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黙っていれば…なワンコ 2
津田を引っ張って教室まで戻ると、ちょうど教室前の廊下で朝倉と朝倉の彼女が話をしていた。
これは絶好のタイミングだとばかりに、2人を捕まえて早速合コンのセッティングを頼みこむ。
「なぁ、栗山~、頼むよ」
目の前で手を合わせ、すがるような俺に朝倉の彼女の栗山が後退りする。
「急に何よ」
「だって今日は部活ない日じゃん」
うちの高校には月に2回、第1と第3木曜日は部活を行ってはいけないと校則で決まった日があり今日はまさにその第1木曜日だった。
「合コンって感じじゃなくて、みんなでカラオケ行ったりしようよ。朝倉と栗山も一緒に来たらいいじゃん」
「お前、いつになく積極的だな。つか津田っちは嫌そうな顔をしてるけど」
「俺は行きたくないです」
「津田っち行きたくないってよ」
「俺が行きてーの!! ダツも絶対参加だからな」
するとため息をついた栗山がポケットからスマホを取り出した。
「別に桐生くんが来るって言ったら集まるけど……同じ中学だった子だけどいい?」
「うんうん」
そしてスマホを操作している栗山の手元を見つめる。
「隣の女子高に通ってる子なんだけど……1人友達誘ってって言ってみる」
そして話はとんとん拍子で進み、俺と津田と朝倉と栗山、そして栗山の友達とその友達の6人で遊ぶことになった。
――放課後。
駅前のカラオケボックスで集合した女の子たちは隣の女子高の生徒で、1人は同じ中学だったらしいが同じクラスになったことがなかったので俺にとっては2人とも初対面だった。
「ユキナちゃんとマミちゃんか~。ヨロシク」
そう言ってにっこり笑うとその2人が頬を赤らめたのがわかり、栗山の手を引っ張って小声で喋ってる声が聞こえた。
「久しぶりの生桐生くん! ありがとう~超かっこいい!! 後輩って子も超背高いしレベル高い!!」
同中だった子が栗山に向かってそういうと、次はその友達が袖を引っ張って興奮していた。
「2人ともイケメン!! やばい、テンション上がるー」
本人たちは小声で話しているつもりらしいが、筒抜けになってるお陰もあってテンションはどんどん上昇。
そしてなんとなく津田の方を見て、ドヤ顔をかましてやりたくなった。
それなのに津田ときたらほぼ無表情って感じでこっちを向く。
「先輩どうしたんですか?」
どうしたんですか? じゃ、ねーよ!
妙にすかした顔をしていてイラついたんだが、久しぶりに女子のキャッキャした雰囲気に触れて俺も楽しくなって来たし殴らないでいてやろう。
見てろよ。津田に俺が女の子にモテモテだってことを見せつけてやる!
俺のベビーフェイスなめんな!!
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