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第4話 事後のふたり
「はっぁ」
肉厚な舌に咥内をかき混ぜられ、咲夜は身動きも取れなかった。
それでなくても、激しく愛された体を動かす元気なんてこれっぽちも残っていないのだが。
汗に濡れた肌にシーツが張り付く。
このまま眠ってしまいたいと思うほど気だるくて、咲夜は瞼を閉じた。
「咲夜」
「んん?」
「このまま眠る気か?」
「え?」
間近に伸弥の瞳があった。
困ったように眉毛を下げた表情に咲夜はどうしたことだろうと、じっと見つめた。
そして、その0.1秒後、幼さを残す体はビクッと震えることになる。煙りがかかった思考に太陽の光が差すように、一瞬にして咲夜は自分の体内に何かがあることに気が付いた。
「ぁぁんっ!伸弥さん?まって、まだやるの?ぼく、疲れてるもん無理だよー」
「巣づくりして、1人で楽しんでいたもんな」
「え?!すづくり?」
我慢できずに自慰してしまったことは大分昔のことのように思えた。
今、自分の頬を両手で包み、愛し気に啄むようなキスを送る伸弥が発した言葉を咲夜は何度も頭の中で繰り返した。
巣づくり。
言葉自体は聞いたことがある。
Ωの習性の1つで、番の匂いがする衣服等を集め”巣”を作るのだ。
不安だったり寂しかったりすると巣づくりをするものもいれば、発情期前にやる者もいるという。やり方も形も人それぞれだが、番と自分以外は中に入ることを嫌がる者が多いのは一貫して言えることである。
それを、自分はやっていたのか?
よく考えてみても、そうだとはっきり言えない。
伸弥が帰ってくる前に、どうしても彼の洗濯物を集めたくてしょうがなくなったのだから、やはり巣作りをしていたのかな、と結論付けるしかない咲夜だった。
横たわる自分の体に、少しだけ感じられる伸弥の体重が心地よい。
肌から感じられる体温はもちろんだが、体内で感じられる体温の気持ちよさと言ったら、この上ないものなのだ。
「巣の中で自慰をするお前は可愛かったよ?ああ、もちろんその後の表情も、」
「んーーー!ストップ!」
恥ずかしすぎることをペラペラ喋り出した番の口を咲夜は両手で塞いだ。
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