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オトコなワンコ 3
そして角度を変えて舌を差し込もうとしたけど、しっかりと口も歯も閉じてるものだから舌が入れられない。
「ダツ、口開けろ。舌、入んねー」
「え、はっ、はい!」
そう言って馬鹿正直に大きく口を開けた姿を見てちょっと笑いそうになったけど、その口を塞ぐようにしてキスしながら舌を差し込み津田の口内を舐めまわす。
「……んっ…ッ……」
探し当てた津田の舌を軽く吸いながら絡めてまた角度を変えた。
津田はぎこちないながらも付いてきて、次第に部屋にはピチャピチャと唾液の絡む音が聞こえてくる。
そして、唇を離せば絡み合った舌が銀色の唾液の糸を引いた。
「……っ…ふぅ……」
真っ赤になってトロンとした表情の津田は、息が上がってハァハァと大きく呼吸をしていた。
「ディープキスも初めて?」
「……はい」
「そっか。どうだった?」
「き、気持ちよかったです」
なんか俺がいちから教えてやってることが快感な気がして頬が緩む。なんか大事に育ててるみたいで気持ちがいい。でも、なぜか津田の方は浮かない顔をしていて。
「あ、あの……すみません。俺……経験なくて、下手で……」
いきなり謝るから何かと思えば、どうやら経験が少ないことを気にしているらしい。
「上手く、できなくて……俺ばっか気持ちよくて……」
「ダツは気持ちよかったんだろ? だったらいいじゃん」
「でも、俺だって先輩を気持ちよくさせるべきというか……」
「俺を気持ちよくするつもりだったの?」
「あ、すみません」
「いや謝るとこじゃねぇし。つか、俺もお前とのキスは気持ちいいよ」
そう言いながらまた津田の頭をそっと撫でた。
「俺はお前がキス初めてで嬉しかったんだけどな」
「え?」
不思議そうな顔をしている津田の首に腕を絡ませてニッと笑う。
何もかも俺が初めてなんて、こんな嬉しいことあるか。
「そりゃそうだろ。だって、ダツの初めて全部俺が独占ってなんか気分いいじゃん」
きょとんとしていた津田は意味がわかった途端恥ずかしそうだったけどそれ以上に嬉しそうで、そんな姿を見てたら更に気分が良くなってくる。
そして、悶々と別の感情も沸き上がってきた。
なんていうか、覚悟っていうには大袈裟かもしれないけど似たような感情。
こいつの初めてってのは、全部俺が欲しいなって。
お前の初めてに俺を全て刻みたい。
それなら受け入れることくらい、何てことない気すらしてきたんだ。
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