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第12話

「出して、出してください。わたくしが貴方の手を汚す前に」    前の愛撫が止んだことで薫にも少し余裕ができたのか、清二郎への懇願を口にした。子種を出すことを促すよう腰を使い、清二郎を締め付ける。 「それでは兄と変わらない。私は兄と違う。貴方のオメガ性しか求めなかった。私は、貴方という存在全部が欲しい。全部、愛したい」  薫が息を呑んだ。抽送の衝動を何とか抑え、清二郎は薫の答えを待つ。ここで、薫の弱点を揺さぶってしまっては、本音が聞けなくなるような気がしたのだ。 「わたくし、前と後ろ、一緒に可愛がられるのが、こんなに気持ちいいなんて、知らなかった」  薫は下っ足らずな口調で答えた。 「うん」  清二郎は、花芯を愛撫していない方の手で、薫の腹を撫でた。 「後ろも、こんな深くまで、入られたこと、なかった。子袋の中まで入ってるの。入られるまで、怖かったけど、入っちゃった……」 「兄上は、そこまで可愛がってくれなかったのですか」 「凌太郎様のじゃ、届かなかった」 「そう」  清二郎が唯一兄より優れていたものは、体格であった。凌太郎も決して小柄というわけではなかったのだが、清二郎はそれに輪をかけて大柄であった。  周囲からも木偶の坊と揶揄されることが多かった体だったが、この時ばかりは感謝した。  薫がここまで感じ入る様を見ているのは自分だけという優位性が、清二郎をさらに滾らせた。 「奥まで入ってるから、清二郎さまの、びくびくしてるのわかり、ます。わたくしとおそろい」  幼子のように笑う薫を抱きしめ、前と後ろを再び可愛がってやる。薫は、甲高い嬌声を上げ、先端の子房と体内の子袋を震わせ始めた。子種が欲しいと啼く薫に答えるように、清二郎は、薫の器から溢れんばかりの精を放った。薫も絶頂を迎え、清二郎の腹を大いに濡らしていた。  二人の荒い息が続く。  薫の尻穴は真っ赤に腫れ、呼吸に合わせて、蠢いている。中からは、清二郎の白く固まった欲望があふれ出している。  それと交わるように薫の先端より染み出た精が、子房を伝い、蠢くそこへ伝う。  この精が薫の子袋に入ると薫は己の子を孕むことはあるのだろうかと、清二郎は疑問を抱いた。しかし、古今東西オメガが自分の子を産んだという事例は聞いたことがない。  そもそも個体で生殖が可能など、それこそ単細胞の部類ではないかと清二郎は笑った。    だが、自分の子を孕む薫の図を想像して、清二郎は己の欲望が膨らむのを感じた。  薫もオメガらしく、多淫であるのか、それを見てくすりと笑ってみせた。  結局のところ欲望は鎮まることはなかった。今度は薫を後ろから犯し、細い腰を揺らし体の内外かまわず白濁塗れにすること数回。体を清めようとしたところ、また欲にかられ、二人で快楽をむさぼることとなった。

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