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第66話 五感
飛鳥井の家族が…家から姿を消して…
1ヶ月が過ぎた…
季節は…じとじと…梅雨に入っていた
会社に行けば…瑛太や家族には逢えた
家族は…会社の近くのホテルに宿泊していた
安曇からの依頼を受けた護衛が…行動を共にして…
その身を…守っていた
下手には手出しは…出来ない
そんな状況だった
悠太は…学校の寮に入っていた
悠太の側にも…護衛が着いていて…
守られている生活をしていた
こんな状況が長引けば…
心にゆとりすら…持てなくなるだろう…
康太は…秘密裏に罠を仕掛け…策略を立て…
策を練っていた
一気に…周防に討って出る!
その為だけに…家族を…避難させ…
日々動く…
息を潜めて…
その時を待つ…
絶対に逃がしはしねぇ
絶対に周防の息の根を止めてやる
飛鳥井に仇成す輩には…
制裁を…
降りかかる火の粉は…振り払う!
さぁ…行くぜ!
康太は…疲れていた
身も心も…くたくたに疲れていた
ベッドに横たわると…泥の様に…眠る
そんな日々が続いていた
榊原は、そんな康太が心配だった
心配と……康太不足…
最近…康太を抱いてない…
康太は自分を追い込んで…
ギリギリまで追い込んで…動く
だから、そんな時の康太は…
性欲はなくなる
榊原は……康太を動かす為に…
セーブをする
抱いたなら…抱き潰してしまう…
思う存分動かねばならぬ…康太の邪魔は出来はしない
康太を動かす…
その動きを止めれる筈など…出来はしない
あの…猫になった康太を抱いたその次の日から…
行為はなくなった
榊原は…トイレで…康太を想い…射精する日々が続いていた…
キスをしたなら…
止まらなくなる…
康太…
康太…
こんなにも愛してるのに…
君を…抱けないなんて…
康太を眠らせ…榊原はベッドを降りる…
だが、降りようとする榊原の手を…康太は掴んだ
「何処に行く?」
康太の瞳は…真っ直ぐに榊原を射抜いていた
「トイレです…」
「トイレで…抜くのか?」
榊原は…なっ!と驚愕の瞳で…康太を見た
「……そうです。」
「オレは…拒んだ覚えはねぇんだけどな…」
「……拒んではいません…」
「なら、何故?」
搦み着く…康太の腕を…榊原は外した
「今は動かねばならないのでしょ?」
「伊織…」
「抱けば…君は起きれませんよ?」
「…伊織…お前に我慢をさせるなら…
起きれなくても良い!何故?何故解らねぇ?」
「康太…」
「側にいて…抱き合って寝てるのに…
トイレで抜かれる位なら…オレは抱き潰された方がいい…」
康太の刹那げな瞳が…必死に榊原を見詰める
こんな瞳を向けられたなら…
もう…止まれない…
止まれる筈など…ないのだ
康太…
康太…
僕は…君が欲しいよ…
愛してる
愛してる
愛してる
愛してる
康太…君だけを愛してます
榊原は康太の瞳に…側にあった布を巻いた
「伊織…?」
康太は…急に目隠しをされ…躊躇した
榊原が見れない…
それは恐怖かも知れない
康太は…榊原に腕を伸ばした…
腕を伸ばせば触れれた温もりに…
康太は…安堵した
「伊織…お前が見れないのは嫌だ…」
「君に…触っているのは…誰ですか?」
「伊織…」
「ならば、僕の手の感じなさい…」
榊原はそう言い…起き上がると…康太の上にのし掛かり…接吻をした
見えない視界に…榊原の感触が…
やけにリアルに…伝わる
唇を離すと…その唇は…
下へと降りて行く…
顎を舐められ…乳首に触れられると…
身体がビクッ…と跳ね上がった…
五感の総てが…榊原の唇の感触を……
…指の感触を……感じる…
「ぁん…伊織…怖い…んっ…あぁっ…」
感じる…身体と…
次に…何処を触られるか…
解らぬ感触に…
身体は震えた…
期待と…怖さ……
快感と…不安…
