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第35話
「前沢、体温高いな」
「部長はこう…、ひんやりしてますね」
「冷え性なんだ」
「そうですか」
男で冷え性なんて珍しいな…
それにしても、くそ細いなこの人…
脂肪や筋肉がないっていうよりも、骨格がそもそも華奢な感じがする。
肩の骨とかうっす…
俺にしっかりとしがみついて部長が眠っている。
この人、マジで俺の上司なんだよな…?
こんな時に眠れるわけない、と思っていたのに規則正しく控えめに聞こえてくる寝息に眠りを誘われる。
2回も出したし、倦怠感もひどい。
俺もすっかり寝入ってしまった。
「前沢、起きろ!」
腕の中にいるものがジタバタしている…
今すごく気持ちいいからもうちょっと、そっとしておいてほしい。
ぎゅっと腕に力を込める。
「お、お前!!なっ…」
「部長!!?」
聞き覚えのある声が腕の中からする…
恐る恐る目を開けると、顔を真っ赤にした部長が俺をにらみあげていた。
「おわぁっ!!?」
思わず突き飛ばしてしまった。
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