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第59話 躊躇

「まだ……誰も…愛せないか?」 「……当分は良い…」 康太は隼人の…頬に触れ… 「臆病になるな…臆病になれば…お前は…先に進めねぇぞ…」 「康太…愛しても…いなくなるのは…辛いのだ…」 「愛した想い出は…隼人の心の中にねぇのか?」 「ある…でも…思い出すと悲しくて…泣きたくなるから…思い出したくないのだ…」 「隼人…大丈夫だ…お前は…乗り越えた オレ達もいる…怖がるな…」 「康太…こうして見ると…オレ様は人肌に飢えていたのだ… 康太と伊織の肌が…こんなに優しい…」 「時々…寝に来い…まぁ伊織が大人しく寝てくれればな…抱き締めて寝てやるかんな」 「伊織は…康太が横にいれば大人しくは無理なのだ…でも良い…康太に抱き着くから」 「そうか…」 「康太…音弥は…大きくなった…」 「だろ?音弥も他の子も…育ってる… 日々…大きくなっている… 愛せねぇか?音弥を?」 「愛せる…愛してる…音弥は幸せだな 一生も聡一郎も慎一も…飛鳥井の人にも…大切にされて笑う音弥は愛されてるのだ…」 「お前の子供だからな…そして音弥には…使命もある 神楽の明日を…紡ぐ為に…出さねばならぬ 「音弥は…康太の敷いた道を行く… オレ様も…康太の敷いた道を行く… オレ様は…何時か音弥を抱き締めてやれる様に…大人になろうと思うのだ…」 「無理するな……! 無理して…大人になるな… お前はお前らしく…育って行けば良い…」 「康太……オレ様は…先が見えなくて… 怖くて仕方がなかった…」 「お前の先は…オレが照らしてやる… だから…お前のペースで進めば良い…」 隼人は康太…と抱き着いた… 「康太…下痢するでしょ?浴室に行きますよ」 榊原に促され起き上がると、康太は榊原に抱き上げられた。 隼人に手を貸し…浴室に向かう 康太の身体を榊原が洗って…隼人の身体を康太が洗った 康太に洗ってもらった隼人が榊原の身体を洗い…3人は仲良くお風呂に入り…暖まってから…浴室から出た… 髪を乾かして貰い…服を着せてもらうと… 3人は寝室を後にした キッチンに向かうと…一生達が康太を待っていた 椅子に座り…遅めの昼食を取る… 一生は笑って 「隼人…旦那は大人しく寝たのかよ?」と揶揄した 「………一生…目を醒ましたら…凄かったのだ… もぉ…激しくて…オレ様は仕方ないから康太の身体を舐め回して…イッたのだ…」 まさか…隼人から…そんな返事が来るとは… 一生は…うっ!…と詰まった… 聡一郎は笑っていた… 慎一も笑っていた 「……オレ様は…時間を止めてたのだ… 康太と伊織に触った時に…人肌に飢えてるのに気が付いた… 暖かかったのだ…人の肌は…何時忘れてしまったのだ?」 一生は…隼人を抱き締めた 「お前には…康太がいる…俺達がいる…」 「一生…苦しいのだ…」 隼人を抱き締める…一生の肩が震えていた… 聡一郎も慎一も…隼人を抱き締めてやっていた… 笙は…それを黙って見ていた… 康太は笙に気が付き…笑った 「オレ等が寝室に行ってる間…あにしてたんだよ?」 「一生と遊んでました。」 「一生と?」 「彼のPC捌きは凄いので見てました そして、教えてもらってました…」 「すまなかったな…笙…」 「構いませんよ。応接間に置いてありますからね」 康太が立ち上がると…榊原が側に来て腰を抱えた… 応接間に行くと…デカイパネルが壁に立て掛けてあった 「これ?」康太が問いかけると…笙は頷いた 「開けて良いのか?」 「良いですよ…君のですから」 笙が言うと、榊原が包装を解いて行く 榊原が包装を剥くと…そこにはデカイパネルが現れた パネルの中に…優しい顔して微笑む榊原と笙の姿があった… 「伊織…」 康太はパネルに近付き…口付けた 愛しそうに…パネルに口付ける康太は…可愛かった… 榊原はパネルを持ち上げた 「え?伊織?何で?」 「本人がいるのに…パネルに口付けは無粋でしょ?」 