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第3話
全寮制の学園に転入した僕、渕崎(ふちさき)智酉(ともなが)って言うんだけど、今悩んでいます。何にって? 身体の関係に……。
腰が痛いんです。
ゴムはつけてくれるんだけど、それが気になる。エチケットだけど。だけどだけど……生の方が気持ちいいって小説には書いてあった! ……気になって書店に行ってBLの本を買ってしまった僕。その知識だけれども!
いいなって思ったんだ。人当たりもいいし。でも、
「八幡(やはた)! 授業を聞け! 次の試験に出るところだからな。わかったか? 皆も頭に入れておくように! この間の小テスト成績悪いやつやばいからなー」
八幡南雲(なぐも)くん。本当に頭が悪いのかと疑ってしまうぐらい頭の良さそうな顔してる彼。
転入して早々小テストがあった。
そんなことより、目と目があった日に、同じ部屋だと知った僕は浮足立ったし、運命だと思った。
あの綺麗な男の子と部屋が一緒ってだけで幸せだった。
性格もいいよ? 優しいよ。頭もいいと思ったよ。顔もいいよ。でも! 誰に対してもというか、妙に距離が近い。
小テストの結果?
そりゃ僕、がんばり屋だから……って程じゃないんだけど、一度授業を聞いたら覚えてしまう。理解してしまう。天性のパワーがある僕って天才?
自分で天才とか言っちゃうとこは馬鹿か……。
百点の答案用紙を手にしていたら、隣の席に座っていたこれまたイケメンの白雲(しらくも)くんが答案を握り締めて涙目になっていた。
どうしたんだろう? と思ったら、
『渕崎! どうしてお前百点なんてとってんだよ! のほほんとしてて、何も考えてなさそうなお前がどうして! 頭悪そうなのに!』
などと言われて傷ついた覚えがあった。
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