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俺の最強ワンコ 9
その中には、柔らかくてさわり心地の良さそうなクッションが……。
って、えっえぇ――――――!!!!
なっ、なっ、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!
柔らかそうなクッションは意外にもでかくて、俺の身長くらいありそうだなぁとか思った矢先。
そのクッションを津田が裏返すと……。
そこには何故か、クッション一杯に引き伸ばされた中学時代の俺の姿があった。
「な、何なんだこれは!!」
俺の表情の強張りを感じ取った津田は、見る見るうちに不安げな顔つきになる。
「……先輩もしかして引いたんですか?」
「引くに決まってるだろ。馬鹿か! お前は馬鹿なのか!? そうか、馬鹿なのか!!」
「ひどいです。引かないって言ったから俺も勇気出して先輩に見せたのに」
「なんだこの抱き枕的なものは!? 作ったのか!? お前の手作りなのかこのやろー」
「あ、はい。先輩の等身大です」
なんか褒められたと勘違いでもしたのか、照れながら言うさまに「褒めてねぇし!!」と激しく突っ込みを入れるも、津田にペースを乱される。
無惨に転がるその抱き枕を見ながら、枕の表面で暢気にピースなんかしてる自分にすら腹立たしい。
中学時代の俺、もうピースなんかするなっ!!
とりあえず落ち着かなければと思い、深く深呼吸をした。
そしてゆっくりと顔をあげて、津田と向き合う。
「これまじで作ったのかよ」
「はい。大きいからプリントするのが難しかったですけど」
「…………」
このクオリティやら情熱に脱帽なんだけど。
つか、なんだよ。等身大って。
「……お前さ、そんなに俺のこと好きなのかよ」
「はい、大好きです」
迷いのない返事は清々しくて、呆れとか怒りとか通り越して可笑しくなった。
「抱き枕で会話の練習したり、どうせお前のことだからオナったこともあるんだろ?」
「………………はい」
さっき津田が“妄想と違う”って言ってたもの、これが相手だったのだろう。
本当にこいつには思いがけないことばかりされる。
でもなんか憎めないというか、愛らしいとか思っちゃってる時点で俺の頭はおかしくなっている。
色々考えたけど、もう恋人だからいっかって思って津田をぎゅーっと抱きしめて押し倒した。
「先輩、怒っちゃいましたか?」
なのに津田が不安げな表情を見せるから、反省するなら恥ずかしがらせてやろうと耳元で囁くように聞いてみた。
「なぁ、どんな妄想で抜いたんだよ?」
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