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加瀬は、低く喉を鳴らして笑った。
「…そんなに…ビビるなよ」
愁は、我に返った。加瀬のライダースジャケットをきつく握りしめていた。
「…だ、だって、おまえ…」
加瀬は、愁を腕の中にしながら、何かをしていた。見れば、ベッドの上に深紅の鋲打ちブレスレットを投げるところだった。
「…!」
昨日の記憶が蘇り、愁はますます身を固くした。
加瀬が、気付いたように、小さく囁く。
「アレ、そんなにヨかった?」
「…ッ、誰が!」
見上げて、反論するようにその顔を見ると、そのまま口をその唇で封じられた。
驚いたままその瞳を見つめると、目を細めて加瀬は笑っていた。
角度を変え、深く加瀬は愁を求めてきた。求められるまま、それに応じると抑えられていた加瀬の指がどこかへと消えていく。
「…ン…ッ、ん、ん…」
離れては愁の舌を誘うように愛撫を続ける加瀬の舌を、いつの間にか追っていた。
頭の後ろで、カチャカチャと金属音が響いた。
「?」
不意に唇が離れた隙に、愁は背後を顧みた。
ベッドに、アーマーリングが投げ出されるところだった。
「コレがあったらお前んなか、よくわかんねェだろ」
加瀬は手を握ったり、開いたりを繰り返し、何かを確認すると、突然愁を抱き上げた。
「ひゃ…ッ、か、加瀬…っ?」
驚いて上げた声はひっくり返っていた。加瀬は、そっと愁をベッドに下ろし、ライダースジャケットを脱ぐと、今にも逃げ出しそうな愁を両腕で閉じ込めた。
加瀬の長い黒髪が、頬を撫でる。
愁は、その形の良い目を見つめた。
「目、濡れてるぜ」
言って、加瀬の唇が瞼に近づく。
反射的に目を閉じると、加瀬は瞼にそっと口付けた。
唇は瞼を降り、頬を伝うと首筋をそっと吸い上げる。
「怖いなら、目ェ閉じてな」
耳元で、加瀬が悪戯に囁く。
「な…っ、だ、誰が…っ…ぁッ」
耳朶をきつく噛まれ、愁は声を上げた。痺れのような快感が、背筋を走る。
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