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Ⅱ
――
「おーはよーうっ!」
朝から元気モリモリでリビングの食卓で食事をする実の弟、染谷真冬 の首に腕を回す。
「ちょ、ちょっと朝冬 。今、食事中だって…。」
お茶碗を右手に、箸を左手に持ったまま振り向いたその顔は予想通りの困った様子だった。
「わりぃわりぃ。俺も食べよーっと。いただきまーす。」
真冬の右隣の椅子に座り、母親が用意してくれていた朝食を食べ始める。お茶碗は左手に、箸は右手で持つ。真冬の右側、朝冬の左側、それが俺達双子の幼い頃から変えることの無い、揺るがない安心する立ち位置だった。
先に食べ終えた真冬は立ち上がり、からっぽになった食器を片付ける。
「母さーん。今日帰り遅くなるから夜ご飯食べて帰るね。」
「あら、そうなの。帰りには気をつけるのよ。」
「はーい。」
真冬は洗濯を干している母さんに話しかけた後、洗面台へと移動して朝支度を始める。朝冬も朝食を口に掻き込んで真冬と同じ様に支度を始めた。
歯を磨いて口を濯いで軽く顔を洗う。真冬が拭いたタオルを無言で受け取れば、朝冬も顔を拭いてそれを洗濯籠へと投げ入れた。
ふと、鏡を見る。
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