「康太…集中して…僕の…触る指や唇を感じて…」
五感の総てを総動員して…
榊原を感じる…
榊原とセックスして……
これは初めての…行為だった…
榊原の指が…康太の体を…触る
その指のもたらす熱に翻弄され…
康太は…喘いだ
榊原の舌が…康太の体を…舐める
予測の着かない行為が…何時も以上に…指と…舌を感じさせる
康太は…自ら足を開いて…
感じている体を…榊原に知らせた
だが、榊原は、開かれた足の内腿を…舐め
ヒクヒクと蠢く穴には見向きもしなかった…
焦れったい…
触ってと…ねだる部分に触って貰えぬ…
物足りなさに…康太は…自分で触ろうとした…
その手をやんわり…跳ね退けられ…
康太は腰を捩った
「ねっ…ねがい…伊織…」
「どうして欲しいんですか?」
「指を挿れて…掻き回して…」
言われ…榊原は指を…康太の穴の中に…潜り込ませた
榊原は、ねっとりと康太の耳の穴に舌を挿し込み…
「指だけで…良いんですか?」
とクスッと笑った
なんと言う…意地悪な質問
指だけで…満足など出来ないと…
知っていて…榊原は言うのだ
「嫌…いやだ!」
「何が嫌なんですか?」
康太の身体からは…汗が吹き出し…
快感で乳首は尖り…痛い程だった…
「挿れて…ねっ…伊織…挿れてぇ…」
康太はねだった
「なら、ちゃんと舐めてくれないと…」
榊原はやっと、康太の目隠しを解いた
康太の視界に…愛する男の顔が現れた
康太は榊原に抱き着いた…
「伊織…お前が見れないのは…嫌だ…」
「康太…舐めて…このお口で出して…
そしたら君の中へ挿れて上げます…」
康太は榊原から離れた
そして聳え立つ…榊原の肉棒に手を添えた
亀頭の頭が濡れていた…
榊原も感じてくれている…
その現実に…康太は泣きたい位…嬉しくなる
オレで感じて…
オレで感じて…伊織
康太はそんな願いを込めて…
榊原の肉棒を舐めた
ペロペロ…キャンディーでも舐める様に…
舐める康太の姿が……
榊原は愛しくて…堪らない…
どうして…こんなに愛しいのか…
愛しても…愛しても……
愛し足りない…
榊原は……康太の口の中へ…
大量の…精液を飛ばした…
飲みきれず…口から零れる精液に…
康太は榊原を見上げた…
欲情した康太の淫靡な表情に…榊原は脳天まで…突き上げられる快感に襲われた
これじゃあ…射精した意味さえない程…榊原の肉棒は傘を開き…カリが開いていた…
康太は榊原の上に乗ると…
榊原の肉棒を飲み込もうと…するが…
太く滾った肉棒は容易には…入ってはくれなかった
「伊織…欲しいのに…」
涙ぐむ瞳を向けられ…榊原の我慢も余裕も…限界だった
榊原は康太を押し倒すと…脚を肩にかけ…穴を押し開いた
ぬるぬると…濡れた亀頭の先を康太に押し付け…
肉棒に…ローションを垂らした
「康太…行きますよ…」
「来て……伊織…来て…」
康太の穴に…榊原の肉棒が潜り込むと…
康太の襞が…嬉しそうに蠢き…食べて行く
康太の腸壁は歓喜して…榊原の肉棒を押し包む…
ピッタリと…榊原のカタチを覚えた…腸壁
榊原の為だけに在る……体
榊原は康太の腸壁を掻き分け…抽挿を繰り返す
二人しか味わえない至福の快感
「ぁ…康太…締め付けないで…っ…」
「伊織…あぁん…無理…止まらねぇ…んっ…」
榊原は康太の耳元で愛を囁いた
「康太…君だけを愛してます…」
その瞬間…康太は…射精していた…
体の力が…抜けて…脱力すると…
榊原は腰を使い始めた
1つに繋がり…味わえる時間は短い
こんなに欲してるのに…
ずっと1つに…交わり合えない…
だから、繋がる時は刹那に求め合い…
互いを感じて…
互いを愛して…
互いを抱き締める…
ねぇ…感じて…
オレの体で感じて…
愛してるから…
オレだけを見て…
オレだけを愛して…
康太の想いを…腸壁が伝えて蠢く
榊原の想いも…一緒だ
ねぇ…感じて…
僕だけで感じて…
