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ハッピーバレンタインー後編ー(番外編)
陽は中天を過ぎたところで暗くなるにはまだまだ早い、午後のまどろみの時間。
カーテンを閉めて少し薄暗い寝室に俺の嬌声が響く。
逞しい肢体に伸しかかられて翻弄される自分がいる。
「…あっ…」
性急に慣らされて貫かれた。俺の中で熱く滾る敬の分身は何度も俺の中を突き上げて、存在を主張する。
腰骨がぶつかる音が響いて、ローションの水音が混ざる。それすらも俺を煽って背筋が震えた。
「敬…敬…っ」
すがるのは俺を、快感の坩堝に落としている張本人だ。背中を掻き抱いて引き寄せる。
俺のモノはもうびしょびしょで限界を訴えている。
「なんだ?」
少しだけ乱れた息で掠れた低音が俺に問いかける。ああ、その声も凄く良い。腰に響く。
俺を覗き込む、欲を滲ませる瞳が俺の心臓を掴む。
「もう、イく、気持ちよすぎて…ダメっ…」
びくびくと震えてペニスが張りつめきって震えている。もう爆発寸前だ。
「…ッ…あっ…あああっ…」
勢い良く突き上げられて仰け反ると達してしまった。腹の間に精液が飛び散った。
それでも敬はまだ萎えない。貪るように俺を揺さぶって存在を主張する。
「…は…あっ…あん…まだ、おっきい…」
前立腺を擦られて俺のはまた熱を取り戻す。
「まだまだ足りない。もっと乱れろ…」
耳元に囁かれて軽く耳朶を食まれた。びくっと仰け反って喉をさらす。
「ふ、ああっ…」
鼻にかかったような声をあげて俺は赤くなる。
そこは弱いんだってば。きゅっと後孔が締まる。敬のモノが更に体積を増したような気がした。
「もっとって…俺、充分…気持ち、イイ…あっ…」
敬は俺の弱いところを攻めていく気だ。
ああ、ストレスだったんだなあ…とのんきなことを考えていたら、顔をのぞきこまれた。
「余裕があるな…何かよそ事を考えていたんだろう?」
あ。なんか地雷踏んだ?
「敬の事だよ…俺、敬のことしか考えてない…久しぶりで、嬉しいし…もっと、敬を感じたいよ?」
本気でそう思う。敬が足りてなかった。
一人で暮らしていた時は何とも思わなかったけれど、二人で暮らしてからの一人寝は寂しい。
「昨夜は寂しかったし…今日は早く帰ってきてくれてほんとにすごく嬉しい。」
ぎゅっと抱きついた。敬はそのまま俺の背を抱いて抱き起こす。
「ああ、俺も仕事を早く終わらせて、隆史をこうやって抱くことばかり考えていた。」
俺の自重で奥まで飲み込む。内壁が敬を締め付ける。
「仕事中に…いけないなあ…」
熱くなる吐息を敬の肌にかけながらかすれた声で返す。でも嬉しい。
「その代わり集中できて、早く終わってこうして帰れた。悪いことはないだろう?」
目が合うと唇が自然と重なる。
「…ん、ふっ…」
敬が俺を揺さぶって突き上げる。
「ふッ…隆史…」
咥内で舌が絡まって吸いあうそれがすごく気持ちいい。敬とのキスは心が蕩けるほどだ。
何度も何度もかわすと、口の端から唾液が零れた。ゆっくりと離れるお互いの唇を唾液の橋が繋いだ。
キスに煽られて俺のモノは再び猛っている。敬のもまた堅くなっているのを感じた。
咥えこんでいるそこから一つになっている感覚が湧きあがって胸が熱くなる。
「敬…敬…」
思わず、自分から腰を揺さぶる。じっと敬の顔を見て愛おしさが沸き起こる。
「なんだ?隆史…」
優しくチュッとキスをしてくれる敬もじっと俺を見た。
「一つになってるね。俺たち…」
俺もチュッとキスをする。
「ああ。お前の奥深くに俺がいる。お前の中はいつも気持ちがいい。」
思わず目元の熱が上がる。
「敬…大好き…」
