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第18話 魔界編 夏海③

青龍は炎帝の手を握った ギュッと強く握られる指の強さに 炎帝は青龍を見上げた 「青龍…」 「何があっても一緒にいます!」 言われ炎帝は嬉しそうに笑った 青龍は、ピューと口笛を鳴らすと風馬を呼んだ 風馬に「天馬と走れる馬を2匹連れていらっしゃい!」と指示を出した すると天高く天馬が駆けて走ってきた 風馬が2匹の馬を連れて駆けて来た 炎帝は天馬の背に乗り 青龍は風馬の背に乗った 赤龍と雅龍も一頭ずつの馬の背に跨がり 魔界の外れの女神の泉近くの雅龍の家に向かった 雅龍に「あんで、黒龍が用意した家に住まねぇんだよ!」と、炎帝が叫んだ 「夏海は妊娠中ですので…女神の側で…出産した後に…移り住もうと…思っております」 「泉を離れても…我が子が見えると申しても?」 「え…??」 「黒龍が言ったんじゃねぇのかよ? 黄泉の鏡を置いてやった…と。」 確かに…言われた だが…黄泉の鏡と言われても… 何か知らなかったから… この場を離れられなかった 「腹がデカくなれば大変になる!移れ お前の従兄弟や親類が手助けしてくれる所で産める環境にしてやれ!」 「はい…はい…ありがとうございます」 雅龍は鼻をすすり…馬を走らせた 魔界の外れ 魔界の者も近寄らぬ場所に雅龍と夏海は住んでいた 不便も多いのに… 女神ほど…優遇されはしない、この地に留まるのは… 我が子の姿を…泉で眺めていたいから… だった 雅龍の家が見えると、炎帝は天馬から降りた 洗濯をしていた夏海が… 唖然として…バケツごと洗濯物を落とした 「真贋…」 夏海の瞳が潤む 「よぉ!夏海!もうじき子供を産むんだって?」 夏海は炎帝の胸の中に飛び込み…泣き出した 魔界に渡って 一度も泣いた事がなかった 気丈に何時も不便なこの地で、毎日笑顔を絶やさずに笑っていた その夏海が… 泣いていた 雅龍は胸が痛みだし…胸を押さえた 「夏海、元気そうだな!」 炎帝の指が夏海の背を撫でる 「真贋!真贋…どうして?」 「オレか?オレは魔界の掃除に来たんだよ! 魔界が掃除されたら…引っ越せ この地から離れて、一族の元へ行け!」 「嫌です!煌星と凰星が見えない場所には行けません!」 我が子を思う母の心だった 今は離れて暮らす我が子を… 一日たりとも忘れはしない! 手離さねばならぬ定めだった だけど…我が子の事を想わぬ日などない 影からそっと見守り続けて 日々成長する我が子を見ていたい だから…黄泉の泉から離れる事は出来なかった 「煌星も凰星も愛されて暮らしてるぜ! 一生!写真持って来てくれたよな?」 康太にふられ一生は 「おう!持ってきてるぜ!」と言い胸ポケットから写真を取り出し夏海の手に握らせた 「え…?」 「煌星と凰星だ!」 夏海は手に握らされた写真に目を落とした そこには…煌星と凰星がツーショットで写っていた 「年に一度逢わせましょう…と、戸浪の妻の沙羅が言ってくれたからよぉ 二人の星が重なる時に逢わせる事に決めたんだ! 二人の星が重なる時ならば、弊害も出ねぇしな 二人は一目見て互いを感じ取り、解ったみたいだと言ってた これからも…写真を見せてやる 移り住む先にも黄泉の鏡がある だから…安心して皆の所へ越して行けば良い」 夏海は泣き崩れた 愛する 愛する我が子が 共に並んで…写っていた こんな日を…見ようとは思わなかったから… 涙で濡れた瞳を…康太へ向ける 康太は夏海に手を差し出した 「見届けてやると約束しただろ?」 