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第20話

「おっはよー、前沢ぁ!!」 「…、うるさいな、静かにしろよ」 いつになくハイテンションで鹿野が隣の席に座る。 朝から注目の的だ… 「悪い悪い。あ、ネタ、考えてきたから見てくれよ」 「一晩で!?」 「いやぁ、降りてきたんだよ。笑神様が」 「ふーん」 差し出された紙を受け取る。 ちゃんと台本みたいになっていて、配役も決まってる。 すげぇな… って… 「俺がボケかよ!!」 「まぁな。やっぱり前沢ってボケーっとしてるし」 「どう考えても、お前の方がお調子者だろ!?」 「はぁ?お前、見る目ねぇな」 くそ…… ボケなんて、絶対モテない。 しかも、ご丁寧にセリフの後に(変顔)という指示まで書いてある。 一緒に非モテルート突っ切ろうなって思ったのに、自分だけまともな配置につくあたり、腹が立つな… 「これ、ずるくないか?お前も変顔しろよ」 「はぁ?どこに変顔するツッコミがいるんだよ」 「いいだろ?俺らは一心同体なんだから」 「だから、それ、気持ち悪いんだってば」 「鹿野、前沢」 「「は、はい!」」 朝からギャーギャー騒いでいると、部長から声をかけられた。 やばい、思いの外大きい声が出てしまっていた。 「仲が良いのは良い事だが…、資料はできたのか?」 「「あ…」」 「はぁ…、昼まで時間をやるから早めにメールで送るように。私は1日中外出するが、メールは確認できるからな。頼んだぞ?」 「すいません…」 ネタを考えていた鹿野はともかく、俺はなにをやってるんだ… こんなんだから、鹿野からボケキャラ扱いされるんだ…

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