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第7話

朝起きると食卓に料理が並べられていた。 久々にこの食卓に料理が並んでいる光景を見た。 台所には橘部長… って、部長!? 寝ぼけた頭が一気にクリアになる。 「お、おはようございます。あ、あの、すみません、料理作らせてしまって。あの、替わります」 「おはよう。い、いや、いいんだ、これは。その、罪滅ぼしというか……、すまない」 「え?あの、覚えてるんですか?」 そう言った瞬間、部長が顔を真っ赤にした。 怒っているのではない…、照れてる…… 「本当にすまないと思っている。その、酔っている時の記憶は基本的にあるんだ」 「損な体質ですね」 「…、その、このことは…」 「別に、言いふらしたりしないですよ!それに、信じてもらえないと思うし」 「そ、そうか」 ほんのりと頰は赤いものの、ホッとした顔をする。 「部長、プライベートだとかなり印象変わりますね」 「やめてくれ…」 「冷めるから早く」と急かす部長に流されるまま、食卓につく。 まさか自分の家で上司が作った朝ごはんを食べることになるとは… しかしながら、美味しい。 部長の手料理、美味しい。 「前沢、たまに思ってること、声に出てるぞ。口にあったなら良いが…」 「え、出ちゃってました!?」 「ああ。会社でもたまに独り言言ってるしな」 「うそ…」 たまに事務の女の子たちが、苦笑いしながら書類を渡しに来たりしてたのは、そういうことだったのか… 不覚…

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