夏海は康太の手を取った 夏海を引き上げ、抱き締めてやる 小さな康太では…不可能な事を意図も簡単にやってのけた 違和感に夏海は康太を見た 「真贋…?」 「泣くな夏海! お前の子供は誰よりも愛され日々を過ごしている 誰よりも愛され…母の愛を知る 何時かお前達の事を教える時が来る その時お前達に逢わせてやろうと想ってる」 そんな夢の様な話されたら… 涙が止まらなくなる… 「夏海!逢いに来てやったんだぜ! お茶の一杯も飲ませねぇのかよ?」 「失礼しました…真贋…」 「あんだよ?」 「大きくなってませんか?」 横に並ぶ榊原と変わりない身長に…夏海は違和感を口にした 「元のパレスはこんなもんだ! 気にすんな!」 と、さらっと交わされ、夏海は涙を拭いた 「どうぞ!真贋!」 夏海は洗濯物を広い、康太達を家の中へ案内した 部屋の中に入って…康太は躊躇する 何処で生活してるの? と言う程の狭さだった 当たり前だ この家は雅龍達が魔界へ入るまでの期間、住む為に、黒龍達が建てた簡易の家だったのだ 適当に座り…たいのだが… 座れなくて…康太は榊原の膝の上に乗った 「康太…」 「あんだよ?」 「重いかも…」 「失礼な!」 康太はプンプンと怒った ハハッと笑って榊原は康太を膝の上に乗せた 一生や夏生はそれを見て安心した 康太が笑って嬉しそうな顔をしていてくれれば それだけで良い 「すみません…狭くて…」と、夏海は謝った 「夏海、引っ越せ! 既に家があるのに移らねぇのはねぇぜ!」 「はい。すみませんでした。」 夏海は謝った 康太は夏海をまじっと見て 「んとに…おめぇはよぉ…定めを持った子を生むのが好きだな!」 と、言い放った 「え?どう言う意味ですか?」 「母親が強い運気を持ってるからな 子供は定めを持って産まれるんだな」 「真贋…解るように説明して下さい」 「夏海、おめぇの腹の子は、金龍の後を継ぐ 黒龍の所にでねぇと行けねぇ子が、おめぇの所に出てるんだよ 金龍と黄龍は兄弟…その血を引く雅龍の子に産まれてもおかしくはねぇけどな!」 夏海は言葉を失った 「もぉ…我が子を手離すのは嫌です!」 夏海は叫んだ この手に抱けぬ子を産む母の苦しみを… もう味わいたくはないのだ… 「夏海、大丈夫だ! 誰もお前から子供は引き離しはしねぇよ 唯な…定めを持った子だと…言っておこう… 行く行くは炎帝の下に着くが定め! 炎帝はお前から子供は奪いはしねぇよ!」 「真贋…」 夏海は呟いた 「夏海、魔界の暮らしは…どうよ?」 「幸せです。」 夏海はキッパリと答えた 「そうか。でもな、此処から引っ越して黒龍や…一族の側へ行け! じゃねぇと心配になって還れねぇじゃねぇかよ?」 「え!真贋…解りました! 真贋は…いなくてはならない人です! 還って貰わなくば…我が子を見届けても貰えはしません! 解りました真贋!引っ越します!」 夏海の台詞に康太は笑った 「ならば、夏海! 黒龍が用意してくれた屋敷に移れ!」 「解りました!近いうちに必ずや!」 「魔界大集会の話は聞いてるのかよ?」 「聞いております!女神が教えてくれました」 「参加せずともよい」 「え…」 「その腹で…人混みに来なくて良い 大集会が終わって掃除が終わったら越して来い!」 「真贋…」 夏海は…康太の心使いに…目頭を押さえた 「雅龍!」 「はい!」 「おめぇは出ろよ!」 