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会えないワンコ 2
──そんな風に津田から間接的に昼飯が届けられ続けて数日が経った。
次の日は、俺がトイレに行っている間に1年が届けに来たとか言ってクラスのやつが受け取り机の上に置いてあった。
それならばと、トイレに行かずに待っていると今度は同じクラスの女子から購買で預かったと言って渡された。
なんか、俺の行動が全て見透かされているようでムカつく。
俺も津田のクラスを知ってるから行ってはみるものの、アイツは居ないし。行きそうな場所を回っても見つけられない。
完全に避けられているんだと思った。
わかってはいるけど、やっぱり避けられていると思うと凄くモヤモヤする。
津田の気持ちはわからなくもない。俺が無神経だったことで起こったことだ。全て自分のせいなんだ。
でも、会いたいと思っているくせに、絶対に毎日いるであろう弓道場には行けずにいる。
気持ちや行動が矛盾しているのはわかっているけど、後ろめたい気持ちもあって。
はっきり津田から避けられている事実を突きつけられるのは怖くて、そこだけは行けていない。
考えれば考える程に自分のしてしまったことを悔いて、出来ることなら時間が戻ればいいのにと思う。
あいつが俺のこと好きだって言っていたことは知っていたのに。
家に呼んだり、同じ部屋で泊まらせようとしたり。
俺はあいつの“好き”を軽く見て、好かれているって優越感に浸るだけ浸って、いい気になって……最低だったんだ。
だから、大切な気持ちは失うまで気付けなかった。因果応報ってやつか。
避けられたってしょうがないんだ。
この結論に行き着く度にため息が出る。
でも。じゃあ、どうして昼飯は毎日届けられるのだろう。
あんなことをしたんだから嫌われただろうに。
毎日、相も変わらず食べたい物が入った袋を受けとる度に、変にそこだけ期待してしまいそうになる。
そんなことあるはずないのに。
でも、やっぱりどこかで期待していたんだと思う。
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