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――  何も無い学校生活は今日も一日の終わりを告げる。陽が傾いて、眩しい西日が窓越しに教室を白く照らしている。 「じゃあなー!また報告待ってるぜ。」  終礼も終わり、ざわつく室内から真冬に話しかける声が耳に入れば、「おう。」と言う返事と一緒に手を上げてそのまま左右に軽く振った。  ポケットに手を入れて朝入れた紙切れを取り出して再び広げる。 「……せっかく書いてくれたんだし、行くか。」  手紙を書く事も渡す事もとても勇気のいる事だろう。相手の気持ちを考えると、今まで何度か告白を受けているけれど答えれなくても無視は出来なかった。  それでも朝冬の答えは決まっている。 「ごめん。付き合えない。」  苦笑いをして、「うん、ありがとう。」と言う彼女は素敵だった。周りが憧れる綺麗な先輩は、対応も言葉遣いも綺麗できっと振られた事も告白した回数も少ないだろう。  食堂を出て、教室に置きっぱなしにしている荷物を取りに廊下を歩く。  角を曲がり、渡り廊下に差し掛かった時にとても見慣れた後ろ姿が、廊下を渡った向こう側に消えて行った。 (真冬だ。)

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