笑って話し掛けられ…雅龍はポリポリ頭を掻いた 「解っております!」 デカい図体を小さく縮め座る姿が…何とも憎めない 「夏海!」 「はい!」 「魔界も乱世の真っ只中だ! 気を抜けば…斬られてもおかしくねぇ世界だ お前は…この泉から出るな!絶対にな!」 嵐を呼ぶのは…飛鳥井康太 貴方ではないですか 何時も…何時も…乱世の世に繰り出し 肩で風を切って歩いて行く その歩は…怯む事なく 貴方は…わが道を歩く 「解っております。」 「夏海、無事子を産め! 次代の金龍を産め その子が魔界の均衡を司る 我が元に仕えし子だ!」 果てを見る瞳に 何が写っておいでなのですか? その果てに… 貴方は向かって行くのですね 逃げ道は用意ぜす 貴方は進んで行く どうか… ご無事で… 夏海は祈った 「青龍!」 康太が榊原を呼ぶ 「何ですか?」 「結界を張ってくれ! お前の後を夏生が追って行く だから結界を張ってきてくれ」 「良いですよ。 では少し待ってて下さいね」 榊原は康太を下ろすと立ち上がり 夏生と共に外へと出て行った 「一生、お前も行ってトラップを張ってきてくれ」 「おう!行って来るぜ!」 一生も笑って外へと出て行った 「夏海、暴動が起きるかも知れねぇ 魔界を追われた奴が…此処に来るのだけは避けてぇからな…」 「………暴動?」 「そうだ!何が起こるのか予測が着かねぇのが魔界だ! 人の世なら手が打てても…魔界では…簡単にはいかねぇかんな!」 現実を突きつけられる 夏海は…気を引き締めた 「絶対に魔界大集会の時には外には出ません!」 と、約束した 「それが賢明だな! 夏海…耐えてばかりじゃ…続かねぇぜ」 「……っ!!…」 魔界へ来て、右も左も解らず… 我が子が見える湖から離れるのを… 頑なに…拒み 不便を励みに変えて…生きてきた 解ってる 逃げてるのは… 解ってる それをズバッと言い当てられ… 夏海は…覚悟を決めた 「真贋…」 「お前は雅龍と共に生きる為に来たんだろ?」 「はい。」 「ならば!我慢なんかするんじゃねぇよ! 共に生きるならば、胸の内を明かして 時には我が儘位言え!」 耐えて 耐えて 夏海は…雅龍と共にいた 雅龍の身内が…気にかけてやって来る ………そんな時…雅龍は困った顔をする 私は… 雅龍の重荷? そんな事を考えて胸を痛めた…時もある 「この先も雅龍と生きるのかよ?」 確信を突く会話を… 挨拶でもするかの様に、さらっと言われて… 夏海は息を飲む 夏海は康太の瞳を射抜き 「はい!雅龍と共に! それしか望みはありません!」 夏海の口から…雅龍と共に…と聞き 雅龍は夏海を抱き締めた 夏海を魔界に連れて来てから、自問自答する日々だった 我と出逢ったから… 我と出逢わなかったら…夏海は… そんなせんない事を…つらつらと考える日もあった 愛してる 夏海しか愛せない 愛してる 夏海を愛してやまない でも…その想いが…夏海を死に追いやった だから雅龍は動けずにいた 夏海の想いを尊重してるつもりだったが… 逃げていたのかな? と、雅龍は想った 逃げていた…訳じゃない だけど… 心の何処かにある負い目が… 夏海とちゃんと向き直らせてなかった 「雅龍は?」 康太にフラれて 「我も!夏海と共に! 夏海と出逢った日から、その想いは変わってはおらぬ!」 「なら、すべき事が見えて来たじゃねぇかよ!」 康太はそう言い笑った 「「 はい! 」」 互いを想い過ぎてて…身動きを取れなくしていた 「お前等さ、会話が足らねぇんじゃねぇ?」 