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会えないワンコ 5

津田とあの子はどこに行ったんだろう。 朝倉たちと同じようにデートなのかな。 本当に付き合ったりするんだろうか。 ふと頭の中で津田がマミちゃんと付き合っている様子が浮かんだ。 もし、付き合ったらエッチなことだってするんだろ? ……あいつに出来るのかな。 つか、あいつって女と付き合ったことあるのかな。 前々から何となく童貞っぽいなって思ってたけど。 この前のキスだって思いっきり歯当たってたし、鼻も当たってたし……。 そんなことを思っていたら不意に津田にキスされた事実を思い出して、少し顔が熱くなった。 ……したんだよな。キス。 唇に指先を当てるとさらに実感して、それだけでまた胸がしなった。 つか、俺ってば津田のことめっちゃ好きなんじゃん。 本当、バカだよな……。 あいつ、ちゃんと出来るのかな。……なんか、やだな。 複雑な気持ちのまま歩いていると、後ろから見知った声に呼び止められた。 「雄一郎くん……」 振り向いてみると、元カノの理香が立っていた。 少し緊張した面持ちの元彼女は「ちょっといいかな?」と近くの公園を指差す。 話があるということなので、よく2人で座ったベンチに腰掛けた。 午後の公園は遊んでいる子供たちで賑わっていて、ボールが跳ねる音やはしゃぐ声が遠くで聞こえていた。 そんな中、呼吸を整えた理香が小さな声を発した。 「あの……雄一郎くん。久しぶり……だね」 「そうだね」 やや重たい空気のまま俺も彼女もそれから何も言わずに時間だけが刻々と過ぎていく。 ベンチの近くに鳩がおりてきて、ゆっくりと目の前を横切っていくさまを見ていると、理香は俯いたまま口を開いた。 「……あの、理香ね。やっぱり雄一郎くんが……好き」 「えっ!?」 突然の告白に驚けば、その声に反応するように鳩が飛び立った。 「理香の方から別れるって言ったくせに都合よすぎるのはわかってるんだけど。離れてからやっぱり好きって思ったの。だからやり直して……欲しいの」 そういうと理香は握り締めた自分の手をさらに強く握って、震えながら下を向いていた。

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