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第11話

ギラギラと輝くバーの前で立ち尽くす。 「女性禁制の…、オカマバー…」 なんで、部長はこんなところに…? っていうか、本当にこの店であってるよな? なんか…、自分の貞操が危ない気がする… でも、同じ会社の、上司だし… 責任を持って連れ帰らなきゃ… 社畜、バンザイっっ 意を決してドアを開ける。 ピンクのネオンがキラキラした、ド派手な内装。 いかにも、って感じ… 「いらっしゃーい」 これまた派手なオカマが出迎えてくれた。 「あの、部長は…」 「ブチョー?あぁ、やすちゃんの!待ってたわ、こっちこっち❤️」 手を引かれて奥に連れていかれる。 だ、大丈夫だよな? 突然、性的な意味で食べられたりしないよな? 心配しながら着いていくと、個室でソファに座り、ぐでんぐでんに酔っている部長がいた。 「部長…」 「ママァ、やすちゃぁん、来たわよ」 「あら、いらっしゃーい。やだぁ、超若いじゃなーい。座って座って❤️」 「あ、お構いなく。すぐに部長を連れて帰るんで」 「えぇ〜、せっかくだから、楽しみましょ?」 「…、帰りますよ、部長」 「ん?あれぇ?前沢ぁ〜」 「そうです、前沢です。ほら、帰りますよ」 部長を立たせるべく、手を引っ張る。 「前沢ぁ、合コンは?」 「…、なんでそれは覚えてるんですか…。振られました。明日からも引き続き独り身です」 「そっかぁ、振られたかぁ」 「くっ、笑いやがって…」 俺が振られたと分かるや否や、爆笑し始める部長。 くそ、上司じゃなかったら殴ってた! 2発くらい!!

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