言われて…二人は顔を見合わせた 言われれば…日々の暮らしに追われて 今後の事や…具体的な話などしなかった 「愛はさ確認し合わねぇと錆びんぜ! 毎日花に水をやる様に愛を語らい 互いを分かち合う…それを怠ると 愛を見失う事になるぜ!」 「………!!」 言葉もなかった 「愛し合う相手が一番愛しい! それに我が子や回りが着いてくる オレ等は…子は成せねぇからな 互いしかねぇ…お前等は子を成せる 愛する男の細胞や血肉を分かち合う子がいるじゃねぇかよ?」 そこへ榊原が結界を張り終え、やって来た 康太は腕を伸ばして榊原を求めた 榊原は真っ直ぐに康太の側へ行き、康太を抱き締めた 回りが恥ずかしい程に… 互いを想い、互いだけ愛すカップルがいた 夏海はそれを見て 「何だか…羨ましい…」 と、呟いた 臆面もなく…雅龍を独占し愛してると束縛する事なんて…なかった 夏海はじーっと雅龍を見た 見られた雅龍は慌てた 「何だ夏海…夏海?…夏海…」 じーっと見られて…雅龍はそわそわ 康太は…ガクッと肩を落とした 「伊織…愛してる」 「僕も愛してますよ。奥さん」 康太は伊織の首に腕を回し、榊原の胸に顔を埋めた それを見て夏海は、さらにじーっと雅龍を見た 「夏海!!」 雅龍は焦った 頬っぺたにチュッとキスを落とされ、微笑む…康太が…何だか幸せそうで 夏海は腹が立ち 雅龍を蹴り上げた 「痛い…!!!」 雅龍の雄叫びが…虚しく部屋に響いた 「伊織…雅龍は…かなりの浮き名を魔界で流してたんじゃねぇのか?」 「康太…そう兄、黒龍にはお聞きしてたのですがね…」 「あんで…こうも鈍感なんだ?」 「さて…僕は君に捧げる言葉なら溢れ出て来ますがね 毎日抱いても…足りません 君が欲しくて…亡くしたら死にます!」 「伊織…おめぇの一族は…タラシが多いよな?」 「僕は堅物…でしたがね」 「………青龍は堅すぎる」 「君を手にすれば、硬くもなります」 会話が噛み合ってなくて…段々…逸れて行く 「伊織…」 「雅龍は女心を少し勉強する必要がおありか?」 「………魔界で抱いた女は数知れず」 康太の言葉に…夏海は… やはり腹が立つ 雅龍を蹴り上げた 「……痛い…!!!」 雅龍の声が… 虚しく部屋に響いた それを見ていた一生と夏生は爆笑して、腹を抱えていた 一生は涙を拭い 「腹が痛てぇ…雅龍、おめぇは、んとに鈍ちんだな! 夏海に愛を囁いて安心させてやれ!」 と、雅龍目掛けて…檄を飛ばした 雅龍はポリポリ頭を掻いて… 「努力します!」 と、答えた 「夏海はこの魔界でおめぇしか頼る奴はいねぇんだからよぉ! 不安がらせるんじゃねぇよ!」 一生が怒鳴ると雅龍は 「解ってます!」と真摯に答えた 雅龍が夏海を抱き締めた 「幸せにする! 大事にする! お前しか愛さない! 浮気は絶対にしないから! 浮き名は…」 叫ぶように言い… 最後の部分のは…声が小さくなった 「我は本気で愛してると言う だが…相手は…本気ではない 我は…遊ばれたのじゃ… 見た目と…血統の良さに群がる女は… 我をアクセサリーの様に身に付け捨てた そんな女に…本気になり、その都度捨てられた これを浮き名とは…呼べはしないだろ… そんな日々に疲れて我は…人間界へ見聞を広げる為と…出向いた それからは夏海、お前の知ってる日々だ」 雅龍にしては珍しく饒舌に喋った 喋らぬでいたら… ありもしない事を夏海に吹き込まれる それだけは避けたい だから必死に夏海に言い聞かせた 「夏海…見捨てないで…ね!ね!」 