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最強小悪魔彼氏。 3
部屋のドアを閉めたと同時に先輩を抱きしめたら、先輩が少しだけ背伸びをして俺の頭を撫でてくれた。
「そんなに俺のこと抱きしめたかったか?」
コクコクと頷けばまたクスクス笑う声が聞こえて先輩の指が俺の耳の形をなぞり、くすぐったくて身をよじらせると耳元に息がかかった。
「俺も一緒。桜太に触りたかった」
先輩はいろんな顔を持っている。
特に俺のことを“桜太”と下の名前で呼ぶときは特に妖艶でドキドキしてたまらなくなってしまう。
すぐさま先輩を壁に押し付けるようにしてキスをして、その薄く開いた隙間から舌を滑り込ませた。
「……はぅ…んっ……んっ……」
舌が絡まるたびにピチャピチャと音がして、それにあわせるように先輩の口からも吐息が漏れ出す。
「先輩……先輩……」
うわ言のように名前を呼びながら深く舌を絡めていくと、背中に回された腕にぎゅっと力が入った。
そして飽きるまでキスしてゆっくり唇を離すと舌が唾液の糸を引いて、トロンとした顔をしている先輩が色っぽくて、もう自分の股間はガチガチになってしまっていた。
それを見つけた先輩の手が伸びていく。
「もうガチガチじゃん。エロっ」
そう言ってクスクス笑いながらも誘うようにねっとりした視線を向ける先輩のほうが絶対にエロい。
「桜太ぁ、今日はどんなことシたいの?」
そんなこと、わかってるはずじゃないですか。
でも、先輩はわざと試すように俺のことを見上げてくる。愉しそうに。
その上目遣いに俺が弱いのも知っていて、抗えないのも知っていて、わざと言わせようとしているのもわかっていた。
「先輩のことぐちゃぐちゃにしたい」
俺が願望をそのまま言葉にするとニヤリと笑いながら、また優しく髪を撫でた。
「うん。いいよ。ぐちゃぐちゃにしてよ」
「先輩、大好き」
「俺も好きだよ」
「先輩が思ってるより100倍好きです」
「わかってるって」
「だから……」
「だから?」
首をかしげた先輩を抱きしめて、お願いしてみることにした。
「だから、今日は制服のシャツは脱がないでください」
「…………は?」
───────…
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