2 / 14

第2話

 この世界には男女の性別の他に三種の性別がある。 社会的資質に優れ、リーダーやエリートが多く人口としては少ないアルファ、一般人で人口の大多数を占めるベータ、アルファよりも数が少なく希少、男女問わずに妊娠ができ、周期的に発情期を迎えるオメガ。 ベータの自分には関係なく、周りにもベータ以外いない。そんな「普通」の日常でそんなに簡単に変わることのないものだと思っていた。 思っていたんだ。 「三千世界の……」   「…………」 涼やかな声に呼応するかのように口から滑り落ちた言葉。 驚きを隠さずに声の主へと振り向けば甘く微笑む男がいた。どこかで出逢ったことのある甘い微笑み。甘く微笑むのに、その瞳は哀しく揺れてなにも言わずに雑踏のなかに消えていった。  その日以来夢の中の人物ににている気がしたからか、雑踏のなかで彼を探すようになった。 涼やかな声、甘い瞳。本能よりも魂がこの人だと叫んだのだ。 「……もう一度……」 もう一度逢えばわかるのだろうか。もう一度逢えば、あの夢を見ないですむようになるのだろうか。もう一度逢えば……。「たられば」だと判っている。わかっていても、あの哀しい瞳の意味と、この焦燥感に似た感情の意味がわかる気がした。

ともだちにシェアしよう!

この小説を読んだ人におすすめの作品

完結
落下生
二卵性双生児(兄×弟)の儚く健気な純愛。
28リアクション
5話 / 10,655文字 / 9
10/5 更新
Ωだったので52Hzで歌うことにした。
2,201リアクション
65話 / 59,255文字 / 234
10/31 更新
兄弟だけど愛してる【表】
2リアクション
23話 / 15,332文字 / 17
10/10 更新
オメガバース、シリアス、三角関係
9リアクション
5話 / 34,180文字 / 0
10/11 更新
醜い容姿の弟と綺麗な容姿の兄
1リアクション
3話 / 2,757文字 / 0
10/23 更新
追いかける弟的存在アルファ×アルファに幸せになってほしいから逃げたいオメガ
125リアクション
12話 / 18,074文字 / 17
10/31 更新