緒だ…用があれば…アレを掴まえろ…」 「解ってますよ…」 「これからは…別々の方が…増えてくるぜ」 「それは嫌です!一緒にいる意味がないのは御免です…」 「言うと思った。」 「僕達は離れたくないから…共にいるのに 君の居所も解らない…顔も何時見たのかな…なんて事にはなりたくないんです!」 「伊織は約束してくれたじゃねぇかよ? 一緒にいられる時間は作るもんだと… 絶対に…作る…って約束してくれたじゃねぇかよ?」 「しましたよ!約束しました! だから、君の側にいるんです! 僕は君を膝の上に乗せたままだって…仕事出来ます…」 「それ良いな♪なら、毎日出勤して伊織の膝の上で過ごそ」 「良いですよ♪」 榊原は本当に康太を膝の上に乗せて… 仕事を始めた 隼人が「二人とも狡いのだ!オレ様も♪」と榊原に抱き着いた 一生や聡一郎…慎一が…副社長室に入って来て……それを見て…絶句した それでも榊原は書類を見て…凄い集中力で仕事をしていた 一生が「旦那…よく仕事出来ますなぁ…」と溜め息交じりに呟いた 「少し待ってて下さい!」 話し掛けるな…と、ばかりに仕事をする榊原に、一生達は…ソファーに座った 隼人は慎一の側へと行き、良い子してソファーに座った そこへ、榊原に着いた秘書がやって来て… 康太の姿に…眉を顰めた 副社長になった榊原にも、父親の清隆が秘書を着けた 社内一の美女 松岡安奈と言う秘書だった 「副社長の仕事の邪魔ですので、退いてくれませんか?」 嫌味に…言われ…康太は榊原の上を退いた 「お友達の方も…此処は仕事をする場ですので…安易に遊びに来られては困ります!」 と、さも、榊原の足を引っ張ってるかの様に……秘書は言った 榊原の肩に手をかけ… 微笑む… まるで、榊原は……私のよ… と、主張しているかの様な…挑戦的な瞳だった 「遊ばれてるのなら…お帰り願います! 私は、副社長に仕事をさせる義務が御座いますの!」 さっさと帰れ!とばかりにあしらわれる 康太は立ち上がると…副社長室を出た そして、地下の駐車場へ向かう 一生は「何だよ?あの女は?」と怒って…康太に聞いた 「親父が着けた秘書だよ」 「今の秘書は…我が物顔して、独占欲を露にするのが…仕事なのかよ!」と怒りを露にしていた 「さぁな…暫くは…様子を見る…」 「見てると盗られるぞ!」と一生は吐き捨てた 「盗るなら…盗れば良い… オレが簡単に伴侶を盗らせるかよ!」と康太は吐き捨てた 康太は地下駐車場で待っていると… 神野が来て、康太は隼人や一生達と…車に乗り込んだ 榊原の秘書の松岡は… 飛鳥井の家に、榊原を迎えにやって来る 榊原を急かして…仕事の支度をさせる 榊原は、康太の病院の日は…一切無視で…動く気はない… すると…康太に悪態を着いて…帰って行くのだ 瑛太と清隆の見てない場所で…やるのだ 榊原も…清隆に着けられた秘書だから… 邪険にも扱えず…困っていた 本心は…要らない… でも、清隆に… 言えないでいた ストレスが溜まり… イライラが募る そんな時…榊原は帰るなり…玄関で倒れた 康太が迎えに出て…榊原の異変に気付き… 手をかけると… 榊原は吐いて…倒れた… 慎一と一生に手伝ってもらって…寝室へと運ぶ… 康太は心配して…榊原に抱き着いた 「康太…吐いたから…汚いですよ…」 「構わねぇよ…何が有ったんだよ?」 榊原は…聞かれ…吐きそうな顔をした 一生が…榊原の背中をさすった 慎一が…榊原の顔を…濡れタオルで拭いた 「秘書に…襲われました… 残業だと…嘘言われ…部屋に閉じ込められ… 気付いた時には…彼女は…下着を脱いでいました そして…僕の手を…彼女の…あそこに導き… 触って良いのよ?