雅龍が夏海に泣き付く 可愛い… こんなに図体がデカいのに、雅龍の仕種が可愛い 愛する男の総てが愛しい 「見捨てないわよ! 愛してるわよ雅龍!」 喧嘩腰な所も夏海らしくて、康太達は笑った 康太は夏海の頬に手をあて 「夏海、雅龍と共に生きて行けるか?」と問い質した 「はい!私は雅龍と共に生きて行きます」 「幸せになれ」 夏海は康太を見て 「はい。誰よりも幸せにして貰います!」と答えた 「共に逝け!」 「はい。」 後戻りする道なんてない 解ってる 「オレは飛鳥井康太として此処に来ている お前の子供を見届ける者として、来ている」 夏海は…真贋…と言い 言葉の重さを受け止めた 飛鳥井康太として… この人に背負わせた荷物は大きい それでも背負って… 乱世の世を生きて行くのだ 「真贋…本当に感謝致します…」 「雅龍の世界で生きて行け お前が選んだ道だろ?」 「はい…はい。」 返事は一度! と、夏海はデコピンされた 紫雲の所で修行の日々に明け暮れてた頃 康太に良くされた…デコピンだった はい。はい。 返事は一度! 何時も夏海はそう言われ…デコピンされた 懐かしき日々 そんな懐かしき日々を捨てて、夏海は雅龍と生きる為に…この地に来たのだ! 共に生きる為に! 「雅龍、私は一族に認められる嫁になるから!」 夏海は宣言した 雅龍は夏海を抱き締め… 夏海を護ろう! と、改めて心に誓った 「もぉ大丈夫だな?夏海」 私は…どんな顔をしていたのですか? 問い掛けても… この人は答えてはくれない だから夏海は胸を張り 「はい!」と答えるのだ 「魔界大集会は大人しく家から出るな! そしたら引っ越しして行け!良いな!」 「はい。約束します!」 康太は微笑み頷くと立ち上がった 「ならな、夏海!」 「はい。真贋!お逢いできて… 本当に良かったです!」 康太は夏海に背を向けた そして片手を上げると… 家の外に出た その後に榊原が寄り添い 一生と夏生が出て行った 静まり返った部屋に… 夏海と雅龍が、残された 雅龍は夏海を引き寄せ抱き締めた 「隠し事は何一つない家庭を築こうぞ!」 雅龍の言葉が…嬉しい 「うん。私、雅龍で良かった 雅龍が側にいてくれて良かった」 夏海は雅龍の胸に顔を埋め、雅龍の背中を抱き締めた 「私、後悔なんてしてないから!」 愛する男と…離れなくてすむ道を選んだ こうして一緒にいて後悔なんてするもんですか! 夏海は改めて…雅龍への愛を選んだ自分を見詰めた 子供を育てて 子供は何時か巣立って行く だけだ、最期に…貴方が遺れば、それで良い 「皆に祝福され…子を産もう」 「ええ。この子はそう言う定めを持って生まれる 何時か炎帝に還すその時まで、愛して慈しみ育てなきゃね!」 夏海は何時までも 雅龍と抱き合っていた 「ねぇ、雅龍」 「なんだ?」 「あの方は…今回…何をなさりに来たのですか?」 飛鳥井康太として、夏海に逢いに来てくれた だけど、あのパレス 飛鳥井康太ではない存在も確かにいた 「魔界の大掃除…って言われなかったか?」 「大掃除…そっか…」 「炎帝として生きる…あの方の行く先は… 修羅の道だ…我は…助けたい だからあの方の助けに行く!」 「炎帝…」 炎帝と言う、魔界の人気者の噂なら… この辺鄙な湖にいたって耳に入る どうか… ご無事で… 夏海は祈った 雅龍の世を強く抱き締め… 夏海は瞳を閉じた

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