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第10話
「どうしてだ…」
どうして、俺は今、自宅に1人なんだ…
合コンは素晴らしかった。
とても盛り上がったし、女の子もめっちゃくちゃ可愛かった。
でも、誰一人として持ち帰れなかった。
一緒に行った男友達にラインを送ったが、返ってこないところを見るに、あいつらはきっちりお楽しみのようだ…
なんで、俺だけ…
不貞寝してやる。
そう意気込んで、枕に顔を埋める。
すると、ラインから通知が来た。
男友達か!?
それとも、今日ラインをゲットした桜ちゃんか!?
バッと携帯の画面を確認する。
部長『前沢、いまおれれおなあはま』
「は?」
部長の悪ふざけ?
いや、そんなキャラじゃないし。
なんか勝手に押されちゃったとか?
とりあえず….、電話かけてみるか。
不思議に思った俺は、部長に電話をかけた。
「お疲れ様です。前沢ですけど…」
「んおっ、前沢ぁ?なんでぇ?」
「部長…、酔ってますね?」
「よぉってないよぉ」
「今、1人ですか?」
「うぅん。いーっぱいいるぅ」
だめだ…、拉致が開かない…
誰か周りに喋れる人いないのか…?
「んもぉ、やすちゃんはお酒飲むとダメねぇ。ちょっと貸しなさい」
向こうから野太いカマ声が聞こえて、電話主が切り替わる。
「もしもぉ〜し、やすちゃんの彼氏ぃ?」
「え、いや、部下ですけど…、どちら様ですか?」
「なぁんだ、部下なのね。あたし、やすちゃんが、良く行くバーのママよ」
「あ、えー、部長がお世話になってます?」
で、合ってるのか?
バーのママが俺に何のようだ??
「あらぁ、可愛いのね、あんた。丁度いいわ、やすちゃん、もう帰れないみたいだから迎えに来なさいよ」
「はぁ!?また…、あの人は……」
営業部長が聞いて呆れる…
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