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オトコなワンコ 10

なんか、シュールだ! 耐えられずクスクス笑っていると、津田が神妙な面持ちで首を傾げた。 「な、なにを笑ってるんですか!?」 「だって……お前おもしろい」 一通り笑って“待て”をしている津田から薬を貰おうと手を伸ばすと、何故か一気にしっぽを振りだすようにぱぁっと表情を華やがせて津田が手を伸ばしてきた。 いやいや、お手じゃねーし。 「薬かせ」 「俺が塗ってあげます」 「いいよ。お前にケツ見せると怖いし」 すると一気に華やいだ表情が曇ると、また耳と尻尾を垂らして落ち込んでいるようだ。 でも諦められないのか、津田はボソボソ呟くように言いながら控えめに俺を見る。 「……今度はちゃんと…出来ると、思う」 その根拠のない自信はなんだ!? すこし疑っているのが顔に出ていたのか、津田は俯きかげんではあるが目線を上げてぐいっと体を近づけた。 「俺がやりたい。俺が怪我させたんだから責任取りたいんです」 俺は多分押しに弱いほうだと思う。 布団を纏っているといってもこんなにぐいぐい来られると……。 結局、少し怖いけど布団の中に手を入れるだけならってことで許すとまた津田の表情は明るくなった。 本当に俺の言動で明るくなったり暗くなったり忙しいやつだと思う。 そして軟膏の説明書を念入りに読みこんだ津田が、俺の背後に回って座った。 「先輩は寝転がってて」 「うん」 するとゴソゴソと布団の中に手を入れてきた。 それでもちょっとやりにくかったらしく。 「見えにくいからやっぱり布団剥いでもいいですか?」 「え、ちょっと……」 「薬を塗るだけです」 なんか、あれよあれよという間に布団を剥がされれば、膝を立てて尻を津田に向けて突き出すような格好にされているのですが!! なに、この格好! 「おい、ダツ!!」 「……赤くなって切れちゃってる。本当にごめんなさい」 文句を言ってやろうとした瞬間、その部分にヒヤッとした感触が伝わった。 津田は指にとった軟膏を丁寧に後孔へ塗りつけていく。 さっきみたいな荒々しさはないから恐怖は感じないけど、この格好が恥ずかしくてたまらない。 いったい、何プレイだよ!? 「……っう……」 「先輩、中も塗った方がいいですよね」 「中はいらな……っく……」 言い終わる前に軟膏を纏った指が奥へ1本入れられる。 「待って…ダツ……っ、早く……抜け……」 「でも、中も傷付いているかも」 「大…丈夫、だか…ら……んぐ…痛ぇ…」 軟膏の滑りでさっきほど痛くはないけど、言いようのない圧迫感が半端ない。 つか、絶対そんな部分までお前の入ってなかった!

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