…って言うんですよ… まるで…青龍の妻みたいで…吐き気が止まりませんでした… 自分のあそこに触らせて…僕の股間を触るんですよ… 反応しないと…胸を…あからさまに広げ…誘って来るのですよ… だから、僕は年増の女には勃起しません…って言って…走って逃げてきました 気持ち悪い…あんなオバサン… 女は…無理です… 康太に似ていれば…勃起しますが…今は無理でしょ? 康太を知ってしまった今では…康太しか勃起しません…」 「伊織…」 「康太…もう僕には…無理です… 義父さんが着けて下さった人でも… 無理です…もう我慢出来ません…」 康太は怒っていた… 「あんで!んな所で無理すんだよ! 嫌なら嫌って…断れば良いじゃんかよ!」 康太が叫ぶと…一生が 「康太、それを旦那に言うのは…酷だわ 義理と言えど…父になる人だ… 言える筈などねぇじゃねぇかよ!」 と、康太をたしなめた 「伊織が我慢しなきゃいけねぇ事なんてねぇんだよ! 何で…襲われて帰って来なきゃなんねぇんだよ! 伊織は何時から…婿養子になったんだよ!」 「旦那にとって…飛鳥井は康太の親だから…大切にしてぇんじゃねぇかよ! 解ってやれよ!康太!」 「解ってんよ!んな事!でも伊織の犠牲の上に…成り立って良い事なんて、何一つ!ねぇんだよ!!」 「康太…」 康太の想いも…榊原の想いも… 飛鳥井の家族の想いも… 互いを思いやってるのに… 何かが…ズレて…音を立てて…崩れていた 「一生…慎一!部屋を出てくれ! 亭主の消毒は妻の努め……消毒しまくってやる!」 一生は言葉もなかった 旦那に堪えなはれ…心で手を合わせ…… 慎一と共に部屋を出て行く 二人が出て行くと…康太は鍵を閉めた 榊原の横に腰を下ろした康太は… 榊原に何をされた?……と問い掛けた 「何をされたんだよ?伊織…」 「急に…抱き付かれました…」 榊原がそう言うと…康太は…榊原に抱き着いた 「それから?」 「………触っても…良いのよ?って……手を…」 榊原は思い出して…吐きそうになった… 康太は…ズボンのファスナーを下ろすと… 榊原の手を取り…自分の股間に……持って行き… 榊原の耳元で「伊織…触って良いぞ……」 と、艶めいて…誘った 榊原がゴクンっと唾液を溜飲する…… 「それから?」 「僕の…股間を触りました…」 康太は…榊原の胯間に手をやると… そこは硬く…盛り上がっていた 康太は…クスッと笑い… 「伊織…勃起してる……」と撫でた 「康太だからですよ…! あの女に…触られたら……ぅっ…」と榊原は気持ち悪そうに…口を押さえた 「伊織…今日は…そこで見てると良い…」 康太は…そう言うと…服を脱ぎ捨てた そして…榊原の所有権のピアスの入った乳首を…指で転がし…腰を捩った 「ぁ…立っちゃった…」 指で…乳首を弄ると立ち上がり…赤く色づいた… その乳首を摘まんで…榊原に見せ付ける 「ぅうん…ぁっ…イイっ…」 榊原の体の上で…康太が乳首を弄ぶ… そして仰け反り…ペロッと自分の指を舐めた 舐めた指で…自分の性器に触る… 熱く勃起した…性器を…撫でた… 榊原の、手が…康太の体躯に伸びるのを…すり抜け…自分で弄る 康太の手が…乳首と…性器を…弄り 赤く艶めく 康太は榊原の手を掴むと…榊原の指を舐めた 焦らすように…榊原の中指を舐めた… 中指に…唾液を垂らす… 康太の舌から…トロッと零れる唾液は淫靡だった そして榊原の中指を、自分のお尻の穴の中へと…導いた お尻の穴に…榊原の指を…突き立て… 榊原の手を使って、康太はオナニーを始めた 「ねっ…康太…ねっ…」 榊原が焦れて…康太にキスする 