「だって…伊織…」 「生の僕じゃないと…君を感じさせられませんよ? そんな紙じゃ…挿れてぇ…って言っても挿れられませんよ…」 「意地悪…」 涙目になる康太に…榊原は口付けた 「ごめんね…このパネルはリビングに飾るんですか?」 「おう!目立つ所にな」 「慎一、一生、手伝ってください」 榊原はパネルを持つと、応接間を後にした 康太はその後を着いて…3階のリビングに向かった 榊原はリビングの壁に…笙と一緒のパネルを飾った 慎一にネジで固定させ、一生が設置した 「旦那、曲がってねぇよな?」 一生が問い掛ける 「大丈夫です。ありがと…康太が喜んでます」 康太は嬉しそうに笑顔を向けて 「清四郎さんの所へ行くもかんな!」と急かした リビングを後にして…応接間に行く 応接間に行くと笙に榊原の家へ電話を入れさせた 清四郎が出て…家にいるのを確認すると 全員で清四郎の所へ向かう 「真矢さんは退院してんだよな?」 「ええ。今朝方退院したと…兄さんが言ってました…」 「………なら、オレは行けねぇ…」 「康太?」 「お見舞いに来てる奴が…いるかんな…」 笙は携帯を取り出すと、もう一度電話を入れた 「父さん…榊原の家に…誰かお見舞いに来たりしてますか?」 『ええ…お見舞いの方は…見えてます… 康太も来るのですか?』 「…また電話します」 笙は電話を切ると…表情を曇らせた 「来てるって…見舞いの人が…」 「笙…オレは遠慮しておく…これを届けてくれねぇか?」 「康太…」 「…行けば迷惑がかかる…オレは行けねぇ…」 笙は康太を強引に持ち上げると、家から出た 「笙…オレの話聞いてる?」 康太が…笙に文句を言うが…聞いちゃいなかった 「気にしなくて良い…って言ったよ? 何でそこで…遠慮するの?」 「……オレが行くと迷惑がかかる…」 「訳ないでしょ…」 「伊織、僕は康太を乗せて行くので、パネル頼みますね!」 笙はそう言い康太を助手席に乗せ、ドアを閉めた 笙はエンジンをかけると…榊原の家へ向かった… 榊原は肩を竦め…パネルを車に積み込んだ 一生は聡一郎や隼人、慎一を乗せて… 走っていった 榊原も清四郎の家へと走って行った 康太が心配で、榊原は急いだ 清四郎の家に着くと…既に康太は家の中に… 連れ込まれていた 榊原が一生達と応接間に入ると… 康太は笙の背中の後ろに隠れていた 「康太…」 と、榊原が声をかけると、康太は榊原に飛び付いた… 榊原は康太を腕に抱き上げた… 「兄さん…何がありましたか?」 笙の困った顔を見て…清四郎が変わりに答えた 「真矢のお友達の栗原真理亜さんと娘の梨理さんが御見舞いに来て下さっているのです ご挨拶をと思いましたら…康太が笙の背中に隠れました…」 と、清四郎は榊原に説明をした 「梨理がいるなんて聞いてない…帰るかんな…」 康太が榊原に訴えると、紹介された梨理はニャッと笑って康太に近付いた 「我が愛しの康太ちゃん♪」 「伊織…オレを離すな…」 榊原が康太を強く抱き締めた 「康太ちゃん、結婚しましょ?」 「嫌だ…帰れ!伊織…」 康太は榊原に泣き付いた… 「康太は僕のモノです!諦めなさい!」 榊原はキッパリ言い捨てた 「康太ちゃん、趣味悪いわよ…こんな鬼は…ダメよ」 梨理は引かなかった… 仕方なく…母親の真理亜が梨理を止めた 「梨理!座りなさい!他所様のお宅で…する事ですか?弁えなさい!」 ピシャリと言われて…梨理は母親の横に座った 真矢は康太に…「お知り合いなの?」と、聞いた 康太は榊原に縋り着いて…離れなかった 仕方なく…一生が口を開いた 「隼人の仕事現場で…梨理と逢って…以来…康太のストーカー…の梨理だ!」と、言うと、梨理は嫌な顔をした 「一生ちゃんは、本当に何時も悪意の塊ね!」 「康太には亭主がいる!諦めろ!」 「嫌よ!私は死ぬまで康太ちゃんを愛すと決めてるの!」 熱い視線を受け…康太は嫌な顔をした 「康太は渡しませんよ!諦めなさい!」 