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 教室の引き戸をスライドさせて中へと入れば、次々に挨拶を交していく。 「朝冬、おはよー。」 「おう。」 「あっ、朝冬じゃん、おっはー。」 「はよー。」  教室の中央寄りの一番後ろにある自分の席へ座り、スッカラカンのリュックを下ろす。机の中に手を入れると、教科書でもノートでも無い何かが手に当たる。 (……ん?)  屈んで覗いてみると四つ折りにされた一枚の紙切れが見えた。手に取って開いてみると、文字が書かれていた。 朝冬くんへ 放課後、話があるので食堂で待ってます。 「いわゆるラブレターって奴ー?」 「……っおおぅ!」  唐突に覗き込んで来た相手に驚いて身体が少し飛び跳ねる。 「おいっ!勝手に覗くなよ……!」 「えー。見えちゃったんだから仕方無いじゃん?」  クラス内で一番仲良く吊るんでいる彼は、朝冬の前の席に座る。 「何?今度こそOKするのか?」 「……そんなの、俺の勝手だからどうだっていいだろ。」  手紙を折りたたんでズボンのポケットに入れる。「相変わらずモテるなぁ。朝冬くんは。」と羨ましいさと少量の妬みも込めながら、足を組んで取り出した携帯を操作し始める。  面倒なだけだろ。と心の中に留めておく。

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