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黙っていれば…なワンコ 3

自分の顔には、少しばかり自信があると言ったら笑われるかもしれないけど、女の子から言わせたら俺は可愛い系らしい。女顔だから。 ばあちゃん譲りの大きな目や唇あたりが女顔を強調しているんだろうと思うし、少しだけ癖のある茶色い髪は柔らかいねこっ毛で歴代彼女には触り心地が良いと評判だった。 それに加えて日焼けしようにも赤くなるだけの白い肌。 これは男としては夏はやっぱ黒くなりたいからコンプレックスなんだけど、女の子は大体の人が俺を気に入ってくれる。 だから女の子にチヤホヤされることに関しては不自由したことはないかもしれない。 でも、付き合うのは絶対に好きだって思う子が良かったから、付き合った人数は年齢相応だと思う。 真剣な付き合いのみで遊びはしない。なのに、振られてるから切ないわけだけど……。 久しぶりのカラオケで歌いまくったら、同じ中学だったというユキナちゃんが隣に座ってきた。 「ユキナちゃんってさ、中学一緒なんでしょ? 同じクラスになったことないよね?」 「うん。でも、私は桐生くん知ってたよ」 見た感じから明るい子なんだろうなと思っていたけど、喋ってみるとさっぱりした印象を受けてより好感が持てた。 どうだー、ダツ見たか! とばかりに暑苦しいくらい俺の隣にピッタリくっついて座っている津田の方を見てみると。 「津田くんって1年生なんだ~。マミ的に年下ってアリだよ。津田くんは年上アリ?」 一丁前にモテている。 ちょっとムカつくけど、まぁ高身長だし、顔だって悪くないから当然か。 それなのに津田ときたら……。 「年上はアリですけど、今日は先輩を見張りに来ただけなので」 「見張り?」 そんなことを言い出すから、慌てて津田をグイッと引き寄せて小声で耳打ちした。 「お前馬鹿か。空気よめよ。これは合コンなんだから」 「でも、俺は先輩以外興味ないし……」 「女には優しくしろ!! だろ」 「好きでもない人に優しくするなんて、気を持たせるだけで酷くないですか?」 「つべこべ言ってないで女の子には優しく!」 そういうと、不満げな顔をしていた津田だがため息をついて小さく頷く。 そんなこんなで津田がまともにマミちゃんの相手をするようになると、俺もユキナちゃんと更にいい感じだし気分は上がりまくりだった。

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