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第67話 邀撃
康太は大学の…キャンパスにいた
普通に学生に紛れ…大学生活を送っていた
講義を受け…カフェで一生達と話をして過ごす…
「次、講義入ってるのかよ?」
一生が聞くと、康太は
「入ってねぇから帰る。一生は講義入ってるんだよな?
なら、オレ一人で帰るから良いや」
「なら、気を付けて帰れよ!車だっけ?」
「違うバスだ」
「旦那も講義か?」
一生は榊原に問い掛けた
「ええ。次は講義が入ってます。
気を付けて帰ってくださいね…」
榊原が康太に心配そうに声を掛けると
康太は笑った
「大丈夫だかんな!ならな!」
康太は立ち上がり…カフェを後にした
スタスタ歩く…
康太の後を…着けて行く…男達を見届けて…
榊原は瞳を閉じた
康太は…軽やかな足取りで…
大通りに出て…バス停まで歩いて行った
その後ろを…着いてくる…存在を頭で描きながら…康太は歩いた
バス停の手前の林に差し掛かると…
男達は歩を早めた
康太を取り囲む様に…男達は…康太の進路を塞いだ
「飛鳥井康太だな?」
問い掛けられ、康太は不適に嗤った
「だったら何なんだよ?」
「私達と一緒に来てくれませんか?」
「遠慮しとく…」
康太は…フッと鼻で嗤った
「ならば!力付くでも…ご一緒願います!」
「嫌だと言ったら?」
「貴方に…選択の余地はない!」
「やけに強引だな…」
「怪我をしたくなくば…大人しく着いてきて下さい!」
「生憎…オレは素直じゃねぇんだよ!」
男達が…ジリジリと康太に詰め寄る
康太はそれを嗤って見ていた
「さぁ…こちらへ」
頭の男が…康太に声をかける
「着いて行く…謂われもねぇかんな!」
「御託は…後で聞いてあげます」
男が…康太の腕を掴もうとすると…
康太は…スッとその腕からすり抜けた
「触るな…!」
康太のキツい瞳が男を貫く…
男は…康太の瞳を受けても…怯むことはなく…
康太を見詰め返した
「大人しく…なさい!
怪我をさせたくは…ない」
「触るなら、オレは抵抗するぜ!」
「我等は…依頼を完遂する義務がある…」
「周防からか?」
康太が言うと……男は何も言わなかった
男達が…ジリジリ詰め寄る…
康太は…微動だとしなかった…
まるで、待ち構えているかの様に嗤う…
その顔に…男達は…その時やっと気が付いた
そして…男達は…動きを止めた
逆に男達が…取り囲まれていたからだ…
なんと言う……計算された…動き
予測出来なかった…
流石は…飛鳥井家 真贋………と言う事か…
康太はこの時の為だけに…
毎日大学に通い…
講義のある…榊原や一生達と別行動…
と言う事にして…動いていた
榊原や一生、聡一郎、隼人、慎一が…
康太を一人でバスに乗せる事は…普段なら皆無だ…
誰かが…必ず康太と行動を共にする…
その康太を一人で出させ…誘き出さねばならない…
その苦悩に…榊原は飛び出して……
何度と康太を捕まえたい衝動に駆り立てられた…事か……
自分を餌食にして…康太は動く
そんな時の康太は…
もう誰も止められはしない…
ならば…万全の…体制で康太を送り出すしかなかった
康太は…そんな皆の想いと共に動く…
そんな想いの…絵図の上を歩く…
「さぁ…どうする?オレを連れて行くか?」
康太は意地悪く…男に嗤う
男は…両手を上げ…降参した
「やはり……貴方は捕まりはせぬか…
お見事です…流石は飛鳥井家真贋…
参りました…」
男は深々と頭を下げた
男と行動を共にする者も…康太に深々と頭を下げた
「周防の仕事を引き受けた訳は?」
「我等の雇用主は…周防の息子です…」
「お前がな…」
男は…なっ!…と康太を驚愕の瞳で見た
「周防…譲…。父親に似ず…その魂…正義感に満ち溢れ…親を潰す…」
「貴方に危害を加える気は…更々ない
私の話を聞いてもらえませんか?」
「ならば…オレを連れて行け…」
「…………伴侶や供の方は?」
何時の間にか…康太の後ろに榊原が立っていた
まるで影のように…そこに在る存在
それが榊原伊織だった
そして康太を取り囲む様に…
緑川一生 四宮聡一郎 一条隼人 緑川慎一が…康太を守って立っていた
「伊織や一生達はオレから離れねぇぜ
一緒に連れて行け…その代わり…オレに何かすれば…お前の命…ないと思え」
「解っております…貴方は弥勒つきだと…
伺いました…
その様な方に…私とて命は惜しい…ですから…」
康太はフン…と鼻を鳴らし嗤った
命が惜しいと言いながら…その瞳…
己の命を懸けて…見事に散り去る覚悟を見た……
康太は護衛の者総てを引き上げさせ帰らせた…
そして堂々とした態度で…
周防の息子と共に…車に乗り込んだ…
康太と榊原は周防の息子の車に乗り
一生達は…部下の車に乗せられ…後へと続いた
康太が連れて来られたのは…ホテルの一室だった
周防の息子と…康太達が部屋に入ると…
部下の者は…引き上げて行った
康太はソファーに座ると…足を組んだ
「さぁ、お前の所まで来てやったんだ…
…話をしろ!」
周防の息子は…康太に深々と頭を下げ…
向かい側のソファーに座った
「周防譲と申します。」
「知ってる。用件に入れ」
「周防は…終焉を迎えますか?」
単刀直入に康太に問いかけた
「オレに刃を向ければ…オレはとことん追い込むぜ…」
康太はそう言いニャッと嗤った
「ならば、貴方の手で…終わらせて下さい
過去の英華に縋り着いて…現実を見ない…父の時代はやっと…終わる…
貴方の手で…終わらせて下さいませんか?」
「総て…無くしても良いのか?」
「総て無くなる時代に来ている事に…
あの人は気付くべきでしょう…」
譲は…苦悩の表情を向け…そう言った
「オレを…連れて来いと…親父に言われなかったか?」
「言われました…
私は父の…裏の部分を…サポートする為だけに…育てられました…
それだけの存在…決して表には出てはならぬ…それが私の…存在です
ですから…父の命で…貴方をお連れする様に言われて待ち構えていました
ここ数日…貴方を見ていて…想いました
周防の家の…終焉を告げる人間がいるとしたら…それは……」
譲は…天を仰ぎ…祈るように…言葉にした
「それは…飛鳥井康太…貴方だと…」
天を仰いでいた顔を康太に向け…
譲は…康太の瞳を貫いた…
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