愛しているから…僕だけを見て
僕だけを愛して…
互いの想いを…体で伝える
尽きない欲望に…
互いを求め…
互いを…味わう…
その熱が…引くまで…
二人は求め合い…
搦み合い…
縺れ合い…
愛を確認しあった
熱が…引き
榊原は康太を胸の上に乗せ…抱き締めた
「怖かったですか?」
「目隠し?」
「ええ…煮詰まってました…すみません」
「見えねぇとな…次は何処を触られるか解らねぇから…少し怖ぇーな…
でも……伊織の手の感触や舌の感触が…やけにリアルで…感じたのは確かだ…」
「康太の動きを止める…行為は自重してたのに…」
榊原は苦笑した
「伊織が…トイレで出すのも嫌だ…
伊織のモノなら…統べて欲しい…だから、我慢するなら…抱いて…」
「康太…」
「伊織に我慢させるのは嫌なんだ
それよりも嫌なのは…伊織の精液がオレ以外の場所で出される…それは…すげぇ嫌だ…」
「康太…」
榊原の腕が…康太を抱き締めた
「オレのエゴだって…解ってる
伊織が何時もオレを想ってくれてるのも…
解ってる…でも…伊織の統べては…オレのものでなきゃ…嫌なんだ…」
強烈な口説き文句だと…本人は知っているのか…
榊原は苦笑した
「康太…愛してます」
「オレも愛してるかんな!」
「少し寝て…お風呂に入りましょう」
「ん。伊織…離さないで…」
康太はそう言い…榊原の上から降り…胸に顔を埋めた
榊原は康太を強く抱き締め
「離しませんよ!この命がなくなろうとも…
僕は君を離す気は…有りません…」
康太はその言葉を聞き…瞳を閉じた
榊原は腕の中の愛しい…康太を抱き締めて離さなかった
そして、二人は暫しの休息に体を休めた
闇は優しく二人を包み…
眠りへと誘った…
翌朝…陵介は飛鳥井の家に来ていた
キッチンで食事を取っていると…
気怠い康太が…上目遣いで陵介を見た
「陵介!康太を見るな!」
一生の…檄が飛ぶ…
一足遅く…陵介は…一生の言葉の意味を知る…
流し目で…フッと笑われると……下半身に直撃を受け…
陵介は蹲った…
「ぅ…まぢかよ…」
陵介は痛い程の股間をもてあまし…呟いた
「だから、見るな…って言っだろうが!」
一生は陵介の腰をポンポン叩いてやりながら…トイレへ促した
「旦那…」
一生の言いたい事は解る
解るが…何とかしろ…と言うのは…無理だった
「すまない…一生」
「まぁ仕方ないわな…最近煮詰まってたからな…」
一生に解る程だったのか…
榊原は軽くショックを受けた
一生は榊原の肩をポンッと叩いた
「動き出した康太を…止める訳にはいかねぇ…からだろ?
あの日から…抱いてねぇんだろ?
康太を動かす為に……旦那は自分を押し殺す…
そんな旦那が…康太を抱いたなら…康太の望む所だろうが…」
榊原はなにも言わず…困った顔をした
康太は気にもせず…怠そうに…伸びをした
そして榊原を見上げる瞳は…キラキラと輝き…愛に満ちていた
康太の手が…榊原の伸びると…
榊原は立ち上がり…康太を抱き締めた
康太は榊原の胸に顔を埋め…甘えた
そこへ陵介がトイレから戻って来た
「陵介、準備万端か?」
康太が問い掛けると
陵介は不敵に嗤った
「その為に俺はいる!違うかよ?康太?」
「ならば、お前の絵図を見せろ!」
「お前の想いを…寸分違わず…絵図を引いた!
何時でも遊撃出来るぜ!」
陵介はそう言いタブレットを康太に渡した
康太はタブレットを受け取ると、榊原の腕から降りた
そして、操作をして…陵介の引いた絵図を見る
康太は…唇の端を吊り上げ…嗤った
「ならば、仕掛けねぇとな!」
康太は果てを見て……呟いた
歯車は…ガチャと…軌道に乗って動き出した
動き出した歯車は…
もう止まれない!
飛鳥井の果てへと、繋ぎ…動き出した
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