「見てろよ…伊織…お前の手で…オナニーするから…」 榊原の指を…自らお尻の穴に挿れ…掻き回す 「ぁん…気持ちイイ…もっと奥…ぅぅん…」 穴を戦慄かせ…榊原の指を飲み込む… 榊原は堪らず…康太を抱き締めた 「康太…抱かせて…ねっ…お願い…」 「まだ……ダメ……」 榊原の指を使って……奥を引っ掻く… 「あっん…あぁっ…気持ちイイ…」 「ねぇ…康太…抱きたい…ねぇお願い…」 見ているだけの…お預けに…榊原は焦れた 榊原の性器は…ズボンの中で…窮屈そうに布地を押しやり…自己主張していた 「っ…康太…痛い…ねっ…康太…ズボンの中…痛い…」 康太は…艶然と嗤い、榊原のズボンに手をかけた ファスナーを下げ…下着から顔を出している…榊原の亀頭を…康太は撫でた 「イボイボが……立ってる…」と康太が亀頭のカリの部分を撫でた 「あっ!……康太…!」 その刺激で…榊原は康太に精液を飛ばした 榊原は唖然とする… こんな刺激で…イクなんて…… 「康太…熱が引かない…君に触らせて…」 「触れば良いのに…触らねぇのはお前だろ?」 お預けした癖に… 康太は…触らないのは…そっちが悪いんだろ?と言わんばかりの言い草だ 「伊織の手で触れよ…お前のオレを触れ!」 榊原は躊躇していた… そんな榊原の想いを知っていて…康太は…焦らすのだ 榊原は美味しそうな康太の乳首に触れた… 「オレの総ては…お前のだろ?」 もう榊原には止められなかった… 「僕のです!康太の総ては…僕のモノです」 康太の唇に…舌を差し出すと、康太は…自分の舌を搦めた 「ぅん…ぁ…うぅん…」 康太の唇から…喘ぎが漏れる… 唇は接吻を続け…指は…康太を弄る… 乳首を弄り、穴を蹂躙する… 「伊織…挿れて…お前のを…挿れて…」 「康太…!」 榊原は康太の穴にローションを垂らすと…… 自分の肉棒を掴み…狙いを定めた… 康太を向かえ合わせに抱き…足を腰に搦めさせた 「挿れますよ…」 康太は…榊原を、見詰め…嗤った 「来いよ!伊織…!」 体躯を開いて…榊原を、受け入れる… キツイ瞳に…貫かれ…榊原は身震いした この瞳に…魂すら…吸いとられて… 骨抜きにされ…魅了される 榊原は康太の中へ…押し入った 康太の腸壁に…搦め取られ…肉棒が蹂躙される これじゃあ…どっちが…主導権を握ってるか…解らない… 「伊織、お前は誰のだ?」 あの日…暴漢に教われ蹂躙された康太に…榊原が問いかけ続けた言葉で…榊原に問い掛ける 「康太のです…僕の総ては…康太のモノです!」 「だろ?ならば、オレが消毒してやったんだ…気にするな… お前が気にすれば…オレも気になる… オレは汚いのかと…心配になる…」 だから、お前は…もう気にするな…… と、康太が言う 「僕の康太は…汚くない… 君の…僕も汚くなんかない……そうでしょ?」 「そうだ…それで良い… オレのお前でいれば……それで良い…」 榊原は康太を見詰めた… 不敵に嗤い、唇の端を吊り上げ…榊原を射抜く 「お前がオレのモノでなくなれば… 違う事なく…オレはお前の息の根を止める… 他には行かせねぇよ! オレは他所に行く奴を生かしとく気はねぇんだよ!」 榊原は康太!と言い…腰を強く打ち付けた… 絶頂が近付き…榊原は康太を求める… 康太の指が…榊原の首に… 「愛するお前だ…繋がったまま… 息の根を止めてやんよ!」 殺し文句に…イカされて…康太の中に精液を飛ばした… 「……ぁ…ぁぁ…康太…止まれません…」 榊原は康太を押し倒すと…康太の脚が…榊原の腰に絡まった 隙間もなく抱き合い…縺れ合い… 上に…下に…何度も来る絶頂に…繋がり果てた そして……疲れ果てて…動けなくなると… 榊原は康太を体の上に乗せた… 康太が…榊原の胸に…頬を擦り寄せる 「愛してる…伊織」 「僕も愛してます…吐きそうでしたが… 康太の愛で…持ち直しました やはり、僕には康太しか要りません… 康太を無くしたら…僕は死ぬ…」 「お前はオレのもんだよ! この先も…離す気なんてねぇよ! 