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俺の最強ワンコ 8

津田が本棚からアルバムを持ってきてその中身を俺に見せた。 「この写真なんですけど」 そう言って開いた中には俺の隠し撮り写真のオンパレードで。 それは中学生くらいからあり、登下校中や部活の写真に加えて部屋でくつろいでいるときの写真まであった。 「お、おまっ……これどこから……」 「山田さんちです」 山田のばーちゃん!! 知らず知らず盗撮に加担してるぞ!! もういろんなもの通り越して呆れてしまい、どこから突っ込めばいいのかすら迷走してしまったので、この際写真のことはもう考えないことにしよう。そうしよう。 「で、この写真で喋る練習でもしてたってことか?」 「……あ、この写真を使ってです」 そう言って津田が指差したのは、中学の修学旅行のときの写真で俺が真ん中でクラスメートと写った写真だった。 しかし、これは学校側が撮った写真じゃないか!? 「これはどこで手に入れたんだ!? まさかひっそりと、ついてきてたとかじゃねぇだろうな」 「そんなわけないじゃないですか。ほらここに……」 そう言って指差すところには、小さく人が写ってるけど……これ、山田か!? 「もしかして、また山田経由なのか?」 「はい。山田さんのお母さんは、どんなに小さくてもわが子が写っている写真は買う派なんだそうで。おばあさんに頼んで修学旅行の写真を見せてもらたときに、こっそりコピーさせてもらっちゃいました」 どんなに小さくても買う派って言っても、これはいくらなんでも小さすぎやしないか? かろうじてわかるけど、ピンぼけだし違う方向を向いてるし。 こんなんでもいいのか!! 山田母‼︎ 津田もにこって可愛く笑ってやがるけど、これ好きじゃなかったら末恐ろしいな。 こいつのストーキングの底力を侮ってはいけないのだ。 そんなことを思いながら津田と目が合えば、津田は目を細めながらその写真を指でなぞった。 「先輩の写真の中でこれが一番好きです」 「唯一のカメラ目線だからか?」 「それもありますけど。全身写ってるし、先輩可愛いし」 「全身って意味あんの?」 そう聞いて、数秒後。 やっぱり俺は聞かなきゃ良かったって思う羽目になる。 津田は立ち上がって今度は押入れの扉を開け、中からなにやら大きな袋を取り出してきた。

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