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ほろ苦い恋心とワンコ 2

暫くすると、母さんが飲み物と菓子を部屋まで持ってきてくれた。 笑顔で迎える津田になぜか母さんは気持ち悪いくらいニコニコしていて、普段友達が来るときより明らかに菓子の量が多い。もしや、津田が気に入ったのか? 「津田くん、夕飯も食べて行ってね」 テーブルにコップを置きながら母さんが言うと、津田は目を丸くしてかぶりを振った。 「わ、悪いですよ」 「そんなことないわよ。食べていって。ねぇ雄一郎もそう思うでしょう?」 「おー。食って帰れよ」 特に遠慮することでもないと思ったので母さんに同調すれば、津田はちょっと頬を染めて嬉しそうに笑い小さく頷いた。それを見てまた母さんも喜んで部屋を出ていく。 そしてまたゲームに没頭していると今度は部屋にばあちゃんがみかんを持ってきてくれたりして、津田は終始楽しそうに喋っていた。 そんなにこやかな姿が良かったのか、一緒に夕飯を食べていると今度はじいちゃんが泊まって行きなさいと言い出した。 じいちゃんが俺の友達が遊びに来た時にこう言うのはいつものことで、俺もまだゲームし足りなかったしやってみたかった通信の裏技もあったから軽い気持ちで「じいちゃんもそう言ってるし、そうすれば?」と言うと津田は困ったような顔をして眉尻を下げる。 「夕飯もいただいちゃったし、泊まりは流石に悪い気が……」 「遠慮しなくていい」 暫くじいちゃんと津田の攻防は続いたが断りきれなかったようで、泊まることにしたようだ。 そして、母さんが津田の家に電話をいれて了解も得ると、早々に風呂に入らされ部屋に戻ってきた。 「お風呂、先にすみません」 「いいよ。お前、客なんだし」 「先輩のご家族って皆さん温かくて、楽しいですね」 タオルで頭を拭きながら、照れたように笑う津田はなんとなく子どもっぽく見える。 「そうか?」 「俺んち核家族なんですよ。兄がいるんですけど、去年から大学近くで一人暮らししてるので賑やかじゃないんです」 「そっか」 ドライヤーを渡してやると、歯を出しにっこり笑いながら軽く頭を下げた。 「そういえば、先輩のお父さんは? 挨拶したいんですけど、もうお帰りになられましたか?」 「……今日は帰ってこねーよ」 「お仕事ですか?」 「そんなとこだ。あ、じいちゃんがコレでもやれってオセロ貸してくれたんだ」 さっきじいちゃんが無理矢理置いていったオセロを床に置いて箱から出した。 「オセロとか懐かしいですね」 「ゲームするからいいって言ったらさ、ゲームならオセロだろ!! って置いていった」 そしてクスクス笑っている津田を見て俺もおかしくて笑って、とりあえずオセロの前に風呂かなと思い立ち上がる。 「俺も風呂入ってくるから、髪乾かしとけよ」 「……あ、はい」

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