離れるなら…お前と共には…落ちねぇよ 幾度生まれ変わろうとも…オレはお前を愛す お前だけを愛す!そうだろ?伊織…」 「そうです…僕は…君だから…共に在りたいのです… 愛してる…と寝てる僕に言って一人で…人の世に…落ちると言う君だから…愛してるんです…」 「伊織…眠い…」 「疲れさせましたからね…寝ますか? 精液は掻き出したので…寝ますか?」 「……ん。ねゆ…」 もう…康太は…眠りに落ちかかっていた 榊原は、康太を胸から下ろすと、上掛けを掛けて…康太を胸に抱いた 榊原は吐き気はなくなっていた 康太にキスして…榊原も瞳を閉じ… 眠りに落ちた 朝、精液のへばり付く体は不快感を訴え…目を醒ました… 二人でお風呂に入った 今日は康太が洗ってくれた お礼に榊原も康太の中も…外も洗って 湯船に浸かった お湯の中で…康太の乳首のピアスがキラキラ光っていた お揃いのへそのピアスも光っていて、榊原はそれを見ていた 康太の指が…榊原の首の…ネックレスを…弄ぶ 神器は取り外し…今はマリッジリングのみになったネックレスが光っていた 康太が榊原のネックレスに繋がってる指輪に指を通す 「康太…イタズラしないの…」 「虫除けに…嵌めねぇ?」 やっぱり康太も心配なのだ… 「良いですよ…君が望むなら…僕は嵌めます」 「嘘だよ…こんなん嵌めてたら…うるさく聞かれる…」 「心配?」 「何時だって…心配に決まってんじゃん お前は男前だかんな…誘惑は多い」 「なら、嵌めても良いですよ?」 「嫌…良い…」 「僕が嵌めるなら…君も嵌めてよ… 君も…好きだと言う人は多い…虫除けしたいのが本心です…」 康太は…榊原に抱き着いた 「オレ等は結婚も出来ねぇ…堂々と言えねぇ でも、一緒に暮らせる…家族や仲間は…オレ等を守ってくれる… だから、オレ等は…乗り越えれる… そうだろ?伊織…」 「そうです。 本当なら…誰にも言えずに…ひっそりと二人で友達と偽って暮らしていても…おかしくないですからね 僕は…どんな事をしても…君と暮らす気でした それを想えば…僕達は…恵まれてます」 「この指輪は…お前の両親の愛だ… 堂々と嵌めれねぇ…オレ等の為に…特別に編み込ませた…鎖に通してくれた… 伊織の…両親を愛を…皆に見せるのは勿体ねぇかんな! 虫除けはしたかったのは…ある だって…盗られたくねぇもんよー お前は…オレのだって言っても…盗ろうとする奴は出てくるかんな! でも、オレは負けねぇ!絶対に負けねぇ! 盗られるなら…オレは死ぬ! オレとお前は…魂を結びつけた恋人同士だ オレが死ぬ時は…お前も一緒だ… そして、死した後も…オレはお前のモノでいる! オレは…お前を離さねぇ… お前も…オレを離さねぇ… それで良い…それでオレは生きて行ける」 康太は…榊原の手を取ると… 掌に…口付けた… 手の甲でなく…掌な所が…康太らしかった 「伊織、人の世は…高々80にも届かない 悔いのねぇ飛鳥井の総仕上げをしねぇとな!」 「ええ。君は歩みを止めず進みなさい 僕は必ず君の後ろにいますから!」 康太は笑った 子供みたいな笑顔で笑った 身支度を整え…榊原は掃除と洗濯を始めた 康太はリビングで、怠そうにしてると、一生がやって来た 「旦那の消毒でお疲れか?」 康太は一生の顔を見て不敵に嗤った 「あれはオレのだかんな!」 「お前のもんだろ?」 