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第5話
烏はすき?僕はすきだなぁ。だって、君の瞳と髪の色なのだから。
問いかける声の甘さは幸せな時間。
闇を切り取ったような黒髪が、どこまでも黒い瞳が、それだけで意味をもつ。
とても幸せな時間。幸せで幸せで、夢だとわかる。
夢だとわかった瞬間のあなたの瞳が哀しくて、哀しくて、僕はまた朝焼けを睨んでしまう。
「……おはよう」
嫌な朝。嫌いな時間。嫌悪する時間。
起動するための言葉を紡ぎ出す。
「何度烏を殺せばいいのでしょうか」
ぽろりと溢れた言葉に目を丸くする。なにを云ったのかわからない。なぜそんな言葉を言ったのかわからない。なぜ心臓が、身体が空虚に感じるのかわからない。
はやく、はやくと焦燥する。
はやく見つけなければと、魂が焦燥して呼吸を浅くする。
あぁ、はやく、あなたを見けなければ……。
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