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「…せ。…かせ…」  ふと、小さく名を呼ばれるのを、加瀬は耳にした。  見れば、顔面を淫らに汚した愁が、加瀬の名を譫言のように呼んでいた。 「…なんだよ」  今までに無かった反応に、加瀬は僅かに目を瞠ると、愁の両腕の拘束を解いた。愁は、自由になり、なお強張ったままの腕を、加瀬の顔へと伸ばした。  震えた指先が、加瀬のことを求めているのは明らかだった。 「…なんだよ。…なんの…」  つもりだ、と言おうとして、加瀬はその指を乱雑に掴んだ。  そして、愁の顔が、安心したように破顔するのを、見た。  加瀬は、息を飲んでいた。愁は、口を何度も喘がせ、必死に何かを伝えようとしていた。 「…加瀬。…どうしたら…」  愁の瞳は熱く濡れ、瞬きを繰り返すたびに涙が零れていく。  細い指は、加瀬の手の中で震えていた。 「…どうしたら、おれは、あんたのモノに、なれる…?」 「…!」 「…おれ、あんたを…選んじゃ…だめなのかな…?」  愁は、加瀬の手の中から逃げ出すように手を引き出すと、その指を加瀬の指に絡ませた。 「な…」  加瀬は、絶句し、愁に捕らわれたその手を見た。その向こうに見える、愁の顔。 「…るせえ…」 「!…か…」 「うるせぇよ、このビッチが。てめぇは黙って俺にレイプされてりゃいいんだよ」  加瀬は、唸る様に、淡々と告げた。  愁は、それを聞き取ると、小さく笑って静かに目を閉じた。 「…ッ」  加瀬は唇を噛むと、愁の両膝を抱え上げ、突き上げた。愁は、白い息を吐いて体を仰け反らせ、そのペニスから何度も白い蜜を滴らせて、声を上げる。  収縮し、加瀬のペニスを加えた胎内は、柔らかく、加瀬を吸い上げていく。 薄紅色に染まった、しなやかに仰け反った首筋に顔を埋めると、加瀬は更に腰を激しく打ち付けた。  大きく体を痙攣させ、愁は一際高い声を上げた。 振動を歯で感じながら、加瀬は、愁の胎内に精を吐き出す。愁の足が大きく二度三度と震え、やがて、静かになると、加瀬はその顔を見た。  加瀬は、唇を噛み、そして、愁の横たわった机を、力任せに殴りつける。  激しい音が響くが、愁は、ぴくりとも見動くことはなかった。  意識を失った愁は、涙をこぼして、うっすらと微笑を浮かべていた。 「クソッ…」  暗闇に、加瀬の声が静かに響く。 「…ハナからお前には、選択権なんざねェんだよ…!」

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