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第7話
「緋月……」
「ん、あぁ、おかえり。遅かったね。どこ寄り道してたの?」
緋月はこちらを見もせず冷笑したまま、冷蔵庫から取り出した牛乳パックの中身をガラスコップに注いでいた。
白い液体はどんどん嵩が増していって、背の低いコップからすぐに溢れてしまう。それでも緋月は注ぐのをやめようとしない。
ついには中身を全部出し切って、空箱をシンクに投げ捨てた。
――やはり怒っている。
ポタポタとテーブルから床へ滴る白い雫を見ていると、過呼吸を起こしそうだった。
「あっ、ちょっと……公園、に」
「へぇ、そう。ボクはこれから、バイトに行ってくるね。それと、玲湖 さんも今日は遅くなるって。高校の同級生と飲み会なんだって、張り切って出ていったよ」
緋月は表情を変えぬまま、そこを片付ける事もなく出ていった。
緋月のバイト先はどこなのかは知らないけど、週二、三回、午後六時から十時頃までしているようだ。
ガチャン、と玄関が閉まった音が聞こえたら、全身の力が抜けた。ヘナヘナとその場に座り込む。
これから僕は毎日、こんな風に恐怖を感じながら生活をしていくのか。
そう思うとまたゾクゾクと体の底から震えがきた。
何かあったら誠司が“ネットに晒す”と言っていた。
いくら緋月でもそう言われたら適わないだろうが、別のやり方で僕に何か仕掛けてくるに違いない。
テーブルと床を綺麗に拭いてから二階の自室に行き、ベッドに横になる。
天井を見つめながら、誠司の事を考えた。
誠司には本当に感謝をしている。
もし誠司が教室で声を掛けてくれなかったら、僕は友達が出来ずにずっと一人だったかもしれない。
誠司のお陰で、緋月との関係は多少変わるかもしれないし。
――俺だったら、あいつみたいに酷くなんてしない。すっげー優しくする。めちゃくちゃ甘やかして――
たとえば誠司は、僕をどんな風に抱いてくれるんだろう。
あんな風貌なのに、本当に優しいセックスをするのだろうか。
つい、裸の誠司に押し倒され、無理矢理キスをされながらペニスを上下に扱かれるというシーンを想像してしまった。
ずくんっ、と中心が疼く。
頭が白んでボーッとして、目がトロンと垂れてくる。自分の唇を触ってから、その手をゆっくりと股間に持っていき、布の上から掌でゴシゴシとこすった。
「はぁっ……」
制服のズボンを脱ぎ捨て、下着の中から勃起したペニスを出し、上下に扱いた。
亀頭を親指で刺激しながら緩急をつけて扱くが、イクまでにはほど遠い。
下着を上げて起き上がり、火照った身体のまま隣の緋月の部屋へ入った。
いつも整理整頓されている部屋。
……昨日、無理矢理犯された部屋。
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