49 / 72

第49話 邂逅②

朝…兵藤が目を醒ますと… そこには…激しい…接吻をしている… 康太と一生がいた 「………相手違わねぇ?」 思わず聞くと… 康太は…一生から唇を離す事なく…兵藤を見て…ペロンと一生の唇を舐め…唇を離した 「おめぇもオレのチューが欲しいのかよ?」 「………朝からされたら…困るから遠慮しとく…」 「一生とはな…一晩中チューしてた… お前がいなきゃ…抱いてやったな…」 「……俺…お邪魔だった?」 「拗ねるなよ…可愛いな」 「あんで一生とチューしてんだよ?」 「オレのもんだからな一生は。 オレのもんを…触っても…伊織は怒らねぇよ」 兵藤は…榊原を見た 「誰でも…チューする訳じゃないですよ… 康太の所有権のある人間限定です…」 「それって…一生?」 「三木も…ですよ」 「怒らねぇの?」 「何で?康太がチューする時は…相手が弱ってるんですよ? 相手が…迷って…弱って…還って来た時… 康太は…キスしてあげるんです それで怒れますか?」 「……それが、お前等の絆なんだな…」 「ですよ。康太と一生には恋愛感情はない… 三木と康太の間にも…あるのは…信頼と運命共同体と言う…血を交えた…険しい道程だけ… そして康太は…彼等を体内に取り込み…共に生きて行くのです」 兵藤は…言葉もなかった… 「それが飛鳥井康太ですからね…仕方ないです 康太は…そうして人を生かすのですですからね… 妬きませんよ…相手も…弁えてますからね」と榊原は笑った 弁えていなければ…許しはしない… 康太に…履き違えた感情を抱くなら…容赦なく排除する… 榊原の笑った瞳の奥が…物語っていた 榊原は康太を一生から引き剥がし…膝の上に乗せた 「伊織、腹減った…」 「もうじき運んでくれますよ?」 「なら、起きねぇとな! あんだろ?今朝は?楽しみだな♪」 康太はそう言い、榊原の首に腕を回した 「伊織、愛してるぞ」 「僕も愛してますよ」 二人は…お構いなしで…キスをした 一生は「貴史…見るなよ?股間に直撃食らうぞ!」と呟き…起き上がった 兵藤は「え?それはねぇだろ?」と聞き返した 「あの二人は…どんな不感症でも…濡らすエロさがある」 一生は言い切った 「そりゃ…すげぇな…」 目の前では…激しい…接吻が…繰り広げられていた 榊原の手が…康太の浴衣の裾を捲り…手を差し込んだ… 少しだけ露になった素肌は…愛撫の跡が…濃厚に散らばっていた… 兵藤は………トイレへ駆け込んだ 一生は「だから言ったのに…」と溢した 兵藤が…トイレから出ると…康太は…全裸だった 兵藤は…クラッと目眩がした それを一生が支えてやった 「着替えるぞ!康太は…腹減ってる… 空腹の康太は…要注意だ…」 一生は浴衣を脱ぎ捨て…サクサク着替える 兵藤も、気にせず浴衣を脱ぎ捨て…サクサク着替えた 康太は、榊原の手で服を着せてもらい…大人しく座布団の上に置かれた 目の前で…兵藤が着替えをしていた 「貴史…良い体してんじゃん♪」とヘソから腹筋に触れた つーっと、指で…腹筋に触れ…嗤う 「危険な子だわ…この子は…」と弱音を吐いて…兵藤は着替えを済ませた 「拗ねんなよ貴史…」 「拗ねたくなる様な事ばかり…するからだろ?」 「機嫌直せ…」と康太が兵藤の唇を…ペロンと舐めた 「…康太…」 情けなく呟くと…頭を引き寄せられ… 口腔を犯された… 兵藤は…貪るような…康太からの接吻され… 思わず…逃げた 引き剥がされた康太は……嗤っていた 康太は一生の背中にへばり着き… 「一生、飯は聡一郎も隼人も慎一も…連れて来いよ! 伊織、この部屋に皆の運ばせて!」 と言うと、一生は康太をへばり着けたまま立ち上がり…部屋を出て行った 榊原は部屋の電話で…配膳室に変更の電話を入れていた 康太が…一生におんぶされたまま帰って来ると…聡一郎や隼人、慎一も部屋に入って来た 一生の背中から、慎一は康太を剥がし、腕に抱き上げたまま…窓の外を見た 「住み慣れた…貴方と共にいられる街の方が…俺は…好きです…」と町並みを見て…康太に言う 康太は何も言わず…慎一を抱き締めた 慎一は榊原に康太を渡した 康太に隼人が抱き着くと…聡一郎も抱き着いた 「オレを潰す気かよ?」 康太が苦笑すると…聡一郎は 「一生だけ、狡い…良いでしょ?」と康太に抱き着き…チューをした 隼人も…康太を抱き着き 「オレ様は康太のモノなのに…狡いのだ 最近は…一緒にも寝てくれないのに…一生ばかり狡いのだ…」と拗ねて康太にキスした 「オレは…腹減ってるのによぉ…」 仕方なく慎一が…康太を救出する 聡一郎と隼人が…慎一をじとっーと見る 「我が主が…困ってるでしょ」と慎一はお構いなしだ 「慎一、腹減った…遅くねぇ?」 