「誰にも渡す気なんてねぇんだよ!」 「康太…嫌…炎帝…」 「あんだよ?赤龍…」 「俺は…あの堅物が、お前と人の世に落ちた事が信じられなかった… ひでぇ話だが…お前が…俺の弟を脅して…人の世に…連れて行ったのかと…思った 黒龍が…違う…と言ったがな…信じられなかった… 俺の弟は…自分の道を…歩いていた 何もかも捨てて…行くとは信じたくなかった って言うか…信じろと言う方が無理だろ? だからな、自分の目で確かめに…… 黄泉の泉に…何度も何度もお前達を…見に行ったよ… あの笑った事もねぇ奴が…笑ってた時には…俺は…泣いた 涙が止まらなかった… 何故か解るか?」 「 …… 」 康太は何も答えなかった 「青龍は俺の自慢の弟だった… なのに…俺は…弟の事を…何も見てなかったんだって…解ってよ…泣いた 淡々と感情も現さず…生きている青龍こそ…偽りだったのか…と想うと… 涙が…止まらなかった」 「だってそうだろ? 自然に笑って…恋人を抱き寄せ… 愛している…と言葉にする姿なんてな…想像すら付かなかった… お前が笑うと…アイツも…愛しい瞳で見詰めながら…笑う… あんな顔を出来るんだと…俺は…知った そしたらな、俺の見ていた弟は…何だったんだろう…って…解らなくなった この目で見て知りてぇ…って想って… 人の世に…頼んで下ろしてもらった… そして近くで見れば…良く解る… アイツの想いが…本気で…誰よりも…真剣だって…解る… そんなアイツの愛は…お前だけの為に在る お前以外など…愛せる筈はねぇだろ… アイツはお前のもんだよ…お前だけの…もんだ…」 「赤龍…」 「おめぇとは付き合いが長かったのにな… 俺は…おめぇと青龍の事は…知らなかった」 「お前は青龍と仲が悪かったが…… 青龍はお前の誇りじゃねぇかよ…言える筈ねぇよ! しかもオレは…青龍の恋人じゃなかったしな…」 「恋人じゃねぇ…って? 付き合ってたから…一緒に人の世に堕ちたんじゃねぇのかよ?」 「オレは青龍に嫌われてたんだよ! 青龍はオレを侮蔑して嫌っていた… だけどな…白鳥を湖に水浴びしていた時にな…青龍の気紛れで…抱いてくれた オレは初めてだった…血が出て…楽しくもねぇ体を…青龍は抱いた それで終わりかと思ったら…気紛れは続いて…抱いてくれた 湖の前の芝生が…オレ等の…ベッドだ… 柔らかいベッドで…抱かれて…眠るなんて…なかった それで…愛されてるとは…思わねぇだろ?」 一生は言葉もなかった… 知らなかった…話を…され…驚くばかりだ 「人の世に堕とされる時…閻魔はオレに言った 此処での心残りをないように過ごせ…って オレの心残りは… 一度位…青龍にベッドで抱いてもらいたかった …最後に…ベッドで抱いてもらって… 愛してるって…言えたら…満足だった 一人で人の世に落ちて…青龍だけを想って…オレは…生きていけると…想ったんだ だけど…人の世に落ちる瞬間…蒼い龍が…来てくれたんだ… 愛してるは……起きてる時に言いなさいって…青龍が言ったからな… オレは…言っちまったんだ…愛してる…って まさか…一緒に堕ちてくれるとは…想わなかったがな… 奇跡だと…今も…想ってる… でなきゃ…嫌われてるのに…来てくれる筈なんかねぇからな…」 「奇跡じゃねぇだろ? 青龍はお前を愛してたんだ…だから迷いもなく…共に堕ちたんだろ? 同情で…幾度も転生して愛せる筈なんかねぇじゃねぇかよ!