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ほろ苦い恋心とワンコ 1
土曜日──。
午前中の部活を終えると急いで帰宅し着替えを済ませ、昼飯を食ってから近くの公園へと津田を迎えに行く。
津田は迎えに来てもらわなくても1人で家までいけるとか行ったけど、一度も教えたことない家に来れるとか色々考えるのが怖いので迎えに行くことにした。
「先輩の家に入れるなんて感激です」
「お前、頼むから家族の前では変なこと言うなよな」
「わかってますよ。でも、幸せだー」
喜びを露にしている津田を見ていると、また優越感のようなものがひしひしと沸いてくる。
そんなに俺のことが好きなのかって、やっぱりこいつといると良い気分になるんだ。
良い気分にさせられる度に、うまく乗せられてるなぁとも思うけど。
「ただいまー」
帰るとすぐさま母さんが顔を出した。
「おかえり。あ、あなたが津田くんね?」
「はじめまして。津田桜太です。先輩にはいつもお世話になってます」
「お世話だなんて、逆に雄一郎のほうが迷惑かけてるんじゃないかしら」
「かけてねーよ」
「本当かしらねー」
和やかな雰囲気で母さんとの挨拶を済ませた津田は、じいちゃんとばあちゃんとも挨拶を済ませてから俺の部屋へと向かった。
「さてと、ゲームすんぞ!!」
「はい。あ、ここが先輩の部屋ですか~。イメージどおりの部屋ですね」
「そうか?」
「シンプルな部屋だろうなって思ってたんですよ。家具とかは黒基調のカッコイイのだろうなって。カーテンが水色なのは知ってましたけどね」
なぜ水色なのを知っているんだ!? と聞きたいが大体予想がついて、予想通りでもまたそれはそれで怖いからキョロキョロしながら部屋の中央に立つ津田をなんとか座らせようとする。
「お前の観察眼は怖いものがあるんだから、早くそこに座れよ」
「はい。それにしてもいい匂いですね」
「匂い? そんなんするか? 芳香剤とか置いてねぇぞ」
「先輩の匂いですよ。部屋中に充満してます」
……ははは。聞かなきゃ良かった。
すると床に座った津田が鞄からポータブルのゲーム機を出したので俺も出してきて床に座り込む。
「先輩は何がしたいんでしたっけ?」
「まずは武器の通信強化だな。いつかやりてーと思ってアイテムだけは入手してあったんだ。順番にやってもいいか?」
津田はにっこり笑って頷いた。
そしてそれからはやってみたかった武器強化に延々と付き合ってくれて、さらにその新しい武器と防具で戦う通信バトルとかもやったりして楽しくてたまらない時間が過ぎていった。
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