それを聞いた敬の目がゆっくりと細められて嬉しそうな顔になる。
「俺も好きだぞ。隆史…」
思いっきり突き上げられた。余裕のないその突き上げに俺はただただ翻弄された。
俺の内部は敬のペニスをきゅうきゅうと締め付けていった。
俺の腰を引きよせられて思いっきり奥へと突き上げられて敬と俺は同時に果てた。
そのあと、敬は俺を担いで浴室に連れていってくれた。
一緒に風呂に入って、リビングに移動した。
ソファーに二人で座って俺は寄りかかる。最近、敬に甘える癖がついた。
「…隆史、これは?」
テーブルの上のラッピングされた、昨日買ってきたお酒を見て怪訝そうにする敬に笑った。
「昨日、敬にあげようと思って買ってきたんだ。チョコは勇気がなかったし、敬は甘いもの苦手でしょ?一応バレンタインだと思ってよ。」
「…ああ、バレンタインか。開けてもいいか?」
箱を手にとって俺に聞く。
「もちろん。敬へのプレゼントだからね。」
そう言うと敬はリボンをはずして袋から箱を取り出した。
敬がいつも飲んでいる銘柄の一個上の等級のものだ。
「ありがとう。俺の好みを覚えててくれて嬉しいぞ。」
敬は俺の肩を引きよせて額にキスを落としてくる。思わず真っ赤になった。
「三倍返しか?」
とくくくっと楽しそうに敬が笑う。俺もつられて笑った。
「そろそろ夕飯だな。冬は陽が落ちるのが早い。仕込んであるからいつもよりは支度は早くすむから待っててくれ。」
俺は頷くとテレビをつけた。ちょうど夕方の番組だった。デミグラスソースの匂いがする。
さっきは気付かなかったなと思った。
煮込みだから、あれを使ったのかも。火からおろしても煮込める調理器具。名前は覚えてないけど。
パンをあっためてるのをちら見した。あ、サラダもある。さすが敬。
「どうぞ。」
テーブルに並べられたのはシチュー(ではなくて解説によるとテール肉の煮込みらしい。)だった。
うん、あんまり見分けがつかなくて申し訳ない気分になる。サラダとフランスパンが添えてあった。
マッシュポテトとパスタ、にんじんとが盛りつけのサイドにあった。
お店で出ても遜色ないなあと思いながら手を伸ばす。
「いただきます。」
一口食べて肉が軟らかくて驚いた。それにデミグラスにコクがあった。すごく美味しい。
思わず夢中で食べてしまった。
俺が食べ終わる頃、俺にだけ一品出てきた。チョコレートムースだった。
「一応、俺もバレンタインの用意はしたぞ?」
とにやにやと笑っていた。俺が口を開けて驚いていたからだ。
「ちなみに料理にもカカオを入れていたんだが、気付いたか?」
チョコレートなんて入ってなかった、と思う…けど??
「え!??全然…」
と首を横に振った。
「砂糖を加えなければカカオは甘くない。調味料に使えるんだ。豆を砕いたのとか、カカオバターなんてのもあるな。チョコレートソースを使った料理もあるが。」
思わず感心して敬をじっと見すぎてしまった。
「とりあえず、食べろ。まだ入るだろう?」
苦笑した敬にムースを勧められた。これも超おいしかった。
「どうしよう。また5キロ太ったら…」
と思わずお腹を見てしまった。
「大丈夫だ。俺は隆史が80キロになろうが100キロになろうが愛せる自信はある。が、その前にスポーツジムに連れていくから安心しろ。」
肩で笑いながらそう言ってくれた。運動は苦手だけど、敬が一緒なら耐えられるかもしれない。
というか、俺、がっちり胃を掴まれていると思う。
明日も休みだからいっぱい甘えられる。俺は幸せなバレンタインデーになるなあと、そう思ったのだった。
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