青龍が選んだ道だ」 「でもな…オレは…嫌われていた… オレを抱く青龍の気紛れ…を…信じられる程…深く寝てぇしな… 青龍の家の前の湖で…気紛れに抱かれて…4年… オレは…気紛れに感謝して…心の中で…愛してると…呟いていた… 愛される自信なんてな…本当はねぇんだよ…」 「炎帝…」 「オレは臆病で…嫌われ者だからな… 変わらず付き合ってくれたのは…黒龍だけだ 赤龍…お前は…良い奴だからな…黒龍や、地龍と一緒にいる機会の多い…オレを… 友として…付き合ってはくれた… でもな…お前は優しいから…仕方なく…って思ってた」 「……仕方なく…ひでぇな…」 「だって、オレは炎帝だかんな…好んで付き合う奴は…いねぇ…自覚はある」 「お前は…黒龍が好きなんだと…思ってた お前は…黒龍の…なんだと思っていたからな…」 「…嘘…黒龍と?……遠慮しとく… アイツは俺の親友だ…!」 「…仲良すぎだろ?一緒に寝るし…」 「世話を焼いてくれただけだろ?」 「……嫌…青龍だって…誤解したと思うぞ」 「…誤解…?オレは…青龍が初めてだったし…」 康太は頬を赤らめた 「お前を知れば…お前に惹かれる… お前を知れば…共に在ろうと思う… 黒龍は…そんなお前を知ってて…友で在ろうとしたんだな…地龍も…そうだろ? でもな…普通…友達で…あ~んで飯は食わねぇだろ? 青龍も絶対に…誤解してたと思うぞ」 康太は…儚げに笑った 「黒龍は…オレが青龍を好きなの…知ってて応援してくれた 人の世に堕ちても…変わらずアイツはオレの前に…姿を現す… 変わりのいねぇ存在…それが黒龍で… いないと生きてけねぇ存在…それが青龍だ…」 「炎帝…」 「あんだよ?」 「お前…青龍が人の世に堕ちなかったら…一人で生きてくつもりだったのか?」 「最後に…青龍にベッドの上で抱いてもらって…愛してる…も言えたからな… 魔界での…想いはそれで断ち切れた 青龍の想いさえあれば…オレは生きて行ける… 一人で人の世に堕ち…生きてくつもりだった」 辛い…そんな辛い想いを抱いて… 一人で人の世に…堕ちるつもりだったのか? 愛してる青龍… その想いだけで…人の世で…一人で… 生きるつもりだったのか… 今想えば…青龍が……炎帝といてくれて… 良かった…と思う… 愛してる…存在が… 炎帝にも…… 青龍にも…… いて良かった…と心底…想った 「オレはな…愛する男を想って生きて行ける 想いまでは…止められねぇだろ? 想うのは…許してくれるだろ… そうして…一人で人として生きて行くつもりだった…」 一生は康太を抱き締め…泣いた 「炎帝!…」 「泣くな…オレの事で…泣くな…」 どうしょうもなく…人を惹き付けて止まない 共に在ろうと…願う人… 共にありたいと…思う人 それが…炎帝であり、飛鳥井康太…なのだ 「俺…お前の事も、弟の事も…知ってるようで知らなかった… 知りてぇ…と想った…」 康太は…何も言わず聞いていた 「でもな知れば…離れられねぇだろ! 知れば…もうお前の側から離れられねぇじゃねぇかよ! お前と共にありたい…俺はそう願って…止まねぇ…」 「…ならば、何処までも行くしかねぇじゃねぇかよ!」 康太はニカッと笑って親指を立てた 「言われなくても…着いてくさ!」 一生は、ふんっと鼻を鳴らした 康太は、静かに壁に凭れて…腕を組んでる榊原に手を伸ばした 一生は、えっ?…と、振り返ると…笑っている榊原がいた 「行きますか?康太」 榊原が康太を抱き上げ、頬にキスする 「腹減ったかんな!」 「僕は君をたっぷり食べましたからね 次は君の番です…沢山食べて艶々になりなさい」 榊原の台詞に…一生は嫌な顔をした 「熱すぎですやん…」と愚痴を溢す 康太は笑って、榊原に抱っこされキッチンへと向かった

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