「見てきます!」と榊原に康太を渡し…慎一は部屋を出て行った 聡一郎も隼人も、榊原の膝の上にいる康太を優しい瞳で見ていた ホテルの従業員が布団を畳に来て、食事を運び込む お膳の上には朝にしては豪華な料理が乗っていた 康太はわくわく…箸を取った 榊原にお椀の蓋を取って貰い…食べれる様にしてもらう… 思わず…兵藤が「過保護じゃねぇ?」と聞く程に………榊原が統べてやっていた 一生が「あれは過保護に見えるけどな…訳があんだよ! お椀の蓋が取れねぇとな…アイツは振り回すんだよ! すると…振り回した時に被害が大だからな… だから…今は…旦那が良いと言うまで…お預け食らわされてるんだ!」と説明してやった 榊原が「食べても良いですよ!」と言うと康太はガツガツ食い始めた 兵藤は…成る程……と、納得した 榊原は「康太がお椀を振り回すと…畳や襖を…弁償しなければなりませんからね…」と呟いた 一生が「去年…清四郎さんに京都に呼ばれて泊まりに行った時は悲惨だったよな… 目を離した隙に…お椀の蓋が取れねぇと振り回し…清四郎さんが弁償したんだよな…」と回想する 榊原は苦笑した 聡一郎が「蟹が…指に刺さると…投げ捨てる子ですからね…あの蟹は…壁に突き刺さりましたよね…」と愚痴を溢し 慎一も「白馬に行った時も…途中で寄り道した宿で…ロブスター放り投げましたよね… あの尻尾が…俺の腕に刺さり…流血しましたからね…」と手を擦る 兵藤は…ガツガツ食ってる康太を見詰め… ため息をついた 「甘やかされてんじゃねぇのかよ?」 一生が「甘やかされてる…のと、警戒してるは…意味合いが…かなり違うからな… まぁ旦那はベッドの中では…甘やかしてんだろ?…」と呆れて答えた 「僕が…康太に甘やかされて…抱き締められる方が…最近は多いですよ」とクスッと笑った 食事を終えると…康太が…榊原の膝の上に乗り…甘える… 何時もの日常だから…皆は気に止めないが… 兵藤は…目のやり場に困った 二人は…すぐにキスするから…だ 榊原も抵抗すれば良いのに…康太の好きにさせてるから… 北海道を立つ前に…今年最後の桜を全員で見に行った 桜を見上げる康太の前に笙は立った 笙が康太の前に………手を差し出すと… 康太は瞳を輝かした 「桜アイス!」 「食べそびれたでしょ? 父が頼んで…取っておいて貰いました」 康太は嬉しそうにカップアイスの蓋を開けた 薄ピンクのバニラの上に…桜の花びらが…落ちていた 笙が「綺麗なアイスですね…」と感嘆する 飛鳥井の家族も…榊原の家族も…一生達も… 康太の手の中のアイスを見詰めた 康太はパクっと桜アイスをすくって食べた 甘酸っぱい甘さが…口に広がる… 康太は…榊原を、見詰めた 榊原が顔を近づけると…アイスを一口…口に入れて…接吻した 口腔で…溶けて…味わう… 榊原は唇を離すと…康太を抱き締めた 「上手いだろ?」 「ええ。美味しいですね」 康太はアイスを笙に渡した 笙は一口食べて…父親に渡した 清四郎は真矢と仲良く食べて…清隆に渡した 清隆は玲香と仲良く食べ…兵藤に渡した 兵藤は一口食べて…一生に渡した 一生は慎一と一緒に食べ…聡一郎に、渡した 聡一郎は悠太と仲良く…食べて隼人に渡した… 隼人は…康太を見詰めた 康太が隼人の口に放り込んでやった 「美味しいのだ…康太、オレ様は…この桜を美しいと思う… 今年の桜を…忘れはしない… 空っぽだったオレ様に、康太が中身を入れたのだ… だから…この桜が美しいと…オレ様は想えるのだ……」 「来年も見ような…再来年も…ずっとずっと先も…見ような… 皆で…桜を見ような…」 「康太…」 隼人が…泣きながら…康太に抱き着いた 康太は…隼人を胸に抱き…桜を見上げた 「何時の時代にも咲き誇る花… どの時代にも…そこに在り咲いていた この先もこの花は…咲く パッと咲いて…散るからこそ美しい… オレも咲かさねぇとな…綺麗な花を! この時代に咲き誇る花を…残さねぇとな」 果てまで見渡す瞳で…康太は…桜を見上げた 「康太…帰りますよ…」 榊原に呼ばれ…康太は桜に背を向けた 「一生、帰るぜ!飛鳥井の家に!」 一生は康太の後ろを歩いて行く 「待ちやがれ康太…」と兵藤は康太に飛び付いた 「帰るぜ!貴史!帰ったら戦場だ オレは負けねぇぜ…ついて来いよ!」 「お前の方こそ…怯むんじゃねぇぞ!」 「誰に言ってるよ!」 康太は歩みを止めず…歩き出した その後ろに…仲間の姿があり… 未来永劫…愛する伴侶の姿があった 飛鳥井の家族が見守り 榊原の家族が…見守っていた ……………横浜へ… 康太の戦場へ… 康太達は帰って行った

ともだちにシェアしよう!