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オトコなワンコ 5
俺の誘惑は徐々に効いているのか、体だけでなく俺を見つめる目も熱を帯びゴクリと生唾を飲み込むのがわかった。もっと熱くなれ。もっと夢中になればいいと。
だからまた耳元で囁いた。
「触るくらいだったらいいぞ」
全部やるつもりだけど、顔を真っ赤にして戸惑う津田を想像しながら、勿体ぶって言ったつもりだったのだが……。
その刹那、とんでもない間違いに気付くことになる──。
勿体ぶった言葉を投げ掛けた次の瞬間、視界がぐるりといきなり回った。
抱き上げられベッドに押し倒されて気付けば津田に見下ろされていて……。
一瞬にして組み敷かれていた。
「えっ…えっと……」
「先輩……」
戸惑う俺は置き去りにされて、掠れた声で俺のことを呼ぶ目の前の津田は、目を血走らせている。
こ、これは誤算だった。
まさか、キレてるのか?
この間の津田に似ているような。
いやいや、待て。
俺の予定ではたとえ俺が抱かれる側だったとしてもだな、俺の優勢で事を進めたかったわけで。
『先輩、駄目です。我慢出来ないです』
『しょうがねぇな。触ってやるよ』
『せ、先輩のも触りたい。あっ……』
『なんだよ。俺に入れたいのか?』
『い、入れたいです』
みたいなのを想定していたわけで。
こんな風に押し倒されるのなんて予定にないんだけど!!
「おい、ダツ! やめろ」
しかしハァハァと息を荒げたまま首筋に擦り寄ってくる津田は一向にやめる気配はなく、何を言っても耳に入っていかないようだ。
つか、匂いを嗅ぐな!!
「先輩……先輩……」
さっきからうわ言の様にそう呟いては至る所をクンクン嗅いでいる。
本当にお前は犬かっ!!
「ダツ、ちょっと待って……」
このバカ力が!
押し返そうとしてもビクともしないし。
それどころか覆い被さるようにキスしてきて、また歯が当たったのも気に留めず、今度は俺の制服のシャツを脱がしにかかった。
ハァハァと相変わらず息は荒く、津田の手を振り払おうとしても無理で、乱暴な指先はモタモタしながらもボタンを外していき俺の肌が露出した。
すると津田はいきなり俺の胸にむしゃぶりつく。ムードとか緩急とか、そんなのへったくれもない。
逃げようとしてもそのバカ力で腕を押さえられているからやっぱり敵わず、津田は明らかにセックスに向かっているようだが。
お互いが気持ちいいと感じないとセックスの意味なんてないじゃないか。
そう思うとだんだん腹が立ってきた。
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