榊原にピシャリと言われて…梨理は…フンと不定腐れた 真理亜は、康太や清四郎達に謝罪をした 「すみません…我が儘放題に育ってしまって…」と頭を下げた そして……早々に帰ろうとした… 康太の横を通り過ぎる…真理亜の腕を康太は掴んだ… 「家に帰れば…DVのバカ男に…刺されるぜ… 見舞いと言う名目で逃げてきたんだろ?」 真理亜は康太を……驚愕の瞳で…見詰めた 「…梨理が?」 「違う…アンタの命が…分岐点に来てんだよ 行けば殺される… 出るとこに出れば…助かる… 死ぬか…生きるか…行くのは自分だ! オレじゃねぇ… でもな、梨理にとっては…唯一の母親だからな…教えてやってる! 聞くか聞かねぇかは…お前次第だ…」 真理亜は…唖然と動く事すら出来なかった… 誰にも…話した事はない… 誰も知らない…事なのに… 何故…こんな子供みたいな子が… それを言い当てるの? 殺される…? 多分…そんな予感ならあった… でも何故…この子が…知ってるの… 真理亜はパニックになった… 梨理は…何の事か解らず…不安になり… 康太へと近寄った… 側に行き…康太に抱き着きたかった… あの優しい…隼人を抱き締める手で…抱き締められたかった… 梨理が近付こうとすると… それを見越して…一生や聡一郎…隼人に慎一が、梨理を阻んだ! 「康太に寄るな!康太は他人の接触を嫌う 寄るな…寄れば許しはしねぇ…例えお前でもな!」 一生は言い放った 梨理は悔しそうに…唇を噛んだ… 榊原は康太を腕に抱き…鉄壁の壁の奥に…立っていた… 絶対に康太へは近付けない…鉄壁の壁が… 梨理の視界を塞いだ… 笙は仕方なく…梨理をソファーに座らせた… 梨理は悔しそうに…ソファーに座り…泣き出した… 「何時も…そう……康太ちゃんへは近寄れない…カズキちゃんは意地悪ばかり…」 「康太は飛鳥井家 真贋! 接触は…力の妨げになる…俺等は…康太には許可なき者は…近づけねぇ!」 一生はピシッと言い捨てた 梨理は泣き出した… 真理亜は……飛鳥井家 真贋の言葉に…驚愕の瞳を…康太に向けた 「貴方は…飛鳥井家 真贋?」 ならば…見えても、不思議ではない… 真理亜は康太に頭を下げた 「知らないと言え…失礼をお許しください…」 「どうするよ?真矢の知り合いなら…多少は手を貸してやる… 真矢は我が伴侶…榊原伊織の母親だ… 我が伴侶の母親の友人ならば…見殺しには出来まいて…」 真矢は「康太…貴方に迷惑が掛からないのであれば…私の…友達を救ってあげて下さい…」と、頼んだ… 「真矢…選ぶのは本人だ! オレじゃねぇ、本人が選択して歩まねば…道は出来ねぇ! 他力本願のまま先に進めば、これは私が選んだ道じゃない‥‥って人の所為にする 自分が選んで行かねば、己の道は先へと繋がらない 選べ!栗原真理亜!お前の進む道を示せ!」 真理亜は…しっかり康太を見つめ…言葉にした 「私は…死にたくはない… ですが…日々の暴力で…疲れてしまってました… 貴方が…そんな私の…心を呼び起こしてくれました! 私は生きたい…! 生きる以上は…人のせいになどしない!」 真理亜の瞳は…康太の瞳を見詰め… その先を見ていた もう現実から逃げる…弱さは…なかった 「飛鳥井に関係なし者の為にオレは動けねぇ…慎一、東青に電話をして呼び出してくれ…」 康太が言うと慎一は、雨宮の所へ電話を入れた 「天宮先生は直ぐに向かうと約束してくれました」 康太は頷いた… 榊原はソファーに康太を抱えたまま…座った 榊原の両隣に…一生と慎一が…座った 飛鳥井康太の番犬… 誰よりも素早く…康太を守る…康太の為だけに在る存在 眼光鋭く…座る姿は…まさに…番犬だった 天宮が清四郎の家にやって来ると、榊原の家族に挨拶し…天宮は康太の所へ来て 「康太、お呼びですか?」と側へ寄った 一生は天宮へ、康太の横を譲った 康太の横に天宮は腰を下ろすと…康太は不敵に笑った 真理亜は……あっ!その瞳… 何で気付かなかった? その顔は…テレビで見た…飛鳥井康太に間違いなかった 「東青、呼び出して悪かったな」 「いいえ!