69 / 168

第71話

 ぎゅっと目をつぶって指を沈めた。  おおっぴらに秘部をいじって、しかも武内の眼前で。恥知らずもいいところだ、と思うと、なおさら自分があられもない姿をさらしていることを意識してしまい、頬が紅潮する。  粘膜が指を押し包み、グジュっとさざめくと、異物感が強まってペニスがしゅんとなる。それでいて後ろめたさをともなう愉悦の切れ端が一枚の布に縫い合わされていくように、産毛という産毛が逆立つ。 「案外、ノリノリだな。だけどエロさが足りない。ガキのころに粘土遊びをしたことくらいあるだろう? 粘土をこねる要領で、ぐちゃぐちゃとかき混ぜてみるんだ」 「無茶ぶりが、すぎます……」  片方の肘を曲げて、できるかぎり顔をうつむけた。指をそろそろと抜きにかかり、だが一転して埋め込む。  肉体的な結びつきより精神的な結びつきを大切にしたい。そう望む心とは裏腹に、指は倦まずたゆまず入口の(きわ)をくじり返す。  そこに、そそがれる熱っぽい眼差しの傀儡(かいらい)と化したように。 「ふっ……」 「その調子だ。智也は、がんばり屋だ」  随時、ローションが追加されるおかげで指づかいがなめらかさを増す。花びらが妖しく濡れ光り、指をぱくつくさまは、新種の食虫植物のようだ。  雪肌が薄紅(うすくれない)に染まれば染まるほど、淫らな水音が足の付け根にくぐもり、それは通奏低音さながら鳴りやむことがない。 「……んっ!」  三枝は枕に顔を埋めて、いやいやをした。浅ましい真似をつづけるのは、これ以上一秒だって耐えがたい。  それでいて襞が指にまといつくと、言われたとおりこね回してしまう。細腰(さいよう)がなまめかしく揺らめいて、武内を愉しませていることに三枝自身が気づいていないのは、もっけの幸いだった。 「タマの裏側あたりに感じるポイントがある。そこをこすってやればイマイチ元気がないこいつも……」  ペニスを掌に載せて、重みを量るように弾ませる。 「完勃ちだ。すかしてる、おまえのものでも」

ともだちにシェアしよう!