この天宮、貴方のお呼びならは…例え地獄でもお供致します!」 大の大人が…康太に平伏す… 「栗原真理亜…彼女は夫からDVを受けてる 帰ると…刺される…運命に在る… だからな東青、一生と慎一も着けるからな、彼女の家に行け! 彼女は…少し刺される…定め… 致命傷にならねば…道は続く… 下手したら…刺された方が…相手の男は…目が覚めるかもな… だからな…一緒に着いて行って…事後の対処に当たってくれ 栗原真理亜を、その男から解放してやれ 引かぬなら…永遠の闇を与えてやろうか?と脅しておけ…」 天宮は、康太の言葉に…はい!と返事をした 疑う事もなく…それは起こる…と言う確信の現れだった 絶対の信頼! それが、天宮が康太へ向ける…態度で伺えれた 「一生と慎一が、お前を守る…その為に…二人は行く! だなら、笙、お前は梨理を守ってやれ」 康太に言われ…笙は 「えええっ!僕ぅ~?」 と、声をひっくり返した 「母親は…刺される…そしたら、誰が梨理を守るんだよ?」 「一生と慎一は?」 「ダメ!二人は…東青の護衛だ! オレは…東青が怪我すれば黙っちゃいねぇぜ! 東青を少しでも傷つければ…その魂すら…闇に葬り去ってやる…!」 康太は…背筋まで凍り付きそうな…残虐な瞳を向け…嗤った 「だから、僕に行け…と?」 「そうだ!嫌なら…嫁にでもしてやるか?」 「…………遠慮…しときます… 若すぎでしょ…犯罪者に…なりたくない」 「大丈夫だ笙、梨理は17にはなってる」 「…………僕…ロリコンじゃないので…」 やんわり断ると…梨理は 「……私も御免だわ…」と吐き捨てた 康太は…なにも言わず…笑っていた 「では、康太、栗原真理亜の自宅に行きます!」 「東青…」 康太は…立ち上がろうとする天宮の首に手を回すと抱き着いた… そして耳元で…なんやら囁くと…天宮は驚いて…康太を見た 「頼むな…」 天宮は…息を吐き出して… 「解りました!」と言い立ち上がった その後に、一生と慎一が着き… 笙は梨理と真理亜を促し…応接間を出て行った 静けさが戻った応接間に…果てを見詰める康太の姿があった 「弥勒…頼むな…」 『解っておる…』と弥勒は返して…気配を断った 康太は…真矢を見詰め… 「刺されるのは…梨理だ…!」と事の真実を告げた 「え?真理亜ではなく…梨理ちゃん?」 「梨理は咄嗟に…母親の前に飛び出る… DV野郎は…自分の手で…愛する娘を刺す それが…事の顛末だ…」 「刺されるのは…真理亜じゃなかったのですか?」 「オレと擦れ違った時点では…真理亜だった 真理亜は…解ってたんだよ! 逆上した男が…ナイフを持ち出すのを! そしてそのナイフで自らに……止めを刺す… それで…梨理を守るつもりだった… 最後に…真矢さん…貴方と楽しい時間を過ごし…あの人は死に向かう…つもりだった 梨理はそれに気が付いた…そして自己犠牲なら…梨理は誰よりも負けねぇ…奴だからな…刺されるように…仕向けた それで、真理亜の悪夢も…梨理の悪夢も… DV野郎の悪夢も終わる…死にゃあしねぇ 笙にも…危害は加えさせねぇ… カタを着けるには…それしかねぇ… 1度に全員…悪夢から覚めるには…梨理の血が…必要なんだよ…」 清四郎と真矢は…静かに聞いていた あの時点で…すべて見えて… 果てを変えた…と言うのか… 康太の横を…真理亜が擦れ違った時点では… 真理亜が死ぬ気だった? 全員が悪夢から覚める方法を…康太が導き出したとしたら… 真矢は康太に頭を下げた 「梨理は死なないのでしょ?」 「あぁ…娘にトドメを刺せる…親はそうそういねぇかんな」 「ならば…康太に感謝せねばなりませんね 私は…急に真理亜が来た時から…何かの覚悟を感じていました… 真理亜は…終わらせる為なら…躊躇いもなく死を選ぶでしょう 目が覚めるなら… 誰も命を落とさずに…現実を受け止められるなら…梨理の流す血は…無駄ではないのです ならば、私は…康太にお礼を言わねばなりません… 友達を救ってくれて…ありがとう… これでやっと…真理亜は長い呪縛から抜けれます…」 康太は…頷き…話題を変えた 「清四郎さん、パネルです! オレの部屋のリビングにも飾りました! 清四郎さんの家にも…どうぞ!」 康太に言われパネルの包装紙を破くと… そこには穏やかな顔で笑う 兄弟の姿があった 「笙…伊織…!あぁ!真矢…」 清四郎は魘されたように…妻の名を呼んだ 真矢も…泣きながら 「あなた…兄弟ですね…本当に…仲の良い… 兄弟ですね! こんな顔して…一緒に写る…写真を見れるなんて…」 隙間もなく…笙と榊原は笑って立っていた 至極自然で…心底…信頼した者に向ける顔で…笑っていた 飛鳥井康太しか…撮れない…1枚だった 「康太…私は…この二人が…こんなにも兄弟なのが…信じられません…」 清四郎はパネルの二人を撫でた 「私も…今は仲良くなっても…表面だけかと…思ってました… 笙と伊織は…本当に…仲の良い…兄弟なのですね… ありがとう…このパネルは…玄関に…飾りましょう…あなた…」 「真矢…皆に…見せたい程ですね…」 「ええ…あなた!家族でCM…撮りたいですね…」 「真矢…」 榊原の目の前で…両親の熱い抱擁が… 榊原は眉を顰めた 「康太、帰りますか?」 榊原は康太を膝に乗せ…帰る算段をする 清四郎は慌てて…息子に向き直った 「伊織!夕飯位…一緒になんて想いはないんですか…」 メソメソ…言われると…罪悪感を感じる 「父さん達があまりにも…ラブラブでしたから…お邪魔かと…」 真矢は笑って 「そんな事言って、早く康太と二人きりになりたいんでしょ!」 揶揄する 「解りましたか…でも…朝まで康太を食べてたので…それ以上は康太が気絶します…」 でも榊原はしれっと応戦する 隼人が「オレ様も一緒に…寝たのに…起きたらヤってるのだ…伊織は…」愚痴を溢した 真矢は「まぁ…伊織ったら…」と驚き 清四郎は苦笑した 誰が見てようと…榊原は康太を抱く… 知っていて…やるからタチが悪いのだ… 清四郎が寿司を取り食べていると… 康太は…榊原に手を差し出した 榊原は胸ポケットから出すと康太の手に乗せた その時…康太の携帯が鳴り響いた 「一生、どうなった? 梨理は刺されたか?」 『真理亜も…DV野郎も半狂乱だ… 東青が怒鳴り付けて説教して…警察に電話を入れて…DV野郎を警察に突き出した! DV野郎はショックで…大人しく連行された! 俺等の仕事は終わった 東青は正式に栗原真理亜から以来を受け、仕事する為に、残ってる 俺等は帰るわ!榊原に?』 「そう。清四郎さんとこだ! お前が来るまで…此処にいるから来い」 康太は…電話を切ると…榊原に渡した 電話を切ると康太は真矢へと説明した 「後は東青がやる。オレの関知する所から離れて…道は出来た… 真理亜も梨理も果てへと続く… 心配なら見舞ってやると良い」 道は出来た… それを作ったのは…飛鳥井康太… その人なのだ… 一生と慎一と笙が帰って来ると、清四郎と真矢に説明をした 清四郎と真矢は黙って聞いていた そして、一生と慎一と笙にお寿司を勧めると、3人は美味しそうにお寿司を食べた 食事が終わると、康太はソファーから立ち上がった 「清四郎さん、真矢さん、オレは帰らねばなりません また来ます。」と言い頭を下げた 「また来てくださいね…」清四郎は康太を抱き締めた 「今日は本当にありがとう…ありがとう康太…」 真矢も康太を抱き締めた… 笙は立ち上がると…康太がそれを止めた 「怪我してるだろ? 真矢さん、手当てをしてください。」 笙はお見通しか…とソファーに座った 真矢は慌てて…救急箱を取りに向かった 「康太、僕が送って行かねば…乗れないでしょ?」 「嫌…大丈夫だ…外に力哉が待ってる お邪魔した」 康太は応接間を出て玄関に向かい…外へと出た 外に行くと案の定…力哉が待っていた

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